旅する瞳

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旅する者の瞳はこの世にはない
どんなに呼びかけても応えは返らない
閉ざされた深い異国の陰で
あなたの心は安らかに眠っている

傷つき果てた先に旅立ったのならば
旅立つという理由は炎に近い
問いかける者たちの言葉は灰のよう
なにひとつ伝わらない干からびた受容体

旅のさなかに出会う水の揺れが
生まれる前の悲しみを思い出させる
消されたはずの記憶が呼びかける
残存していた膜が命を超えて触れ合う

どこまでも絡まる曼荼羅の色彩が
ひとつでも欠ければ世界は終わるように
喪失したものも受け取ったものも
すべてが旅を司る運命を生み出す

もう二度と出会えない人が笑いかける
天涯の炎の熱が天へと舞い散る
なぜ永遠はこの世から遠いのですか
一瞬の中に永劫をまさぐる

 

 

 

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