胡蝶の夢

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ちょうちょをこの指でつかんだとき
その羽根があまりに薄すぎるあまりに
自らの指の体温が
羽根を伝ってお互いに伝わり合う

まさにそのようにして
夢と現つは重なり合った
それはロシヤの朝の森
ふたつの岸辺は達し合った

夢か現つか定まらぬ人生
どちらともなく心は行き来し
夢と現つに隔てはないと
旅だけがそれを教えさとす

どこへ向かっているのかを
誰ひとり知ることはない
乗り合った列車の終着駅の名は
聞き取れない異国語のアナウンス

どこかでお会いしましたか
はじめてお会いしましたか
語らい合う乗客たちの影が見える
誰もみな自分だけの国の言葉を放ち

与え合うことでたどり合う心
微笑み合うことでわかりあう者たち
やっと帰ってきた軌道の中で
国も名も言葉も命さえもほどかれてゆく

終わりがあるなんて本当だろうか
それははじまりの別名だろうか
汽笛の音が銀河へと呼応する
ノーザン・ライツの夢が揺れる

ぼくたちは知っている
たどり着くべき果ての色彩を
行く手にあらゆる生と死が設けられようとも
必ずたどり着く

 

 

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