インドの超古代仏教遺跡に鳥居とそっくりな門を発見!!!!!
鳥居の起源はインド?世界遺産サーンチーの仏塔門(トーラナ)の古代仏教美術の美しさに心奪われた
・日本にしかないと思っていた鳥居がネパールにもあった衝撃
・カジュラーホーからサーンチーへ辿り着くまでの大変な道のり
・サーンチーのMahabodhi Society of Sri Lankaはインド一周の旅で最安の宿だった
・世界遺産サーンチーの仏教建築物群の外国人入場料は600ルピー
・世界遺産サーンチーの仏教建築物群(第1〜第3の仏塔)の歴史
・塔門(トーラナ)の彫刻が美しすぎる!第1塔の古代仏教美術の意味を調べてみた
・第3塔の南塔門(トーナラ)の彫刻も第1塔に負けない見応えがあった
・サーンチーの仏塔の構造と参拝方法
・サーンチーの第1仏塔を一周してみたYouTube動画
・サーンチーの第1仏塔を内部まで冒険してみたYouTube動画
・アナフィラキシーの危険性も!第2塔に生息する蜂は凶暴だからマジで注意
・サーンチー以外のインドの町にも塔門(トーラナ)は存在した
目次
- ・日本にしかないと思っていた鳥居がネパールにもあった衝撃
- ・カジュラーホーからサーンチーへ辿り着くまでの大変な道のり
- ・サーンチーのMahabodhi Society of Sri Lankaはインド一周の旅で最安の宿だった
- ・世界遺産サーンチーの仏教建築物群の外国人入場料は600ルピー
- ・世界遺産サーンチーの仏教建築物群(第1〜第3の仏塔)の歴史
- ・塔門(トーラナ)の彫刻が美しすぎる!第1塔の古代仏教美術の意味を調べてみた
- ・第3塔の南塔門(トーナラ)の彫刻も第1塔に負けない見応えがあった
- ・サーンチーの仏塔の構造と参拝方法
- ・サーンチーの第1仏塔を一周してみたYouTube動画
- ・サーンチーの第1仏塔を内部まで冒険してみたYouTube動画
- ・アナフィラキシーの危険性も!第2塔に生息する蜂は凶暴だからマジで注意
- ・サーンチー以外のインドの町にも塔門(トーラナ)は存在した
- ・インド一周の旅の記事一覧はこちら!
・日本にしかないと思っていた鳥居がネパールにもあった衝撃
日本の鳥居はどこから来たのだろうとふと考えたことがある。鳥居と言えば日本ならどこでも発見することができる、神社の門として建てられた朱色の建造物だ。それはまるで神の領域と人間的な俗の領域を明確に区別するための結界であるようにも見える。神社というのは神道の神様のためのもので、神道というのは日本オリジナルの日本にしかない宗教だ。ということは神社の門である鳥居も、当然日本にしかないに違いないともちろんぼくは考えていた。
しかし2013年にネパールの首都カトマンズを散歩していると、鳥居そっくりの建造物を発見したので驚愕した!しかも鳥居のようなその門の中は明らかにお寺のような宗教的空間であり、神域と俗界を区別するというその役割も全く同じだった。日本にしかないと思っていた鳥居が、まさかのネパールにもあるなんてぼくの中では衝撃的だった!まぁ完全に同じというわけではないものの、作りや役割があまりにも似ている。仏教という世界宗教もインド〜ネパールで誕生して日本へともたらされたので、それと同じように鳥居もインド〜ネパール起源の宗教施設の門が古代に輸入されたのだろうか。
しかしネパールはカトマンズ、ポカラ、ルンビニと巡ったがこれ以外に鳥居に似た建造物を見ることはなかったので、たまたまこのカトマンズのお寺の門だけが鳥居にそっくりだっただけかと、ぼくの中で鳥居=ネパール起源説はやがて忘れ去られていった。
・カジュラーホーからサーンチーへ辿り着くまでの大変な道のり
時は流れ2023年となり、ぼくはインド一周の旅に出かけた。首都のデリー、タージマハルのあるアーグラー、エッチな遺跡のあるカジュラーホー、聖人と巡り会ったサガールを経て、ぼくは次なる目的地サーンチーへと辿り着いた。サーンチーの見所は何と言っても世界遺産にも登録されている紀元前に建てられたという仏塔だ。
カジュラーホー、サガール、サーンチーを行くのは波瀾万丈の道のりだった。本来の予定ではカジュラーホーから電車でボーパールという街まで電車で行き、そこを拠点として日帰りでサーンチー観光をしようとしていたのだが、インドの高名な聖人に会いに行こうといきなり当日言われ、予定を変更してサガールへ行くことになった。サガールはカジュラーホーとサーンチーの丁度真ん中に位置しているので、聖人に会った後はサガールのホテルに泊まり、そこからローカルバスでサーンチーへ行けば近くていいじゃないかという提案だった。
しかしサガールで何万人も見ている大舞台に上げられ聖人にインタビューを受けてしまい、それがYouTubeライブやテレビ放送までされてしまったので、有名で話題になり今日はかなり危険だということで急遽カジュラーホーまで帰らされてしまった!翌日に車でまたサガールへと送ってもらい、サガールほホテルで1泊してから、今度こそローカルバスに乗ってサーンチーへ到着することができた。サーンチーまで来るのは本当に色々あって大変だったよ!!
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・サーンチーのMahabodhi Society of Sri Lankaはインド一周の旅で最安の宿だった
連日の予想外の行程から、本当にサーンチーまでちゃんと辿り着けるかどうか不安だったので、事前に宿の予約をしていなかった。無事にサーンチーに着いてからは、まず宿探しから始まる。これまでの旅路では常に事前にBooking.comから宿を予約していたので、現地に着いてからの宿探しは今回の旅では初の試みとなった。グーグルマップで”hotel”と検索し、近くにありそうなホテルを訪ねてみる。サーンチーはめちゃくちゃ小さくて素朴な”村”という感じの場所だったので、ホテルの数もそんなに多くはなくすぐに泊まれる所を見つけることができた。
ぼくが泊まったのはMahabodhi Society of Sri Lankaというホステルだった。サーンチーの鉄道駅前にあり、何と1泊100ルピー(160円ほど)で泊まることができた!今回のインド一周の旅で最安の宿!部屋はドミトリーのような感じだったが、他に客はいないと教えられた。どうやらサーンチーは仏教の聖地なので、巡礼者用の安い宿がこの場所に建てられたようだ。かなりの安宿なのでもちろん設備も必要最低限。トイレに紙はないし、シャワーのお湯は不安定(インドは猛暑期なので問題なし)、枕もシーツも綺麗とは言えない感じで南京虫も心配だったので自分の体を包める持参のシュラフシーツを利用して寝た。クーラーはなく天井の扇風機は付いていた。Wi-Fiもなし。色々と不便だったが、100ルピーで泊まらせてくれるので何の文句もない。
・世界遺産サーンチーの仏教建築物群の外国人入場料は600ルピー
世界遺産の仏教建築物群までは鉄道駅から歩いて20分ほどだった。小さな村なので迷うことはないだろう。Booking Officeというところでチケットを購入。いつものようにインド人は40ルピーなのに外国人は600ルピー(1000円くらい)だった。高額の外国人価格に文句も言わずに料金を支払い、チケットを受け取る。サーンチーの仏教建築物群の入口まではここから丘の上まで10分ほど歩いた。
・世界遺産サーンチーの仏教建築物群(第1〜第3の仏塔)の歴史
世界遺産サーンチーの仏教建築物群観光のメインは第1〜第3の仏塔(ストゥーパ)。紀元前3世紀に史上初めてインドを統一したアショーカ王は、ブッダの遺骨を安置するための仏塔を8万4千も建立したが、そのうちの8つがサーンチーに建てられ、今はこの3つが現存しているという。サーンチーの仏塔はインドで最古の仏教遺跡として名高い。第1塔と第3塔は比較的近い場所にあり一緒に参拝することができるが、第2塔はやや離れた場所にあり階段を下りながら5分ほど歩くことになる。
その中でも第1塔は大ストゥーパと呼ばれるほどに巨大で、直径37m、高さ16mの半球状のこれまで見たことのない不思議な形をしていた。紀元前3世紀にアショーカ王がレンガ積みの基礎を作り、これを覆うようにして拡張することで紀元前2〜1世紀に完成したという。ブッダの遺骨が納められたという記録が残っている。東西南北には4つの塔門(トーラナ)が設置されており、その美しさは古代仏教彫刻の傑作と謳われるほどである。
第3の仏塔は第1に比べるとかなり小ぶりな印象だが、こちらにも1つのトーラナが建てられている。第3の仏塔は紀元前2世紀に建てられたもので、ブッダの高弟であるSariputraとMahamogallanaの遺骨が納められていたという。第2の仏塔は紀元前2世紀に建てられたもので、レリーフが美しいもののトーラナは初めから作られていない。
・塔門(トーラナ)の彫刻が美しすぎる!第1塔の古代仏教美術の意味を調べてみた
第1塔の大ストゥーパの東西南北四方に建てられた塔門(トーラナ)を見た時、日本人なら誰もが「あ、こんなところに鳥居がある!」と感じてしまうのではないだろうか。上部の横梁が3本か2本かの違いはあるものの、古代インドのトーラナはぼくたちが親しみを覚える日本の鳥居とそっくりだった。インド最古の仏教遺跡の門が日本に今もある神道の門とほぼ同じ形状をしているなんて、何だかとても神秘的で不思議な感覚になる。しかし日本の鳥居が極めてシンプルな作りになっているのに対し、古代インドのトーラナは動物や神々など多様性に溢れた緻密で華やかな彫刻がこれでもかと言わんばかりに敷き詰められており、その美しさは思わず息を飲むほどだった。
北塔門
東西南北のトーラナのうち、北のトーラナは最も保存状態がいい。北のトーラナには獅子や馬や四方を見つめる象、官能的な肉体を持った樹の女神ヤクシーをはじめとする神々、守護神、ブッダの生涯が彫刻として描かれている。ブッダは人間として表現されず、仏足跡や玉座、法輪、菩提樹などで描かれている。
最上部:マンゴーの木の奇跡の場面のレリーフ。ブッダが空中を歩き、その肩から炎が上がり、足から水が流れるという大奇跡を起こしたのは、マンゴーの木の下だったという。
上から2番目:ブッダが好んだ3つの住まいのレリーフ。
上から3番目:ブッダの空中歩行の奇跡のレリーフ。ブッダは描かれず歩いた道だけが描かれている。
上から4番目:ブッダに会うために出発するコーサラ王のレリーフ。
最下部:インドラの楽園のレリーフ。
最上部:インドラが洞窟にいるブッダを訪れるレリーフ。
上から2番目:都市から出発する国王と護衛。
上から3番目:ビンビサーラ王が竹の庭にいるブッダを訪れるレリーフ。
最下部:門の守護神のレリーフ。
最上部:大ストゥーパの南門を礼拝する外国人のレリーフ。
上から2番目:猿がブッダに蜂蜜の鉢を捧げるレリーフ。
上から3番目:ブッダが父親の前で空中歩行し、天上人に祝福されている奇跡の場面のレリーフ。ブッダは描かれず歩いた道だけが描かれている。
最下部:門の守護神のレリーフ。
上部:ブッダが天から降臨するレリーフ。ブッダは描かれず天からの梯子だけが描かれている。
中部:ブッダの出発の場面のレリーフ。
下部:ブッダの説法の場面のレリーフ。
物語性のない植物のレリーフ。
西塔門
夜叉(元々は人を喰らう悪魔だったが仏教に従って改心しブッダを守護する神)が柱を支えている。
上部:インドラの楽園のレリーフ。
最上部:猿として生まれた菩薩が、マンゴーの木を求めて攻めてきた国王たちから一族を逃がそうと、自らがガンジス川に架かる橋となって一族を救う場面のレリーフ。「マハカピ・ジャータカ(尊い猿)」という物語の一節であるという。
上から2番目:兜率天で説法する菩薩のレリーフ。
上から3番目:帝釈天がブッダを訪問するレリーフ。
最下部:紋章のライオンのレリーフ。
上部:前世のブッダが川に水を汲みに行く親孝行の場面のレリーフ。
中部:ブッダの悟りの場面のレリーフ。ナーガ(大蛇の神)との出会いも表現されている。
下部:ブッダが毘沙門天を訪ねるためにガンジス川を奇跡的に渡った場面のレリーフ。上半分だけが残っている。
上部:マーラ(ブッダが悟りを開くのを妨げる悪魔)の軍勢が逃げ惑う中でブッダが悟りを開く場面のレリーフ。人間、動物、神々、ナーガ、天使などが見られる。
中部:神々がブッダに説法を懇願する場面のレリーフ。
下部:門の守護神のレリーフ。
南塔門
ライオンの彫刻が印象的。4頭のインドライオンの柱「アショーカの獅子柱頭」はアショーカ王の象徴とされている。
上部:アショーカ王が2人の王妃と共に鹿の公園を訪れる場面のレリーフ。法輪はブッダの象徴。
中部:戦車に乗って進むアショーカ王のレリーフ。
下部:神々が徒歩、馬、象に乗って、菩薩の前へ急ぐ姿のレリーフ。
上部:アショーカ王によってブッダガヤに立てられた菩提樹のレリーフ。
中部:2人の王妃に支えられ悲しみに暮れるアショーカ王のレリーフ。
下部:ブッダの髪を礼拝する場面のレリーフ。
東塔門
サーンチーのトーラナで最も有名な彫刻である、官能的な樹神ヤクシーの像。
最上部:ブッダの空中歩行の奇跡のレリーフ。ブッダは描かれず歩いた道だけが描かれている。
上から2番目:ブッダガヤの菩提樹のレリーフ。
上から3番目:ブッダが川の上を歩く奇跡の場面のレリーフ。ブッダは描かれず水上の道や玉座だけが描かれている。
最下部:ビンビサーラ王が護衛と共にブッダに会いに出発する場面のレリーフ。
六道の神々のレリーフ。
最上部:インドラがブッダを訪れるレリーフ。
上から2番目:ブッダが火の礼拝堂でナーガ(大蛇の神)を手懐けるレリーフ。
上から3番目:火と薪の奇跡のレリーフ。ブッダの指示があるまでバラモンは薪を切ることも、火を燃やすこともできなかったという故事に因んでいる。
最下部:門の守護神のレリーフ。
上部:ブッダの父親がブッダに敬意を払ったという場面のレリーフ。ブッダの姿は描かれず菩提樹や玉座として描かれている。
中部:上部にはブッダの母親が、ブッダの生まれる前に白い像の姿をした菩薩の夢を見たことが描かれている。その下にはブッダの父親がブッダを迎えに行く場面が、その下には父親の前でブッダが空中を歩行した奇跡の場面が描かれている。ブッダの姿は描かれず空中の道として描かれている。
下部:門の守護神のレリーフ。
・第3塔の南塔門(トーナラ)の彫刻も第1塔に負けない見応えがあった
第3塔は巨大な第1塔のすぐ目の前にある小さめのストゥーパ。
夜叉(元々は人を喰らう悪魔だったが仏教に従って改心しブッダを守護する神)が柱を支えている。
上部はブッダの悟りの境地が法輪として、中部は菩提樹として描かれている。下部はマーラ(ブッダが悟りを開くのを妨げる悪魔)。
上部は菩提樹を拝む人々、中部は信者たち、下部は門の守護神が描かれている。
・サーンチーの仏塔の構造と参拝方法
サーンチーの仏塔は不思議で巨大な半球ドーム状の形をしている。このドーム状の建物は「覆鉢(ふくはち)」と呼ばれ、ブッダの遺骨を埋葬する墓であると共に、入口が皆無で人が入り込めない構造になっていることで「俗人は悟りの境地(覆鉢の中心部)に近付くことはできても、実際にそこに辿り着くことはできない」ことを表現しているとされる。覆鉢の頂上には「傘蓋(さんがい)」が設置され、地位の高い人の頭上に掲げる日傘を意味し、埋葬された人物の地位や聖性を示している。
(東門のブッダの坐像)
(南門のブッダの坐像)
(西門のブッダの坐像)
(北門のブッダの坐像)
第1塔のトーラナを入るとブッダの坐像が見られるが、首が切り落とされている。東西南北の4つのトーラナのうち、首が切り落とされていない仏像が残るのは東の塔門のみだった。
トーラナをくぐってから歩く回廊のことを「繞道(にょうどう)」と呼び、俗世界よりもブッダの悟りに近い空間であるとされる。時計回りに歩いて参拝する。繞道の外壁は「欄楯(らんじゅん)」と呼ばれ、俗世界と神域を分け隔てている。
繞道を時計回りに歩くと南門辺りで階段が出現し、上ると覆鉢のすぐ横を外周に沿って歩くことができる。
(北門のトーラナ裏の彫刻)
(東門のトーラナ裏の彫刻)
(南門のトーラナ裏の彫刻)
(西門のトーラナ裏の彫刻)
第1塔の階段の上の回廊からは東西南北のトーラナの裏側の彫刻を間近で鑑賞することができる。
・サーンチーの第1仏塔を一周してみたYouTube動画
・サーンチーの第1仏塔を内部まで冒険してみたYouTube動画
・アナフィラキシーの危険性も!第2塔に生息する蜂は凶暴だからマジで注意
第1塔、第3塔から離れたところにある第2塔は優美なトーラナもないし地味な印象だったが、欄楯に施されたレリーフは興味深かった。
しかしぼくが第2塔に関して伝えたいことはそれよりも何よりも、第2塔にいた蜂が危険すぎるということだ!マジでここの蜂は意味不明なほどに凶暴だった!よくアニメとかで主人公たちが蜂に追いかけられてさぁ大変みたいな場面に出くわすが、実際に生きてきて蜂に追いかけられたり刺されたりした経験は皆無だったので、ああいうのはアニメを面白くするための演出で実際に蜂というのはそんなむやみやたらと襲ってくる生物ではないというのがぼくの認識だった。
しかしそんなぼくがこれまでの人生で積み上げてきた蜂にまつわる認識を、第2塔の蜂はことごとく崩壊させた。ぼくは最初鉢がいることなんて全く気付かずに、誰も人がいない第2塔を平和に見学していたのだが、いきなり左手に激痛が走り、よく見ると周囲に何匹かの蜂がいたので刺されたのだということをすぐに理解できた。人生で初めて蜂に刺されたので驚いたが、運が悪かったのだろうと諦めてそのまま第2塔を呑気に歩き続けていたら、今度は足首を2回も刺されて、さすがにこんな攻撃的な蜂がいるところにはいられないと思って即座に逃げ帰った!
蜂に2回以上刺されたらアナフィラキシーというアレルギーの重い症状が出る可能性があるので、そのことも考慮して自分の体調をよく観察しなければならないという医学的な考えもあった。水で刺された場所を洗い流し、木陰に座って蕁麻疹や呼吸困難などのアレルギー症状が出ないかを30分ほどよく観察したが、特に刺された痛み以外は何の症状も出なかったので安心して宿に帰った。
あんなに凶暴で攻撃的に人を襲ってくる蜂が世界にはいることを、ぼくはインドのサーンチーで初めて知った。日本の蜂は穏やかな性格だがインドの蜂は凶暴な性格だとか、そういう国による違いが蜂にもあったりするのだろうか。この出来事はたまたまなのかもしれないが危険な蜂の巣が第2塔にはあるかもしれないので、見学に行く予定がある人は本当に気をつけてほしい。こんな田舎の村で2回以上刺されてアナフィラキシーなんかになったら命に関わる重篤な状態に陥ることもあるし、すぐに病院に行けるかわかったものではない。第2塔意外では蜂の心配なんかせずに安全で平和に美しい古代仏教遺跡を見られて大満足だったが、最後の最後に本当にびっくりするような思い出ができてしまった。アナフィラキシーにならなくてよかったなぁ。
・サーンチー以外のインドの町にも塔門(トーラナ)は存在した
インド最古の古代仏教遺跡サーンチーの仏塔の影響力はやはり大きいらしく、この後インドを一周していても仏教にまつわる場所ではあちこちにサーンチーの塔門(トーラナ)を模した門を発見した。
ブッダガヤのお寺の門にトーラナが聳え立っている。
ブッダが亡くなった入滅の地クシナガラの町の入り口にもトーラナが!
クシナガラのお寺にもトーラナが見られた。このようにインドのいくつかの仏教寺院では、日本の神社の入口に鳥居が建てられているように、お寺の門にトーラナが設置され俗界と神域を分け隔てていた。まさにトーラナと鳥居はその形も役割も瓜二つであり、古代インドのトーラナが東の果ての島国・日本にまでやって来て鳥居となった可能性は0ではなさそうだ。
しかしインドを一周してもトーラナを見る機会はほとんどない一方で、日本では鳥居がそこかしこに溢れているので、もし鳥居がインド起源であるならば、その起源の国ではほぼ滅びたトーラナが遠く離れた日本という異国では鳥居として生き残り活用され続けているなんて何だか面白い。それはインド起源であるのに今はヒンドゥー教に押されて信仰する人がほとんどいなくなってしまった仏教が、インドではない他の東南アジアや東アジアの国では今なお熱心に信仰されているという状態と似ているのかもしれない。
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