巡礼の道
たとえすべての人間が おまえひとりの悲しみさえ担わなくても おまえはすべての人間の 悲しみを背負う翼であれ たとえ世界のすべてが おまえを無視して見向きもしなくとも せめておまえだけは世界の片…
スペイン/Spainたとえすべての人間が おまえひとりの悲しみさえ担わなくても おまえはすべての人間の 悲しみを背負う翼であれ たとえ世界のすべてが おまえを無視して見向きもしなくとも せめておまえだけは世界の片…
イタリア/Italy「南」という言葉に 導かれるように心は旅立つ 「南」という言葉に 宿る羅針盤を心は読み解く フランスという国に 特別惹かれる思いはなかった 「南」フランスという文字を見たとき どうしても訪れた…
日本/Japan平野の穏やかな水を憎んでいた 安らかな時を嘆いていた もっともっと胸に迫り来る鼓動を もっともっと差し迫る激流を 人間はいつしか安寧を求めて 山脈を退き平野に群がる あらゆる都会は平野の中の砂…
日本/Japanすべての旅は巡礼 神聖な気配を身にまとい 俗世の風を祓いのけ 孤独の中を先へ進もう 語りかける過去たちを 今だけは幻に変え 絡みつく縁の糸を 軽やかにほどき給へ すべての旅は果てなる彼岸 あな…
日本/Japanお父さまにはるか導かれて 幼い頃よく深い山を歩いた 途上で疲れ果てて妹とふたり どうしてそんなに山が好きなのと問い詰めた お父さまはひどく怒り それは尋ねてはいけない質問だと知った 自分の好き…
日本/Japanぼくの根源には死がある 死が生という水の中に沈んでいる 生の水を費やすための遊びを あなたならどのように働かせる ぼくたちは根源へ帰ってゆく 誰も皆同じように帰ってゆく 例外はゆるされないこと…
日本/Japan燦々と青く輝くあの山々は 厳かな壁のようにぼくに立ちはだかるけれど 今ならわかるあの山脈は 新たなる旅への入り口だ ユーラシア大陸の東の端から西の端へ シベリヤの鉄道はぼくを運んだけれど 広い…
ミズイロノコトバどこからが朝で どこからが夜か わからなくなります どこからが本当で どこからが嘘か わからなくなります ここは北の極み ムルマンスクの土地 冬の光も届かない異国 朝焼けがそのまま 夕焼けにな…
琉球諸島/Ryukyu Islands清らかな雨に降り注がれて 前が見えない ぼくたちは一体どこにいるの はるかなる海の闇が聞こえる 眩い光に目をくらまされ 時が見えない ここは絶海の孤島・宮古の島 遠い昔の安寧が胸に響く 海はぼ…
ミズイロノコトバちょうちょをこの指でつかんだとき その羽根があまりに薄すぎるあまりに 自らの指の体温が 羽根を伝ってお互いに伝わり合う まさにそのようにして 夢と現つは重なり合った それはロシヤの朝の森 ふた…