海の鏡

 

正常であろうとすればするほど
ぼくは狂いを増していった
まっすぐに歩こうとすればするほど
行き先はずれて傾いた

そんな自分が愛おしいよ
外れようとして外れてゆく人々
乱そうとして乱し出す人々
そんな偽物の情熱は要らない

普通でいることから逃げ出したいなんて
なんて贅沢な夢を見ているの
傷つきたくて仕方がないのね
人と違って特別になりたがる

あなたは異国へと旅立てない
そんな願いだけじゃどこへも行けない
同じでありたいのに違ってしまう血の色を
あなたは本当は見ることさえ怖いのでしょう

青ざめた涙の海をごらん
月の光から析出された祈りたちは
美しい渦を巻き込んで
透きとおる孤独のゆりかごを揺らす

知らぬ間に異国に立ち尽くしていた
自ずから動き出す腕に描かれた抽象画
自分ではないところにある力を知る
自分を超えたところにある力を感受する

人と違いたいと願わなくても
どうしようもなく異なりは暴走した
人と同じでありたいと月に祈っても
淡い光はぼくを旅をする人にした

充満した思いは時を超え
海を渡る風に歌声をのせる
自分にだけ届くように
自分にだけ届くように

海は鏡には なりやしないのに

 

 

 

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