燦々と青く輝くあの山々は
厳かな壁のようにぼくに立ちはだかるけれど
今ならわかるあの山脈は
新たなる旅への入り口だ
ユーラシア大陸の東の端から西の端へ
シベリヤの鉄道はぼくを運んだけれど
広いものだけが旅だろうか
はるかなるものだけが旅だろうか
広める旅から、深まる旅へ
根源たちが語りかける
日本の旅の原点が呼び醒ます
紀伊山脈に生まれた巡礼の魂の名を
前世と現世と来世に惑い
行き場所をなくしてしまった心たちが
傷つきながらもたどり着く
清流のせせらぎが聞こえる深い森
おばあさまの家から見えるお山の中には
美しい仏の都市が眠っている
けれどもその彼方に何があるかを
思いもよらずに生きていたよ