あらゆる中点を浮遊していつの日か無へと帰せ

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名を忘れて生きてみたい
日を忘れて生きてみたい
時を忘れて生きてみたい
性を忘れて生きてみたい
国を忘れて生きてみたい
血を忘れて生きてみたい
人を忘れて生きてみたい

ただそんな風に
旅するように生きていたい

与えられて当たり前だと
教えられたものたちを
当たり前のように解き放って
持たなければならぬと掴まされた
牢屋のような記号たちを
見境もなく解体して

旅するように歩き出そう
何ひとつ持たないままで
冷たい砂漠を歩き出そう
自分すら持たないままで

本当の世界を見つめたかった
純粋な世界を見つけたかった
だから歩き続けた

わずかな望みさえ絶え果てた道が 目の前に横たわっていたとしても

男にも女にもなりきれない
人間にも動物にもなりきれない
大人にも子供にもなりきれない
愛にも毒にもなりきれない
生にも死にもなりきれない

便利だからと分け隔てた
悲しみを秘めた線の上
本当はそこにないのに
誰もがあるというからそこにある
線の上

そこから見える景色は
“無の荒野”
あるということと ないということの
間に位置する無の荒野だ

ああこの命

あらゆる中点を浮遊して いつの日か無へと帰せ

 

 

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