なんで破壊神シヴァの象徴が男根なの?????
シヴァ=エッチの神様?!ヒンドゥー教の破壊神シヴァの象徴がなぜ男根(リンガ)なのかインド人に質問してみた
・数多くの神々が住むインドの大地
・シヴァ神の象徴はリンガ=男根である
・なぜ破壊神シヴァの象徴が創造的な男根なのか
・シヴァは破壊神であると同時にエッチの神様だった?!
・リンガは男根ではなくシヴァのお団子ではないかというぼくの考察
目次
・数多くの神々が住むインドの大地
インドにはヒンドゥー教やイスラム教、キリスト教、仏教など様々な宗教が混在しているが、ぼくがインド一周の旅をして、その中でも最も存在感を放っていると感じたのはヒンドゥー教だった。ぼくたちは学校の授業などでもインドはヒンドゥー教の国だと教えられるが、統計によるとインド人の約80%をヒンドゥー教徒が占めているのだという。
ヒンドゥー教は多神教であり破壊を司る神であるシヴァ、維持を司る神であるヴィシュヌ、創造を司る神であるブラフマーが三神一体(トリムルティ)としてメインで信仰されている。しかしインドを旅していると遺跡や寺院で最も多く祀られているのは明らかに破壊を司るシヴァ神であり、その圧倒的な人気に他の神々との差を見せつけられたような思いがした。
・シヴァ神の象徴はリンガ=男根である
インドのヒンドゥー教寺院では、シヴァ神が人の形のような像として祀られているということもしばしばあるが、最も典型的な方法ではシヴァ神はリンガとして祀られており、ぼくがインドを旅していた時も寺院の最も重要な中心部に巨大なリンガが堂々と鎮座している様子を確認した。リンガとはまさにシヴァ神の象徴とされており、天に向かって垂直方向に聳え立つそれはまさに男根を表現しているという。またリンガの台座にはヨーニと呼ばれる女陰の象徴が設置されており、リンガとヨーニを合わせて男女の性の結合が示されている。
インドではものすごく壮大で立派なヒンドゥー教寺院の中心にこのリンガが大切に祀られている様子をしばしば目撃し、インド人にとってこのリンガがいかに重要であるかということを、ぼくはインド一周の旅を通して実感した。インドの宗教と信仰の中心には明らかに男根があり、日本一周・車中泊の旅を通して数多くの男根崇拝を発見した経験のあるぼくは、日本とインドの根底には同じ感性が流れているのだという思いを止めることができなかった。
日本人であろうとインド人であろうと、あらゆる人の生命は男女の性の結合から生み出されており、全ての人間の営みは男根と女陰に根差しているのだということを考えれば、ぼくたちが生殖器を崇拝するのは至極当然の成り行きであり、逆に日本やインドのように生殖器に祈りを捧げることを忘れてしまった国の人々は、本来の意味で生命の根源に向き合うことを見失っているのかもしれなかった。
・なぜ破壊神シヴァの象徴が創造的な男根なのか
しかしぼくは不思議だったのは、そもそもなぜシヴァ神の象徴がリンガ(=男根)なのかということだ。シヴァ神と言えば破壊神として有名である。万物を破壊することでまた新しい世界を生み出すきっかけを作り、世界の新陳代謝を促しているのだろう。一方でぼくの中で、男根というものはあまり破壊的な感じがしない。男根って何かを破壊する性質を持っているものなのだろうか。確かに男根が無遠慮に暴れ回ることで家庭が破壊されるということはあり得るかもしれないが、それは本質的な議論ではないだろう。
ぼくの中では男根というのは新しい生命を生み出す元となるものなので、どちらかというとものすごく創造的な感じがする。男根と女陰が結合すれば今までこの世にはいなかった新たな生命が誕生し、自分自身の肉体や心や意識を持って親とは別に独立して行動をし始めるなんて、よくよく考えてみればこの上なく不思議で神秘的な現象である。そしてその結合から、全ての人間に関わるあらゆる現象が生じる。
これほどまでに創造的なエネルギーをみなぎらせている男根であるのに、破壊という全く真逆のように思える役割を担っているシヴァ神の象徴となっているのは理屈がよくわからないし納得がいかない。シヴァ神の象徴がリンガ(=男根)であるというのは有名な話であると思われるのに、じゃあなぜシヴァ神の象徴がリンガなのかと調べてみてもその明確な答えが全く見当たらなかった。ヒンドゥー教は紀元前から存在する古代宗教なので、シヴァ神とリンガの関係性も人々の間でいつの間にか忘れ去られてしまったのだろうか。
・シヴァは破壊神であると同時にエッチの神様だった?!
今回ぼくはインドを一周する機会を得、せっかくだから本場のインド人になぜシヴァ神の象徴がリンガ(=男根)なのかという長年抱いていた疑問について直接聞いてみることにした。果たしてインド人からはどのような答えが返ってくるのだろうか。
ぼくが旅の最中で仲良くなったインド人に「シヴァの象徴としてインドではリンガが至るところで祀られているが、なぜ破壊神であるシヴァの象徴が男根なのか?男根は新たな人の生命を生み出すという観点から創造的な感じがして、破壊とは全く真逆の印象を受ける。なぜ創造的な男根が破壊神として祀られるのだろうか」と率直に質問してみると、そのインド人からは驚くべき回答が得られた。それは次のような内容だった。
「シヴァは破壊神であると同時に、エッチの神様だ。だから男根と女陰の結合が、まさにシヴァの象徴としてインドでは崇拝されているのだ。」
え?!そうなの?!そんな話聞いたことない!確かに調べてみると破壊という性質だけが強調される傾向にあるが、シヴァは破壊神であると同時に”再生の神”でもあるという二面性を併せ持っているようだ。一旦世界を破壊した後でなければ新たな創造が生まれないということを考えれば、破壊神シヴァの中に再生の性質が内包されていても不思議ではないだろう。このシヴァの再生の側面のことを踏まえて、インド人はシヴァ=エッチの神様だと言っているのだろうか。輪廻転生という死生観が根付いているインドの中では、新たな生命の誕生が無からの発生ではなく死からの再生だと考えられているのだとしたら、再生と生殖(=エッチ)は一致するのかもしれない。
ヒンドゥー教というのは開祖を持たない非常に歴史の長い民族宗教なので、その歴史の荒波の中でただ単にシヴァ=破壊神と一面的に片付けられない複雑さと奥深さが形成されてきたのだろう。このように未知なるヒンドゥー教の神々の多面的な性質に生々しく触れることができるのは、日本を飛び出して実際にインドを旅したからこそ得られる貴重な経験だと感じられた。シヴァ=エッチの神様だというのは、インド人の間に伝わる民間伝承のひとつだろうか。シヴァは日本に輸入されると大黒天になったと言われるが、日本ではシヴァの破壊的という側面が完全に削ぎ落とされ再生や繁栄、豊穣といった側面だけが残存しているように見受けられる。インドという異国の神々を深めることを通して日本という祖国の神々を深めることができるという矛盾は、世界一周の旅の醍醐味のひとつだろう。
・リンガは男根ではなくシヴァのお団子ではないかというぼくの考察
ぼくはインドを旅している最中、よく「あなたはシヴァ神のようだ」とインド人から言われた。なぜならぼくはシヴァ神と非常に似ている髪型をしていたからだ。ぼくは全く知らなかったが、シヴァ神はかなりの長髪で頭にお団子を作っているという。ぼくもマンバンヘアというお団子のヘアスタイルでインドを旅していたので、道ゆく人々から「あなたはシヴァ神の髪型だ」「あなたは僧侶なのか?」と言われ続けた。インドではよくシヴァ神の壁画なども見つけたが、確かにぼくの髪型と同じだった。ぼくは知らない間にシヴァ神になってしまっていたのだ。
ぼくがシヴァ神の壁画を見てよく思っていたことは、リンガってシヴァ神の頭の上にあるお団子にそっくりな形をしているなぁということだった。リンガって実は男根ではなく、シヴァ神の頭上のお団子ヘアをそのままに表現しているのではないだろうか。もちろんこの思いつきに根拠など全くないが、インド中を旅したひとりの旅人としての直感的な感想だった。しかしそうなるとシヴァ神と全く同じ髪型だと言われ続けたぼくも頭の上にリンガを乗せているということになるので、何だか複雑な思いである。
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