朝食はあるのかないのかどっちなの?!?!?
アトスの修道院は朝食なし?!Zografou修道院からフェリーで最大の港町ダフニまで移動した
・女人禁制のギリシャ正教の聖地アトスへの憧れ
・Zografou修道院は朝食なしの1日1食だった
・アトス2日目は東海岸のPantokratoros修道院を目指そう
・Wi-Fiはある?携帯の電波はつながる?アトス内でのインターネット事情!
・ダフニまでの短い船旅は美しい修道院の絶景続きだった
目次
・女人禁制のギリシャ正教の聖地アトスへの憧れ
2017年に偶然「孤高の祈り ギリシャ正教の聖山アトス」という写真集を見かけて衝撃を受けた。ギリシャ正教の辺境の聖地アトスでは何と1406年から今に至るまで女人禁制が貫かれており、一般的な世界とは隔絶された宗教世界の中で黒ずくめの衣装を纏った僧侶たちが自給自足の生活を営みながら祈りに専念しているのだそうだ。神秘的で美しく荘厳なアトスの写真の数々を目にしたぼくは、せっかく男性の肉体を持ちながらこの世に生まれ着いたことだし、世界一周の旅の中で絶対にギリシャのこのアトスへと立ち寄ろうと直感的に心に決めた。
・Zografou修道院は朝食なしの1日1食だった
Zografou修道院では夕方17時からのお祈りの他に、何と早朝4時からの8時までのお祈りもあった。アトスの修道士の生活は、思ったよりも忙しいようだ。しかし先日の記事でも報告したように、Zografou修道院では正教徒ではない異教徒がお祈りを見学することは許されなかったので、わざわざ早朝4時に早起きして教会に出向くということはなかった。時間を気にせずぐっすり眠ることができたのでその点では見学を禁止されてよかったと言えるだろう。
しかし気になるのは朝食についてだ。夕食の場合は夕方のお祈りが終わってからそのまま続きで食事の時間となったので、みんなについて行けば問題なく夕食をいただくことができたが、朝食の場合はどうなのだろうか。修道院では昼食が出るということがなく、アトスにはレストランや食堂も基本的にはないので朝食と夕食の1日2食となる。それならばその2食をきっちりと取ってエネルギーを蓄えなければならない。何としても朝食を逃してはならないと感じられた。ぼくは朝のお祈りに参加することはできないが、お祈りが終わる朝8時ごろには起きて教会に向かい、他の巡礼者のお祈りが終わって朝食に向かうところを着いていくしかないだろう。
そう考えて朝7時には起床して修道院内をウロウロしていた。巡礼者の中には教会内でお祈りが行われている時間であっても外でボーッとしていたりお喋りしている人がいたり意外と自由な感じなので、ぼくは外にいる巡礼者に朝食の時間について聞いてみた。ギリシャはかなり英語の通じる国だったが、このアトスの修道院では英語が通じにくい傾向があるように感じる。英語を話せる人を見つけ出し、何とか質問する。ある人は朝食は8時半だと言い、ある人は9時だという。また別の人は1日1食で朝食はないだろうと言う人もいた。一体どれが本当なのだろうか。
ぼくは8時頃まで教会内でお祈りが終わるのを待ち、その後8時半まで待ち、さらには9時までしっかり待ったが、朝食が開催される気配は全くなかった。どうやらZografou修道院は本当に1日1食だったようだ!初めて来たのでアトスの食事の仕組みもよくわからなかったが、他の修道院も基本的に1日1食なのだろうか。これは巡礼者にとってはかなり重要な問題なので、これからのアトスの旅で確かめていくしかない。
考えられることとしてはキリスト教では水曜日はユダの裏切りの日、金曜日はキリストが十字架に磔にされた日として斎(ものいみ)の日とされているため、粗食で済ませる習慣があるらしく、朝食がないのはそれにまつわるものかもしれないと考えたが、この日は土曜日だったのでおそらく何の関係もなさそうだ。
結局朝食はないままZografou修道院を去ることになった。帰りの際にも行きと同じようにミニバスで無料送迎してくれてとてもありがたかった。舗装されていない道の上をガタガタと激しく揺れるミニバスに何とか捕まりながら、昨日アトスへと初上陸したZografou修道院専用の港Arsanas Zografouまでやって来た。今日はここからフェリーの終着点であるアトス最大の港ダフニまで航海することにする。
・アトス2日目は東海岸のPantokratoros修道院を目指そう
アトスに入るまでは初日に泊まる修道院しか決まっていない状態だったが、実はZografou修道院からVatopedi修道院に巡礼している途中で、別の修道院から明日泊まってもいいというメールの返信があったのだ。その修道院の名前はPantokratoros。今日はPantokratoros修道院を目指してアトスの旅をすることにした。
Pantokratoros修道院はVatopedi修道院と同じように、アトス半島の東海岸に位置している。距離的にはアトスの首都カリエスから近いので、カリエスから向かうのが正解だろうと考えた。Pantokratoros修道院に限らずほとんどの修道院は首都のカリエスを拠点としてミニバスで移動するようだ。フェリーの終着点であるダフニと首都のカリエス間を行き来する人の数は当然多く、バスが頻繁に出ているという情報も目撃したがそれも定かではなかった。自分で直接ダフニまで行って確かめるしかないだろう。
・Wi-Fiはある?携帯の電波はつながる?アトス内でのインターネット事情!
ここでアトスでのインターネット事情について説明しよう。修道院には当然Wi-Fiはなかった。しかしギリシャのsimカードを持っているならば、アトス内にギリシャの携帯電話会社の電波は普通に通っていたのでインターネットは問題なく使えそうだ。
ぼくはといえば今まで海外でsimカードを買ったこともない人間なのだが、今回初めて日本のdocomoが提供するahamoのsimカードを持ってきた。ahamoは日本と全く同じ料金で、海外でも日本と同じように20GB使い放題だと書いてあったので、何てお得で便利なサービスなのだろうと感動したからだ。
しかしahamoのサービスにはぼくが気付かない罠があった。なんと海外に15日間以上いると速度制限されるというのだ!しかもちょっと遅くなる程度の速度制限ではなく、もはやほとんど使い物にならないくらいに速度が落ちた。そしてその速度制限は、一旦日本に帰るまで解除されないという。
ぼくはギリシャの前にタイ、マレーシア、シンガポールと長旅を続けてきたので、ギリシャに入る前には既に15日が経過し速度制限がかかっていた。どれくらい遅いかといえば、LINEで「わかりました」という一文ですら送信するのにしばらく時間がかかってしまうほどだった。当然画像や動画は送れず、グーグルマップも読み込めないし、もはや何のために月額料金を払っているかわからない速度だ。早く日本に帰ってahamoを解約したい。お金が勿体無い。
しかし全く役立たないかというと、実はそうでもなかった。それが今回の一件だ。Pantokratoros修道院の泊まってもいいという返信メールは、アトスの巡礼中に送られてきた。ぼくにとってアトス内の唯一のインターネット環境は、このahamoだった。そしていくら超低速度とは言ってもメールの受信くらいはできるのだ。そしてものすごく時間がかかるものの、辛抱強く待ち続けていればメールの内容を見ることもできた。そしてものすごく時間をかけて「ありがとうございます。明日伺います」と簡単な文章を修道院に返すことにも成功した。
つまり日常の旅ではほとんど使い物にならないahamoのサービスだったが、そのおかげで2日目の宿をゲットすることができた。もしもahamoがなければPantokratoros修道院からの返信メールを確認することもできなかったし、2日目の宿をどうしようか途方に暮れていたかもしれない。そういう意味でやはりどんなに低速度であろうとも、インターネット環境が“ある”のと“ない”のとでは歴然とした差があるなぁと感じられた。
・ダフニまでの短い船旅は美しい修道院の絶景続きだった
Arsanas Zografou港からダフニまでのチケットは5ユーロだった。ウラノポリ発の時のように厳格にアトス入山証やパスポートなどを提示する必要は一切なかった。ただ5ユーロ払ってチケットを買っただけのことだった。
アトスは入るのは厳しいが、一旦入ってしまえば何もかもがユルユルしている雰囲気だった。
この日は常に晴れているギリシャにしては珍しく小雨混じりの曇り!アトスのように山や森があると水蒸気が蓄えられて雨雲が形成されやすくなるのだろうか。昨日ははっきり見えていたアトス山の山頂も見えていなかった。
Arsanas Zografou港からダフニへ行くまでにフェリーから望まれるアトス半島の風景は、ウラノポリからArsanas Zografou港までの風景よりも絶景続きだと感じられた。それは美しくて華やかで巨大な修道院が海岸沿いに次々に立ち現れてくるからだ。もはや古代の立派なお城のような雰囲気!まるで中世の世界に引き戻されたような感覚を味わいながら、ダフニまでの短い船旅を楽しんだ。
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