バルト三国エストニアの首都・タリンで過ごすのも今日で終わり。
クリスマスマーケットやカフェ巡り!冬のエストニア・タリンの素敵な過ごし方
・味わい深いタリン旧市街
・タリンのクリスマスマーケット
・タリン旧市街の街歩き
・タリン旧市街の雑貨屋さん巡り
・タリン旧市街のカフェ巡り
・タリン旧市街の教会巡り
・東欧的感性の発見
・展望台からタリンの街を一望
目次
・味わい深いタリン旧市街
「エストニア」「タリン」と聞いても、最初ぼくは何もイメージすることができなかった。「バルト三国」ならば地理で習ったが、名前を習っただけだった。どのような場所かヘルシンキからフェリーで来た当初はまったくわからなかったけれど、歩く度、知っていく度に好きになれる奥深い街だ。
タリンの見所は「タリン旧市街」に集中している。それゆえ効率的に見て回れる非常に観光に適した都市と言えるだろう。ヘルシンキからはフェリーの日帰りで観光に訪れる人々も多いらしい。物価がヘルシンキに比べて格段に安いので、買い物目当てにやって来るフィンランド人もいるようだ。もちろん日帰りでも十分に楽しめるが、この街の雰囲気にじっくりと浸りもっと深くこの街を巡りたければ、3日もあれば十分だろう。ぼくはタリンに5日間宿泊したが、ものすごくのんびりできて正直5日間は多かったかもしれないと思った。それでもこの街では毎日歩いても新しいお店を見つけたり、いい雰囲気のカフェに入ったり、まだ知らない石畳の小道を探検したりできるので、長く滞在しても決して飽きることがなかった。むしろタリン旧市街の奥深さをゆっくりと味わうことができたので満足している。
ぼくが訪れたのは12月中旬。冬の時期でも十分楽しめたタリンの街についてご紹介したいと思う。
・タリンのクリスマスマーケット
冬のヨーロッパというと暗くて寒くて夜が長くて、楽しそうなイメージに乏しいかもしれないが、暗くて寒くて夜が長いからこそ、嬉しい気分が高まってくるのがクリスマスマーケットだ。特に今年はタリンのクリスマスマーケットが、ヨーロッパ・ベストクリスマスマーケット2019の投票でNo.1に選ばれたらしく、注目のクリスマスマーケットとなっている。
ぼくがタリンに滞在した時には、15時〜16時にもう既に日が沈み暗くなっており、クリスマスマーケットのイルミネーションを早い時間からゆっくりと楽しむことができる。
暗くて夜が長いからこそ、クリスマスマーケットの灯りは美しくあたたかに人々の心を癒しているように見える。また凍えるような冬のヨーロッパの寒さを、屋台のホットワインや出来たての料理を楽しむことで少しの間忘れることができる。クリスマスマーケットは、陰鬱な冬の時期を可能な限り楽しみ乗り越えようとする、ヨーロッパの人々のあたたかな工夫の心が見て取れて学びになるなぁと感じた。クリスマスマーケットへ来るまでの、タリン旧市街の夜の美しい情緒あふれる夜の風景も必見である。
・タリン旧市街の街歩き
タリン旧市街の道は不思議だ。歩いているだけで楽しい気分になってくるし、おとぎ話の中にいるような錯覚に陥る。すべては美しい中世の街並みのせいだろう。この感覚は、ぼくが世界で最も美しい街だと思ったプラハ、そして同じくチェコのチェスキークルムロフの街を彷彿とさせる。東欧の古い町を彷徨い歩く時、ぼくたちは現実世界を忘れ、物語の中へと旅立つことをゆるされるのだ。それは他の場所ではできない、かけがえのない不思議な経験となる。
メイン通りももちろん美しいが、タリンの街歩きの真髄は人気(ひとけ)のない小道に迷い込むことにある。そこでは思いがけない可愛らしい雑貨店やカフェを発見する機会が常にあり、そのような発見がぼくたちをさらに楽しい気分にさせてくれるだろう。
家々の幻想的な装飾、静かな足音の響く美しい石畳、お店に並べられた東欧的感性の不思議な雑貨の数々、小さなカフェのレトロな雰囲気が、おとぎ話の中にいるような感覚をさらに盛り上げてくれる。
・タリン旧市街の雑貨屋さん巡り
タリン旧市街には数え切れないほどの雑貨屋さんやお土産やさんがあり、ぼくたちは何日かけてもそのすべてを見て回ることはできないだろう。しかしセンスのよいお店やクリエイティブなお店は意外と限られており、ぼくたちはそのお店の雰囲気を外のウィンドウから確認しながら、自分の好みのお店をさがし出す楽しみがある。
ぼくの感じたところでは、メイン通りよりもむしろ迷路のように入り組んだ裏道にこそ、そのような面白いお店が点在しているように思う。メイン通りのお店はどこにでも売っていそうな一般的なお土産やさんが多く、made in EstoniaやEstonian designの、ここエストニアならではの素敵な雑貨を手に入れたいのならば、ぜひ裏路地をどんどん探検して洗練されたお店を発見することをオススメする。
不思議で幻想的な東欧的感性に彩られたエストニアン雑貨は、どれも独特で魅力的であり、またクリエイティブな陶器やセンスのよいアクセサリーも豊富にあるため、タリン旧市街での買い物は時間を忘れるほど楽しいに違いない。またエストニアのクリエイティブな雑貨やお店に多く触れることにより、エストニアおよびバルトの国々の感性がどのようなものであるかを知ることができ興味深い。
ぼくが発見したところでは、Fe galeriiという雑貨屋さん(近くに2店舗ある)やその周囲の小道沿いのお店、それからOma asiというお店がよかったように思う。
・タリン旧市街のカフェ巡り
このタリン旧市街ではセンスのよいレトロなカフェもたくさんあり、レトロカフェ、古民家カフェ好きのぼくとしては嬉しい限りである。このブログでは今現在、岩手県盛岡の趣深い古民家カフェや、小樽にあった目立たないけれど中がものすごいレトロカフェなどを紹介してきたが、今回もそれにまさるとも劣らない素晴らしいレトロカフェを発見できた。(レトロカフェハンターか古民家カフェハンターになりたいなー)
その名はPierre Chocolaterie。Since 1937の老舗のようだ。このカフェも例に漏れずメイン通りから少し入った小道沿いにあり、その周辺のクリエイティブなお店も非常に独特で良質だったように思う。
このカフェは内部を写真撮影することができたので、言葉で説明するよりもそのカフェのあふれんばかりのレトロ感を写真でご覧いただきたい。
メニューも豊富な種類のチョコレートケーキやチョコレートパフェやスイーツ、またサンドイッチなどの軽食も安価で提供されており、コストパフォーマンスも良好だ。この内装を見るだけでも十分価値のある場所なのに、その上美味しいスイーツを安くで食べられるのだからこの上なく心満たされた。
また、ふらっと入ったおばちゃんひとりでやっている素朴なカフェもとてもよかった。チョコレートケーキ2.5ユーロ、ミネストローネのスープがエストニアンの黒パン付きで3.5ユーロであり、安くて美味しかった。テイクアウトした1ユーロのジンジャーのクッキーもとても美味しく、ぼくのタリンの旅の中の、派手ではない素朴な思い出である。
・タリン旧市街の教会巡り
タリンには多くの教会が点在しており、それを見てまわるのも楽しい。特に冬は暗くなるのも早く寒冷なので、長く外にいるのは体に堪える。観光がてらに教会にお邪魔し、その荘厳さに圧倒されるとともに心身をあたためるのもよいだろう。
タリンの教会は写真撮影禁止という場所が多く、ぼくは内装の写真を撮ることができなかったが、ロシア正教会のアレクサンドル・ネフスキー大聖堂や、世界一高い塔だった歴史を持つ聖オラフ教会、素朴な聖母マリア教会、美術館になっている聖ニコラス教会など、それぞれに特徴があり、そのことがタリンの教会巡りを楽しくさせてくれる。
・東欧的感性の発見
バルトの国々は、東欧と北欧の中間とみなされるようだが、ぼくがこのタリンの街で見かける感性は、おそらくチェコのような東欧のものにより近いだろうという感想を持った。
そしてぼくは、日本の“かわいい”とも違う、可愛さの中に落とし込まれた、不思議で怪しくて暗い影に惹かれるのだ。そしてそれらの東欧的な感性に、街の中でふと出会うことができる。その出会いがぼくは楽しくて、またタリンの街を歩き出せるのだった。
・展望台からタリンの街を一望
アレクサンドル・ネフスキー大聖堂や聖母マリア教会の近くにはいくつかの展望台があり、美しいタリン旧市街の街並みを一望できる。いくつかある展望台同士も近いんで、すぐにすべてをまわることが可能だろう。
タリン旧市街はその中を歩いても美しいが、上から眺めるのもまた格別であった。この美しい景色を知ってか知らずか、展望台にはかもめさんがじっと居座っており、人々と一緒に美しいタリンの街並みを眺めていた。
ここは港町、そういえば数日前までにはヘルシンキにいたのだなあとふと懐かしくなった。かもめ食堂のあるヘルシンキでは結局かもめを見られなかったが、タリンでかもめを見られてなんとなく嬉しかった。かもめさんはずっとタリンの街を見ていた。ぼくも一緒に、タリンの街をずっと見ていた。