ネロとパトラッシュに会いに!ブリュッセルからアントワープまで往復10€の日帰り小旅行

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ネロとパトラッシュはおじいさんやお母さんのいる遠いお国へ行きました。

ネロとパトラッシュに会いに!ブリュッセルからアントワープまで往復10€の日帰り小旅行

・フランダースの犬から見る日本人の死生観
・ブリュッセルからアントワープまで日帰り旅行
・美しいアントワープ鉄道駅
・ルーベンスの家は見応えのある古民家
・アントワープ聖母大聖堂
・誰よりも絵画に近い存在
・聖像だらけのレストランElfde Gebod
・アントワープ写真集

・フランダースの犬から見る日本人の死生観

「ネロとパトラッシュはおじいさんやお母さんのいる遠いお国へ行きました。もうこれからは寒いことも悲しいこともお腹の空くこともなくみんな一緒にいつまでも楽しく暮らす事でしょう。」

ぼくはフランダースの犬のこの最後の一節がとても好きでした。“死んでしまった”という物語をこんなにも救いのある言葉と共に終わらせたことに、ただの悲しみだけではない彼らへの慈しみを感じたのです。そしてこの言葉は、日本人の死生観をも表しているのではないでしょうか。

ぼくたちは誰かが亡くなると、大抵仏教的なお葬式をした後、49日目に生まれ変わりの儀式を行います。しかし、本当に仏教的に輪廻転生を成し遂げ生まれ変わっていると信じている人が、日本人の中にはどれほどいることでしょう。実はそんなに多くはないのではないでしょうか。

ぼくのおばあちゃんはよく眠る前に、天国のおじいちゃんにお祈りをしています。今日一日無事に過ごさせてくれてありがとう、明日も無事に過ごさせてくださいとお願いしているのです。そればかりではなく、仏壇におじいちゃんやご先祖様がいると感じていたり、お墓にも同様に亡くなった人の存在を自然と感じているようです。それはぼくたち若い人々も同じではないでしょうか。

しかし本当に輪廻転生を信仰していて、死者が生まれ変わっていると信じているのならば、このような気持ちは起こらないのではないでしょうか。死んだ人が生まれ変わっているのならば、その人はもうどこかで自分たちとは無関係なまったく新しい人生を歩んでいるはずです。そんな人が、天国にいたり、仏壇にいたり、お墓にいたり、はたまたお盆に帰ってくることなどありえません。

ぼくたち日本人は仏教的なお葬式を形式的には行うものの、実はまったく仏教的な輪廻転生の概念など信じておらず、本当は古来中国的な儒の死生観の方がはるかに濃厚であること伺えます。ぼくたちは本当は、人が死んだら、大きな川を渡ってその先には、死んでいった家族たちが健やかな状態で待ってくれており、そこでみんなで永遠に幸せに暮らせるという考えを持っているのではないでしょうか。

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「ネロとパトラッシュはおじいさんやお母さんのいる遠いお国へ行きました。もうこれからは寒いことも悲しいこともお腹の空くこともなくみんな一緒にいつまでも楽しく暮らす事でしょう。」という文言も、日本人としてとても自然な優しい死生観を映し出しているように思えてなりません。仏教では人は生まれ変わり苦しみの輪廻の世界へと引き戻されてしまうと説かれていますが、ぼくたちの死生観は安らかな幸福へと向かっていくのです。

 

 

・ブリュッセルからアントワープまで日帰り旅行

そんなネロとパトラッシュの街へ、機会があれば絶対に行きたいと密かに願っていました。ネロとパトラッシュが遠いお国へ旅立ったのは、ベルギーのアントワープという街の大聖堂です。そして今回の旅で、ついにその機会が与えられました。

ぼくが滞在しているブリュッセルからアントワープまでは片道1時間以下と近く、行くための方法も電車からバスまで様々な方法があります。行くための方法を全部まとめて調べ上げるためには、GoEuroというサイトが便利です。

このGoEuroで調べてみると、電車は往復18ユーロ、バスは往復10ユーロ、いずれもかかる時間は50分ほど。出発時間も数多あり自由に選ぶことができます。ぼくはこの旅でバスの便利さと安さと時間の正確さを知っていたので、バスで行くことにして予約しました。バスはいつもよく使っているFlixbus!遅れたこともなければ最も安いことが多く、中でもWi-Fiを自由に使えるし、この旅で最も多用したバス会社です!黄緑色がトレンドマークで見つけるのも簡単です。

 

・美しいアントワープ鉄道駅

Flixbusを使って8時にブリュッセルを出発し、9時前にはアントワープへ到着!バスステーションはアントワープ鉄道駅の真ん前なのでわかりやすい場所。帰りも同じバスステーションからブリュッセルへ帰ります。

まず驚いたのが、このアントワープ鉄道駅の美しさです!何も知らずに気軽に入ってど肝を抜かれました!なんと世界の美しい鉄道駅の常連さんなんだとか。なんだか美しい教会にでも入ったのかと間違う思うほどでした。こんな駅を毎日使っていたら通勤・通学も楽しくなりそうです。

鉄道駅だけでその荘厳さと美しさを早速見せつけてきたアントワープの街。これからの観光に期待が高まります。

 

・ルーベンスの家は見応えのある古民家

次に向かったのは、ルーベンスの家。ルーベンスは言わずもがな、ネロとパトラッシュが天国へ行く前に見ることができた大聖堂の絵画の作者です。大聖堂へ立ち寄る前に彼が実際に住んでいたお宅にお邪魔し、その歴史や人柄を知ることができました。

ルーベンスはこのルーベンスの家を1610年に購入し、1640年に亡くなるまで家族と共に住んでいたといいます。ルーベンスは美術品の収集家としても知られていたようで、ルーベンスの家では彼の描いた作品の他に、彼が収集した世界各国の絵画や家具、像などを鑑賞することができました。貴重なルーベンスの自画像をはじめとして、有名なアダムとイヴの絵も見ることができます。

彼自身の作品や彼がどのような美術品に囲まれて生活していたのかを垣間見ることができるのも興味深いですが、この家自体も趣があってぼくは大好きでした。日本でいう古民家のような雰囲気が漂っていて、なんだか気分が落ち着きます。古民家カフェやレトロカフェ巡りが趣味のぼくとしては、この家もカフェにしたらきっと素敵になるのにと考えたりしていました。

ルーベンスの家の値段は8ユーロ!見るのは1〜2時間あれば十分だと思います。解説は英語のものをもらうことができます。ルーベンスの家をゆっくりと堪能したあとは、いよいよアントワープ聖母大聖堂へと向かいました。

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・アントワープ聖母大聖堂

アントワープ大聖堂はベルギー第2の街らしく、結構都会で驚きました。フランダースの犬のイメージでアントワープの街へ行くと、その近代的な雰囲気に驚くことになるでしょう。たくさんの最新ファッションや電化製品、お菓子屋さんやチョコレート屋さんやレストランが立ち並び、歩きながらウィンドウショッピングを楽しむことができます。

しかしやはりアントワープ聖母大聖堂に近づくに従って、旧市街の趣きが強くなり、だんだんとフランダースの犬の世界観へと入り込んで行きます。もうすぐネロとパトラッシュに会えるんだという気持ちが高まります。

アントワープ聖母大聖堂の入場料は6ユーロ!高い!と心の中で叫びながらも、ここへ入るためにわざわざアントワープまで来たのでおとなしく支払います。しかしこの6ユーロ、入場してからは決して高くないことがすぐにわかりました。なんとアントワープ聖母大聖堂は、ただ単に教会としての役割を果たしているばかりではなく、美術館のような役割も果たしていたのです。中へ入ると数々の宗教的な絵画が展示されており、時には本物の美術館から借りてきて飾っているものまであります。ステンドグラスもスケールが大きく緻密で美しく見応えがあります。ひとつひとつ丁寧に見て行くと、時間が経つのを忘れてしまうことでしょう。

入り口からひとつひとつ絵画を鑑賞していきます。やはり訪れる日本人が多いのか、欧州語以外では日本語表記が唯一記載されており、日本人は安心して解説を読むことができます。ほぼすべての絵画に解説が施されていた点が非常にありがたく、またパンフレットは日本語のものをもらうことができます。

ひとつ見てはその前の椅子へ腰掛けて鑑賞し、ひとつ見ては座りを延々と繰り返し、ついにルーベンスの絵画へとたどり着きました!やはりなんだか次元が違って見えるような気がしてしまいます。ルーベンスの絵画は「キリスト昇架」「キリスト降架」「聖母被昇天」「キリストの復活」の4作がありますが、やはり見たかったのはフランダースの犬でネロとパトラッシュが最終回に見たという「キリスト昇架」と「キリスト降架」です。この2つは入り口から順番に見て行くと、最後のクライマックスに鑑賞できるように設置されています。

「キリスト昇架」と「キリスト降架」。どちらも大迫力ですが、ぼくは断然「キリスト降架」の方が好きで、こちらを長い時間鑑賞してしまいました。ネロとパトラッシュが天国に旅立ったのも、この「キリスト降架」の前でしたね。絵画内における人々や物の設置のバランスが心地よく完璧なのではないかと思えるほどで神聖を感じざるを得ません。

 

・誰よりも絵画に近い存在

ぼくがこの絵画の前に立ちすくんでいるとき、この世界の誰よりもぼくがこの絵画に最も近い存在なのだという事実に気づいて驚きを禁じ得ませんでした。日本でも世界的にもきわめて有名で、あのネロとパトラッシュが目の前で天国へのぼっていった、こんなにも神聖で貴重な絵が、この世で他のどんな人間よりも、ぼくとの距離が最も近い瞬間があるなんて、考えてみればものすごく不思議だと思いませんか?

それが芸術鑑賞というものの感動と価値の極みなのかもしれません。誰もがその作品の前で芸術鑑賞をするとき、その世界的に有名な創造物と自分とが、この世の中のその他のどんな人間よりも、最も近い瞬間を持つことができるのです。芸術鑑賞がいかに尊いものであるかを、ぼくはなぜかこのアントワープ聖母大聖堂で悟ったのでした。そして作品と肉体とが最も近い機会はお金を支払えば誰もが作れる、それを超越して、作品と精神とが最も近い機会をも得なければならないだろうと、新しい目標を思案するのでした。

ネロとパトラッシュも、人生で最も見たいと切に願っていた神聖な創造物と自分たちとが、最も近い瞬間に天国へと旅立てたわけですから、それはひとつの“幸福”と言わざるを得ないのではないでしょうか。人生で最も叶えたかった夢を叶えたその幸福の頂点で天へと召されて行くという、いわば理想的な旅立ちの姿は、ぼくたちに、いかに生きるべきかということと同時に、いかに死ぬべきか再考しなければならないと教えているように感じてなりません。

アントワープ聖母大聖堂から出てくると、先程は気がつかなかったのに、なんと目の前にネロとパトラッシュの像が横たわっていました。これは忘れられない最終回の旅立ちの姿でした。

 

 

・聖像だらけのレストランElfde Gebod

大聖堂のすぐ横に面白いレストランがあったので行ってきました。その名もElfde Gebod。この店内の雰囲気は世界のどこでも見たことのないものでした。

なんと数多くのキリストやマリア様などの聖像が、レストラン内に所狭しと並べられていました!アントワープ聖母大聖堂で神聖な気分に浸った後に、またさらに神聖な雰囲気がぼくに訪れようとしていました。しかし中は至って普通のレストランで、みんなお酒を飲んだりご飯を食べたり楽しそうにしています。フォトジェニックなレスラントいう感じで、写真を撮るのも楽しい場所。

ぼくは軽食のサンドイッチとオレンジジュースを頼んで、数多の聖像たちに囲まれながらランチを楽しみました。ゆっくりしていると、もうブリュッセル行きのバスステーションまで行ってもいい時刻に!16時のバスに乗り込みました。

朝8時ブリュッセル発、夕方16時アントワープのブリュッセルからの日帰り旅行。暇を持て余すこともなく、短すぎることもなく、とてもいい時間だと感じました。ブリュッセルからアントワープまでの日帰り旅行を考えている方も多いと思うので参考にしてみてください!往復10ユーロのバスの日帰り旅行。安いし気軽だし、なんといってもネロとパトラッシュに出会えるアントワープの旅、おすすめですよ!

 

 

・アントワープ写真集

 

 

 

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