先日の記事の通り、ロシアのムルマンスクからフィンランドへの陸路国境越えを果たすべく、ムルマンスクからイバロ(Ivalo)へのバスを予約した。インターネットの精密そうな英語のページではイバロ行きのバスは週に1回土曜日にしか出ていないとの情報だったが、ムルマンスクのホテルからロシアのバス会社に問い合わせると、それ以外にもバスが出ていることがわかり、希望の日曜日にバスを申し込むことができた。果たしてフィンランドへの国境越えはスムーズに可能なのだろうか。
実践!ロシア・ムルマンスク→フィンランド・イバロ→ロヴァニエミをバス移動した
・朝6時半のイバロ(Ivalo)行きのバスに乗り込む
・ロシアからフィンランドへの国境越え
・フィンランド・イバロへ(Ivalo)へ到着
・イバロ(Ivalo)からロヴァニエミ(Rovaniemi)への移動はその日のうちに可能!
・イバロ(Ivalo)でユーロの現金をゲット
・ロヴァニエミ(Rovaniemi)へ到着
目次
・朝6時半のイバロ(Ivalo)行きのバスに乗り込む
インターネットでも出てこないイバロ行きのバスが本当に予約できていたかどうか心配だったが、約束の時間の6時半から少し遅れた6時50分に、きちんとバスはホテルに迎えに来てくれた。少し遅れるというその連絡もきちんとホテルに入っており、対応は丁寧で信頼できるものであった。
6時半にミニバスに乗り込む。乗客はぼくの他にはロシア人2人だった。席を広々と使うことができ、ぼくはミニバスの中で座席に足を伸ばして眠ることができた。非常に快適だ。ぼくは陸路での国境越えを果たしたことが今までにない。果たしてどのようなものだろうか。
北極圏の朝は遅い。まだ日がのぼらない青白く神秘的な森、道の上さえ雪がとけきらない白銀に閉ざされた世界の中を、バスはどんどん進んでいく。月は明るい満月だった。
・ロシアからフィンランドへの国境越え
ロシアからフィンランドへ向かっていることはわかるが、どこまでがロシアか、どこからがフィンランドか、まったく見当もつかない。やがて検問のような、関所のようなところにさしかかり、ぼくたちはパスポートの提示を求められた。問題がないことを確認されると、関所のバーが上がり、ぼくたちのミニバスは先へ進むことができた。パスポートの確認をされたからここからがフィンランドかな?と思ったのも束の間、やがて同じような関所が出現し、ぼくたちは合計5回、車を止められてはパスポートの提示を求められた。国境というものは、かくも厳密に管理されているのだ。
最後の関所では車を降りて、ロシアのイミグレーションでパスポートにスタンプを押された。そんなに厳密な出国審査ではなかったが、いくつか質問をされた。日本人はフィンランドに入るのにビザはいらないの?フィンランド入国の目的は?フィンランドからはどこへ行くの?など簡素な質問で、決して高圧的ではなく朗らかな印象だった。
ロシア出国を終えてほんの少しすると、今度はフィンランドの入国のためのイミグレーションが待っていた。ロシアのイミグレーションは屋内にあったのに、なぜかフィンランド側は屋外で寒かった。真っ白い白銀の世界の中を、入国のために並んだ。といっても、僕たち以外入国する者はなく、ぼくたちミニバスの4人が並んだだけだった。
フィンランドの入国も簡単なもので、フィンランドの次はどこへ行くの?などの質問の後に、速やかに入国することができた。なんの滞りもなくスムーズに、ロシア→フィンランドの陸路国境越えは成し遂げられたと言えよう。
・フィンランド・イバロへ(Ivalo)へ到着
ロシア時間で12時、フィンランド時間で11時頃に、イバロの街へ到着した。イバロの街はあまり何もなく、大きなスーパーひとつと少しの店が白銀の世界の中に立ち並んでいたが、日曜日なので開いていない店も多く、閑散としていた。けれど朝焼けだか夕焼けだかわからない北極圏特有の赤い空を見上げながら、人のまばらな真っ白な街の中を、雪を踏みしめて歩くのは幻想的な経験だった。
この街はホテルも少なく値段も高く、ぼくはサンタクロースの村のあるロヴァニエミ(Rovaniemi)で宿泊することを考えていた。ロヴァニエミならば適度に観光化されており、ドミトリーの安価なホテルも存在していたのだ。といっても、1泊3000〜4000円ほどで、ロシアとは雲泥の差で高価である。北欧の旅とは高い物価との戦いなのだ。そのロヴァニエミに、その日のうちに着くことはできるのだろうか。
・イバロ(Ivalo)からロヴァニエミ(Rovaniemi)への移動はその日のうちに可能!
ロヴァニエミに行くならこのバスステーションだよと言って降ろされたところは、本当にバスステーションなのかと疑うほど何もないところだった。バスもなければ人も皆無。本当にここなのだろうか。バスステーションに併設されているカフェさえ、日曜日だから閉まっている。しかし確かに英語でバスステーションと書かれてはいる。
イバロにさえ到着すれば、あとはフィンランド各地へどこへでも簡単に行くことができるよという情報をムルマンスクで教えてもらったので、それに従って来てみたはいいが、このような閑散とした人気のないバスターミナルに佇んでいては心もとない。ぼくは早速開いているカフェやお土産屋さんで情報収集した。するとなんとフィンランドの人々はみんな英語を話すではないか!ぼくは感動した。なんて旅がしやすいのだろう!国が変わるとこのように言語事情もガラリと変わるのだった。
聞くとみんな親切にインターネットで調べてくれ、ロヴァニエミ行きのバスは13時15分と、それを逃すと16時台になるとのことだった。ぼくは11時にイバロに到着したので、13時15分に乗ることにした。いずれにせよ、ムルマンスクを早朝に出てイバロに到着し、その日のうちにロヴァニエミへ到着することは可能となりそうだ。
・イバロ(Ivalo)でユーロの現金をゲット
しかしぼくには気がかりなことがあった。現金をロシアルーブルしか持っていなかったことだ。この何もなさそうな街の中でATMを探し出し、ユーロを手に入れることが賢明である。ぼくはATMを求めてイバロの街をさまよい始めた。
しかし見つからない。スーパーの中にもないし、bankという文字も街中にない。お店の人に聞いてもわからないと言われ、散々探し求めた挙句にやっとひとつのATMを見つけ出した。この場所がバスステーションの最短距離のATMであるかは定かではないが、バスステーションの左目の前に大きなスーパーがあり、そのままバスステーションの前の大きな1本道をひたすらスーパー側へ左に向かって歩き続け、スーパーを通り過ぎてもひたすら歩きつづけると、向かって左側に、店舗の側面に取り付けられた吹きさらしの黄色いATMが出現する。雪の中ではバスステーションから徒歩15〜20分ほどだろうか。
しかしこの情報はもはや不要かもしれない。なぜなら、ロヴァニエミ行きのバスでは、その料金50ユーロをクレジットカードで支払えるからだ。このイバロの街で躍起になって現金をゲットする必要性はないだろう。
・ロヴァニエミ(Rovaniemi)へ到着
13時15時分発、ロヴァニエミ行きのバスは12時50分にはバスステーションに到着していた。先ほど申し上げたように、クレジットカードでバス料金約50ユーロを支払えるので、現金は不要である。バスの中には白い大きなカードが乗っている座席があるが、それはフィンランド語で予約席と書かれているらしく、そのカードのある席には座らない方がよい。後から座席を変更しなくてはならなくなり非常に面倒である。
このバスが非常に快適な大型バスで、なんと無料でWi-Fiが使用できた。ロシアでは考えられないサービスである。Wi-Fiでインターネットを見たり、眠ったりしながら、18時頃にはロヴァニエミに到着した。このようにスムーズにその日のうちに、ムルマンスクからイバロ、イバロからロヴァニエミへ移動することは可能である。ロヴァニエミでの安宿を求める人、サンタクロース村のあるロヴァニエミに効率よく早めに移動したい人などは、参考にされてはいかがだろうか。