流氷はロシアの落とした氷の涙
それをはるかなる北の大地が受け止める
夢のように敷き詰められた氷原は
美しいロシアへとつながっていく
悲しみを誰かに受け止められたなら
悲しみも少しは軽くなる
それが幻だとわかっていても
受け止められた悲しみはあたたまる
誰にも受け止められない悲しみを
氷のように冷たく抱きしめながら
生きていく人々を見兼ねて
北の大地は悲しみを抱きとめる
歩きなさい、巡りなさい
たどり着いた氷たちが歌っている
笑ってごらん、笑んでごらん
透明な悲しみの厚みにも沈まない海
なにひとつ失くすことなしには
巡り会えない氷原がある
氷の涙を受け止めるための北の海は
はるか南の桃源郷だと知る