日本寺やブータン寺も!ブッダガヤでは世界各国の美しき仏教寺を一気に巡礼できた
・ブッダによる四つの聖地の説明(大パリニッバーナ経よりp.138)
・世界各国の仏教寺が立ち並ぶブッダ生誕地ルンビニの思い出
・ブッダ悟りの地ブッダガヤでも世界各国の仏教寺を参拝できた
・ブッダガヤの日本寺は敷地が広大でまるで公園みたいだった
・ブッダガヤの美しきブータン寺でブータンへの憧れを再確認した
目次
・ブッダによる四つの聖地の説明(大パリニッバーナ経よりp.138)
アーナンダよ。信仰心のあるまじめな人が実際に訪ねてみて感激する場所は、この四つである。その四つとはどれであるか?
修行完成者はここでお生まれになったといって、信仰心ある良家の子が実際に訪ねて見て感激する場所がある。
修行完成者はここで無上の完全な悟りをひらかれたといって、信仰心ある良家の子が実際に訪ねて見て感激する場所がある。
修行完成者はここで教えを説き始められたといって、信仰心ある良家の子が実際に訪ねて見て感激する場所がある。
修行完成者はここで煩悩の残りの無いニルヴァーナの境地に入られたといって、信仰心あるまじめな人が実際に訪ねて見て感激する場所がある。
アーナンダよ。誰でも、祠堂(チェーティヤ)の巡礼をして遍歴し、浄らかな心で死ぬならば、かれらはすべて、死後に、身体が壊れてのちに、善いところ、天の世界に生れるであろう。
・世界各国の仏教寺が立ち並ぶブッダ生誕地ルンビニの思い出
ぼくはインド一周の旅の中で首都のデリー、タージマハルのあるアーグラー、エッチな遺跡のあるカジュラーホー、聖人に出会ってテレビデビューまでしたサガール、インド最古の仏教遺跡のあるサーンチー、エローラ石窟群とアジャンター石窟群まで日帰り旅行できるアウランガーバード、5つ星タージマハル・ホテルに泊まった大都会のムンバイ、ピースフルな空気漂う南インドのゴア州、全裸の大仏が聳え立つジャイナ教の聖地シェラバナベラゴラ、南インドの伝統古典舞踊カタカリダンスを見られたケララ州のコーチン、東インドの大都会コルカタを経由して、ついにこの旅最大の目的である仏教巡礼の旅を開始するためにブッダガヤを訪れた。
仏教には四大聖地が存在し、まとめると以下の通りだ。
ルンビニ(ネパール) | ブッダ生誕の地 |
ブッダガヤ(インド) | ブッダが悟りを開いた地 |
サールナート(インド) | ブッダが初めて説法した地 |
クシナガラ(インド) | ブッダ入滅の地 |
ぼくはこの中では、ネパールのルンビニにだけは大学の卒業旅行で唯一行ったことがあった。卒業旅行ではネパール一周旅行をしようと思い、首都のカトマンズやヒマラヤが美しく見えるポカラなど定番中の定番を回ったが、お釈迦さまが生まれた場所だというルンビニにだけはマイナーであろうと行きたくて、ポカラからバスに乗り込んでルンビニを目指した。ネパールではバンダというストライキが頻繁に起こっており、この日もバンダの影響で観光バスが出なくなってしまったということで、クーラーもない小さなローカルバスの中にネパール人や欧米人などと一緒に鮨詰めになってルンビニへ行くことになったので大変疲弊した記憶がある。しかもその途中の道路が、ドライバーがちょっとでも運転を誤ったら真っ逆さまに落ちていきそうな断崖絶壁を延々と走っていく悪路となっており、あぁもしかしたら今日死んでしまうかもしれないなぁと心の中で覚悟してしまうほどだった。
何とか無事に辿り着いたルンビニは、これまでの涼しくて快適だった高地のカトマンズやポカラとは異なり、むせ返るような熱気を感じた。地図で見てみるとルンビニは当時ぼくが怖いと恐れていたインドとかなり近かったというかむしろ国境付近だったので、これがインドの熱気か、やっぱりインドは恐ろしい場所のようだとインドに対する恐怖心を募らせていった。ルンビニではヒンディー語を先行している東京外国語大学の学生に出会ったが、彼はインドを旅してからネパールに入ったところで、ネパール人はインド人と違って嘘をつかないからとても旅がしやすいと語っていた。嘘をつかないことなんて当たり前のことなのに、旅人にも嘘をつきまくるインド人って一体…とインドに対する謎は深まっていくばかりだった。
ルンビニで印象的だったのはさすが仏教四大聖地といった感じで、広大な敷地の中に世界各国の仏教寺が建設されていたことだった。日本中国韓国はもちろんのこと、タイやミャンマーなどの東南アジア諸国、スリランカ寺などの南アジアに加えて、意外なところでは欧米のフランス寺やドイツ寺、オーストリア寺なんかも建設されていた。ブッダ生誕の地の菩提樹には5色のタルチョーが風でなびき、その下でアジアの修行僧だけではなく欧米の一般人でさえも瞑想を続けている光景は印象的だった。仏教はアジアのものだけではなく、もはや世界宗教なのだと感じさせられた瞬間だった。そして今回訪れたインドでブッダが悟りを開いた聖地、ブッダガヤでも世界各国の寺院が立ち並んでいてルンビニを思い出させられたのだった。
・ブッダ悟りの地ブッダガヤでも世界各国の仏教寺を参拝できた
ブッダガヤ観光のメイン、ブッダが悟りを開いた菩提樹のあるマハーボディー寺院(大菩提寺)を参拝した後、ぼくはブッダガヤの街の散策を始めた。ルンビニのように世界各国の仏教寺院が立ち並んでおり、仏教寺院を通してその国ごとの特徴や信仰の姿がわかるので非常に興味深い。
タイ寺(Watthai Buddhagaya Temple)
中国寺(中華大覚寺)
チベット寺
スリランカ寺
日本寺
ブータン寺
・ブッダガヤの日本寺は敷地が広大でまるで公園みたいだった
ぼくの中でやっぱり印象的だったのは日本寺だった。インド一周の旅を初めてもう1ヶ月以上も経つので、久々に祖国の風を感じることができた。
本堂に祀られている仏像も、まさにインドや東南アジアなど他の国とは異なる落ちついた威厳と美しさを兼ね備えたまさに日本の仏像という感じで懐かしい。
天井画には日本の四季の自然をモチーフにした花々や動物が描かれている。
お賽銭箱もきちんと設置されている。よく考えたら他の国の仏教寺には、日本には当たり前のようにあるお賽銭箱がないよね?これも日本独自の文化?ベトナムのチャンアンでは古代のコインが供えられているのを見た気がするけど。このお賽銭箱にみんなインドルピーを入れているのかと思うと、何だか不思議な気持ちになった。
日本寺は本堂も立派だったが、それよりも敷地が広大で驚いた!まるで公園みたい!しかも人もあんまりいないから静かにのんびりと、菩提樹の木陰で休むことができて癒された。
・ブッダガヤの美しきブータン寺でブータンへの憧れを再確認した
日本寺の他で最も印象的だったのはブータン寺!ブータンはチベット仏教に属するはずだけれど、チベット寺とはまた少し違う落ち着いた上品な色彩でまとめられている気がした。日本人の感性によく似ているのかも?
よく考えてみればブータンの文化に実際に触れたのは人生でこれが初めてかも?これがブータンかという感動を抑えることができなかった。ずっとずっと行きたかった憧れのブータン。観光するだけで必ず1日につき税金200ドルを徴収されるということで、かなりお金がかかるから行けないと諦めてしまっていたが、不思議な幸運を享受し日給10万円以上のコロナワクチンバイトを毎日やるという生活を数年間続けてきたので、資産形成ができた今なら行けないこともないだろう。しかし円安である今の経済状況が多少気になるところだ。でも、この一生の中で、絶対に一度は、ブータンに行きたい!そんな忘れかけていたブータンへの情熱を思い出せてくれた場所だった。
ぼくが仏教に興味を持つきっかけとなったひとつに、作家五木寛之さんの「仏教への旅」というYouTube動画があった。それぞれ2時間ずつあるその動画は5つのパートに分かれており、インド編、韓国編、日本アメリカ編、中国フランス編というものに加えてブータン編もあった。「人は死んだらどうなるのか?」という人間として根源的な問いかけから始まり、生まれ変わり・輪廻転生を信じながら幸福を目指して生き抜くブータンの人々の神秘的で不思議な感受性に、感銘を受けたことを覚えている。さらにその「仏教への旅」のインド編では、大般涅槃経(大パリニッバーナ経)の中に書かれたブッダが入滅する”最後の旅路”を五木寛之さんが実際に辿るという構成になっており、ぼくも今まさにその旅路を歩もうとこんなインドの辺境にまでやって来たわけだ。
ブータンは国旗に龍が入っている龍の国だというが、ここブータン寺でも龍の絵を発見した。雲の形や色彩感覚が何だか独特で、日本昔ばなしの絵を見ているような気分だ。この龍を見てぼくはまた、ブータンに行きたいという思いを強めることになった。
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