よく見ると水は
わたしが思っていたのと
違う方向へ
流れていました
わたしは水の流れに逆らって
歩いていたはずだったのに
ふと気がつけばわたしは
水と同じ方へ流れていました
逆行と思えば順行していたわたしは
何に逆らっていたのだろう
何に歯向かっていたのだろう
何を痛んでいたのだろう
癒されることなど
この魂は知らないと
ひとりきり強がって
痛む心を抱いて歩いた
真っ白な霧の中を
凍りつく雨の中を
癒されぬ時の中を
わたしは完全に誤って
あなたへと子守唄を歌ってあげられるのは
わたしだけだったから
わたしは必死に歌っていた
わたし自身に向かって
癒されない構造は虚構だった
真実はいつだってわたしとともに流れていた
イルクーツクよ
バイカルの水よ
わたしに教えておくれ
罪など背負わない水はないと