こんなにレトロで素敵な建物が残ってたのか!
大正ロマン!熊本県山鹿市の八千代座がレトロで優美な劇場だった
・「渋うちわ」に導かれて熊本県山鹿市へ
・八千代座で日本独特のレトロで優美な芝居小屋に触れる
・八千代座の周囲のレトロで素敵な町並み
・「渋うちわ」に導かれて熊本県山鹿市へ
熊本県山鹿市という、何があるのかよく知らない町へやって来た。山鹿市はうちわの三大産地として400年もの歴史と伝統を受け継いでいるらしくその「渋うちわ」に興味を持ったからだ。このうちわ、100年はもつと言われている優れものらしい。それにデザインや模様がレトロで美しく、古き良き日本独特のものであると感じた。
渋うちわを作っている山鹿市の「栗川商店」というところを訪れて、実際にうちわが作られている様子を見られたりして面白かった。結局好きな形と柄の組み合わせが売り切れていたので買わなかったが、たくさんの渋うちわを手にとって見られただけでも十分に価値があった。
そしてせっかく山鹿市に来たのだから、何があるのかよくわからないけれどついでに町を見てみようと思った。するとこの山鹿市の町並みは、レトロで素敵な趣があり、さらには感動的な日本の昔の劇場との出会いを果たすこととなる。
・八千代座で日本独特のレトロで優美な芝居小屋に触れる
山鹿市観光のメインスポットはなんと言っても「八千代座」という芝居小屋だ。明治43年(1910年)に山鹿の商人によって建てられたもので、枡席、すっぽん、花道などの設備を有する江戸時代の芝居小屋の様式を今に伝える建築物だ。昭和40年代後半に使われなくなり、雨漏りがするほど老朽化が進み、一時は廃屋同然となったが地元住人の保存運動が盛り上がり、集まった募金で屋根を修復し、平成63年に国の重要文化財に指定されたそうだ。平成8年から平成の大修理に着手し、平成13年に完成した。新たにシャンデリアや天井広告などが復元され、八千代座の全盛期であった大正12年当時の華やかな姿に蘇っている。
見学料は520円。無料駐車場は周辺にある。520円を支払った後には、まず八千代座に関する小さな博物館のような場所を見てから、八千代座に入場する。八千代座には無料でこの芝居小屋についての詳細を丁寧に説明してくれる係の方がいて、時間があればお話を聞くと自分でぼんやりと見ているだけではわかりようもない芝居小屋についての面白い話がたくさん聞けるのでおすすめだ。
入場して目に飛び込んでくるのは、昔の日本に巻き戻されたかのような壮大でレトロな光景だ。天井に敷き詰められた鮮やかな色彩と古風な絵画の織り交ぜられた広告たち、派手さはないが優美な曲線が上品なシャンデリア、能舞台のように堂々と舞台正面に美しく描かれた影向の松、不思議な形状をした今まで見たこともないような広々とした座席、どこか懐かしく心の琴線に触れる感覚を覚える赤提灯の列…本当にタイムスリップしたかのような壮観が、今の自分の感性の鏡により映し出すとお洒落にも感じられた。
昔の日本の劇場ってこんな感じだったんだ!!思いもよらなかった感動がぼくの胸をさらった。ぼくはこの人生で多くの劇場に行ったことはあったにもかからず、こんな形式の劇場を見たことがなかった。日本固有のこのように美しく趣深く見応えのある劇場が、どうして今の日本には引き継がれずに捨て去られ忘れられてしまったのだろうか。今ある西洋的な劇場よりも、はるかに素晴らしく素敵な劇場だと感じられた。
八千代座では劇場の隅々を自由に見学することができ、うろちょろと回っていううちに「奈落」や「花道」など普段使われる日本語が、このような日本古来の劇場から来ているのだということも学ぶことができた。豪華な舞台とは真逆の質素な舞台裏の楽屋や、地下の奈落を歩くこともできるし、二階へ上がって舞台を見下ろすこともできる。あまりの美しさと趣深さ、日本の美の素晴らしさを再確認することができ、いつまでもこの場所でレトロな内装を眺めていたかった。
・八千代座の周囲のレトロで素敵な町並み
八千代座周辺の山鹿市の町並みもレトロで素敵だった。レトロな感じのする「グルメ倶楽部」というレストランでエビフライカレーを食べたり、「タオ珈琲」という古民家カフェでブルーベリーのかき氷を食べたりした。九州ではよくブルーベリーが売られているのを目にしたなぁ。「さくら湯」という380年前の温泉を再生させたレトロな温泉もあったが、残念のことに今日は定休日だった。
また山鹿市に来たいなぁ!そしてレトロな「さくら湯」に入ってみたい!