誰にも気付かれないように
旅の支度は始められる
どこへ行くかと問われないために
いつ帰るかと聞かれないために
旅立ちを知らせる風の住処を
自分自身でも知りはしない
いつでも飛翔を遂げられるように
何が起きても悔いないように
旅立ちの日を知る人はいない
誰もが知らぬ間に旅立たされる
自らの肉体と精神が旅立ちの刻を決めるなど
傲慢な思想を打ち砕いてゆけ
どこへ行くのか誰もが知りたがる
何も知らぬことこそ美しい旅立ち
いかなる異郷へたどり着こうとも
震えるための魂を研ぎ澄ませていく
突然立ち去ることが罪ならば
この世のすべての生命は罪そのもの
振り向くことなく飛び立ってゆけ
この翼はこの命しか飛翔させない定めを告ぐ