はじまりの風〜ウラジオストク
はじまりの風はウラジオストクに吹く風 透明で少し冷たい心が 海からの淡い光に照らされて消える どこからともなく心はよみがえる 前を向くしか行く道はない 見知らぬ鉄道へとたどり着く足 片道の切符…
はじまりの風はウラジオストクに吹く風 透明で少し冷たい心が 海からの淡い光に照らされて消える どこからともなく心はよみがえる 前を向くしか行く道はない 見知らぬ鉄道へとたどり着く足 片道の切符…
この世でどんなに偉大な 旅の出離を果たしても 誕生の瞬間ほどの 天地の返る旅立ちはないだろう ぼくたちの旅立ちは 常に微小だ おそれることはない ひるむことはない どんな異国へ赴いても 異なる言葉が響いても…
氷を踏んで生きて来たのに 突如氷を踏めなくなる時を知る 滑ったことも落ちぶれたことも悲しかったことも それすら愛おしく思う日が来る 氷を踏んで生きることを 虚しく思う日もあったのに どんなにか…
旅する者の瞳はこの世にはない どんなに呼びかけても応えは返らない 閉ざされた深い異国の陰で あなたの心は安らかに眠っている 傷つき果てた先に旅立ったのならば 旅立つという理由は炎に近い 問いか…
流氷はロシアの落とした氷の涙 それをはるかなる北の大地が受け止める 夢のように敷き詰められた氷原は 美しいロシアへとつながっていく 悲しみを誰かに受け止められたなら 悲しみも少しは軽くなる そ…
生きている限り 命は常に傾いている 右へ行くか左へ行くか 天を飛ぶか地を這うか 鼓動を打つ限り 命はどちらかを選んでいる 男を取るか女を取るか 昼に住むか夜に住むか ぼくがぼくを愛することが …
与えられるはずのない 定めを引き受け旅は始まる 失くすはずのないものを 喪失しながら旅を継ぐ どうしようもなく悲しい心を 歩ませるのは学問ではなく どうしようもなく痛む傷を 忘れさせるのは習わ…
ぼくは異国を旅することができない どんなにはるか遠くまで 肉体を旅立たせても 心まで旅立たせることはできない もしかしたら誰もが そうなのかもしれないわ あらゆる心はひとところに留まり 旅立ち…
重き荷を背負えば 歩みもはるか遅くなる 容易く行けた場所に行けなくなる 誰もができることができなくなる 重き荷が見えるものならば 手を差しのべてくれるものもあろうが ぼくにしか見えない荷物 あ…
樹氷というものを見たこともないのに、ぼくの創造は樹氷に満ちていた。 樹氷の詩 ・見果てぬ樹氷 ・樹氷の詩1「〜越境者〜」 ・樹氷の詩2「愛の樹氷」 ・樹氷の詩3「静謐と孤独」 ・樹氷の詩4「時の異国」 ・樹…