スイスで見つけた青い宝石
それは高く天へと舞い上がり
人の手には届かない宝石
神様の白い山脈を行き来する
あるのかないのかわからない点滅
どちらにせよ知らされる澄明
有象と無象を旅するための透明
行く先を聞かぬための聡明
乗り換えの駅で渡される青い宝石
今という時間にしか出会えない定め
氷河を越えればたどり着くだろうと
旅だったものは誰もが消えてゆく
美しいものを与えられてばかりだ
旅をするほどに極度の美を受け取り
それをとらえては喜んでばかりだ
終わりを告げる鐘を鳴らそう
やがては受け取ることを終える時を知る
この腕が美を創造する炎をかざす
生まれてきたことも旅することも
すべては炎の色を聞くためだと知る
氷の生み出す白夜に囚われて
もう二度と帰ることはできない
青い氷をこの手に握らされて
もはや春を受けることができない
青い宝石だけを心に留めよう
その澄んだ瞳の眼差しは
さながら神聖な森を渡る川水
宙とぼくをつなぐための点滅