ブッダ死亡の原因と様子は?入滅の聖地クシナガラの涅槃像を参拝してインド仏教巡礼の旅を終えた

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ブッダ死亡の原因と様子は?入滅の聖地クシナガラの涅槃像を参拝してインド仏教巡礼の旅を終えた

・ブッダによる四つの仏教聖地の説明(大パリニッバーナ経よりp.138)
・ブッダの死亡は、キノコ料理による激しい腹痛が原因だった
・ブッダの死の原因!鍛冶工の子チュンダには罰が下されたのか
・沙羅双樹の花が満開に!ブッダが死んだ時の様子とは?
・すべての愛するものからも必ず別れ、離れる
・ブッダの遺言とは?
・インド一周の旅を経て、ついにブッダ入滅の地クシナガラへ
・クシナガラのパリニッバーナ寺院でブッダの涅槃像と対面
・パリニッバーナ寺院の仏塔参拝の注意点

・ブッダによる四つの仏教聖地の説明(大パリニッバーナ経よりp.138)

ブッダは大般涅槃経(大パリニッバーナ経)の中で、仏教の四大聖地について次のように説いている。

アーナンダよ。信仰心のあるまじめな人が実際に訪ねてみて感激する場所は、この四つである。その四つとはどれであるか?

修行完成者はここでお生まれになったといって、信仰心ある良家の子が実際に訪ねて見て感激する場所がある。

修行完成者はここで無上の完全な悟りをひらかれたといって、信仰心ある良家の子が実際に訪ねて見て感激する場所がある。

修行完成者はここで教えを説き始められたといって、信仰心ある良家の子が実際に訪ねて見て感激する場所がある。

修行完成者はここで煩悩の残りの無いニルヴァーナの境地に入られたといって、信仰心あるまじめな人が実際に訪ねて見て感激する場所がある。

アーナンダよ。誰でも、祠堂(チェーティヤ)の巡礼をして遍歴し、浄らかな心で死ぬならば、かれらはすべて、死後に、身体が壊れてのちに、善いところ、天の世界に生れるであろう。

 

・ブッダの死亡は、キノコ料理による激しい腹痛が原因だった

大パリニッバーナ経は本質的に、ブッダの人生最後の旅の物語を記したお経となっており、言い換えればブッダがどのように亡くなったのか、その神秘的な入滅の風景と、死に至るまでの布教伝道の旅路が詳細に描かれている。

さて80歳を迎えたブッダは旅の途上で、何が原因で亡くなってしまったのだろうか。その理由は大パリニッバーナ経で以下のように説明されている。

尊師が鍛冶工の子チュンダの食物を食べられたとき、激しい病いが起り、赤い血が迸り出る、死に至らんとする激しい苦痛が生じた。尊師は実に正しく念い、よく気を落ち着けて、悩まされることもなく、その苦痛を耐え忍んでいた。

さて尊師は若き人アーナンダに告げられた。「さあ、アーナンダよ、われらはクシナガラに赴こう」と。

すなわちブッダは鍛冶工の子チュンダから供養の食物だとして差し出されたキノコ料理が原因で、血が混じるほどの激しい腹痛に見舞われ、それにより命を落としたとされている。

 

 

・ブッダの死の原因!鍛冶工の子チュンダには罰が下されたのか

もしも自分が鍛冶工の子チュンダだったなら、どのように感じるだろうか。自分の尊敬する偉大なお釈迦様が、自分が出した供養の食物であるキノコ料理によって死んでしまったということになれば、もはや居ても立ってもいられないのではないだろうか。もしくは自分には罰が当たると思い込んでしまうかもしれない。しかしそんなチュンダの気持ちを慮って、慈悲深いブッダは弟子のアーナンダにこのように告げている。

「誰かが鍛冶工の子チュンダに後悔の念を起させるかもしれない。『友、チュンダよ。修行完成者はお前の差し上げた最後のお供養の食物を食べてお亡くなりになったのだから、お前には利益(りやく)がなく、お前には功徳がない』と言って。

アーナンダよ。鍛冶工の子チュンダに後悔の念は、このように言ってとり除かれなければならない。

友よ。修行完成者は最後のお供養の食物を食べてお亡くなりになったのだから、お前には利益があり、大いに功徳がある。友、チュンダよ。このことを、わたしは尊師からまのあたりに聞き、うけたまわった。

この二つの供養の食物は、まさにひとしいみのり、まさにひとしい果報があり、他の供養の食物よりもはるかにすぐれた大いなる果報があり、はるかにすぐれた大いなる功徳がある。その二つとは何であるか?修行完成者が供養の食物を食べて無上の完全なさとりを達成したのと、および、供養の食物を食べて、煩悩の残りの無いニルヴァーナの境地に入られたのとである。」

ブッダはスジャータという女性から乳粥をもらったことで、断食によって衰弱しきった体力を取り戻し、やがて悟りを開くことができた。ブッダを入滅させたキノコ料理は、その乳粥と同様の価値があるという解釈をすることで、ブッダは鍛冶工の子チュンダの罪悪感を取り払った。

 

・沙羅双樹の花が満開に!ブッダが死んだ時の様子とは?

ブッダは腹痛に見舞われながらもクシナガラへと辿り着き、そこで最期の時を迎える。ブッダ入滅の様子は、大パリニッバーナ経の中でこのように神秘的に描かれている。

そこで尊師は多くの修行僧たちとともにヒラニヤヴァティー河の彼岸にあるクシナガラのマッラ族のウパヴァッタナに赴いた。そこに赴いて、アーナンダに告げて言った。

「さあ、アーナンダよ。わたしのために、二本並んだ沙羅双樹の間に、頭を北に向けて床を用意してくれ。アーナンダよ。わたしは疲れた。横になりたい。」

「かしこまりました」と、尊師に答えて、アーナンダは沙羅双樹の間に、頭を北に向けて床を敷いた。そこで尊師は右脇を下につけて、足の上に足を重ね、師子座ををしつらえて、正しく念い、正しくこころをとどめていた。

さて、そのとき沙羅双樹が、時ならぬのに咲き、満開となった。それらの花は、修行完成者に供養するために、修行完成者の体にふりかかり、降り注ぎ、散り注いだ。天の栴檀(せんだん)の粉末は虚空から降ってきて、修行完成者に供養するために、修行完成者の体にふりかかり、降り注ぎ、散り注いだ。天の楽器は、修行完成者に供養するために、虚空に奏でられた。天の合唱は、修行完成者に供養するために、虚空に起った。

日本では北枕は縁起が悪いと言われるが、その理由がこの大パリニッバーナ経には既に描かれている。

 

・すべての愛するものからも必ず別れ、離れる

ブッダが最期の時を迎えたことを知り、うろたえる弟子のアーナンダに、ブッダは次のように説く。

「やめよ、アーナンダよ。悲しむな。嘆くな。アーナンダよ。わたしは、あらかじめこのように説いたではないか。すべての愛するもの・好むものからも別れ、離れ、異なるに至るということを。およそ生じ、存在し、つくられ、破壊されるべきものであるのに、それが破壊されないように、ということが、どうしてありえようか。アーナンダよ。そのようなことわりは存在しない。」

どんなに愛する人であっても、いつかは必ず別れ、離れる時が来る。それは人間ならば絶対に死ぬということを知っていれば、誰だって理解できる当然の成り行きだ。最近の日本人は西洋人の真似事をして結婚式でも永遠の愛というものを誓っているが、せいぜいどんなに長く一緒にいられてもどちらかが死んでしまうほんの短い期間に過ぎないので、無理して永遠など誓わないでブッダの言葉に立ち返るべきだろうか。もしくは死んでしまってもまた生まれ変わり、愛し合うという永遠の愛を見出すというならば、それもインド的な輪廻転生の愛だろうか。しかしブッダの言葉の根底には、全てのものは移り変わり、ひとつとして同じままであるものはないという本質が流れている。

人間は永遠の愛を誓ってもいいというのは本当か? 〜中島みゆき「齢寿天任せ」の世界観と永遠の穢れについて〜

 

・ブッダの遺言とは?

ブッダの最後の言葉、遺言も、その本質を再確認する内容となっている。ブッダの遺言は、大パリニッバーナ経によると以下のようなものだった。

「さあ、修行僧たちよ。お前たちに告げよう。もろもろの事象が過ぎ去るものである。怠ることなく修行を完成なさい、と。」

これが修行を続けて来た者の最後のことばであった。

 

・インド一周の旅を経て、ついにブッダ入滅の地クシナガラへ

ぼくはインド一周の旅の中で首都のデリー、タージマハルのあるアーグラー、エッチな遺跡のあるカジュラーホー、聖人に出会ってテレビデビューまでしたサガール、インド最古の仏教遺跡のあるサーンチー、エローラ石窟群とアジャンター石窟群まで日帰り旅行できるアウランガーバード、5つ星タージマハル・ホテルに泊まった大都会のムンバイ、ピースフルな空気漂う南インドのゴア州、全裸の大仏が聳え立つジャイナ教の聖地シェラバナベラゴラ、南インドの伝統古典舞踊カタカリダンスを見られたケララ州のコーチン、東インドの大都会コルカタを経由して、ついにこの旅最大の目的である仏教巡礼の旅を開始した。

まずはブッダガヤを訪れ、ブッダが悟りを開いたと言われる菩提樹のあるマハーボディー寺院を参拝した。次にブッダが法華経などを説法し、ブッダが亡くなる最後の旅の出発点ともなったラージギルの霊鷲山(りょうじゅせん)にも赴いた。さらにはパトナ市を経由し、情報の少ない中ブッダ入滅の地クシナガラへと何とか辿り着いた。ラージギルからクシナガラまでの難易度が高すぎた移動方法は以下の記事にまとめた。

インド仏教巡礼の旅!ラージギルからパトナ経由でクシナガラまで移動する方法を徹底解説

 

・クシナガラのパリニッバーナ寺院でブッダの涅槃像と対面

 

1か月以上に及ぶインド一周の旅を経て、ついにブッダ入滅の地・クシナガラに辿り着くことができた。これまでに様々なインドの名所を巡ってきたが、ぼくの中ではインドの旅の真髄は最初から仏教巡礼の旅にあるという心持ちだったので、ようやくこの地に来られて感無量だ。もはや言葉は必要ない。ブッダ入滅の地に赴こう。

 

 

ブッダ入滅の地は現在、パリニッバーナ寺院=Parinirvana Stupaとなっていた。入場は無料だが警備は厳重で、入る前に名前などの情報をノートに記入する必要があった。

 

 

敷地内は人も少なく、静寂に満ちている。クシナガラの町全体もそうだが、落ち着いていて穏やかでピースフルな空気が漂っている。

 

 

この仏塔(ストゥーパ)が、このパリニッバーナ寺院の中心のようだ。

 

 

ついに出会えたブッダの大涅槃像!これまでも東南アジアや南アジアなどの各地で様々な涅槃像を目の当たりにしてきたが、そもそも涅槃像とはブッダ入滅の場面を表現したものだ。タイの首都バンコクの超巨大黄金の涅槃像や、このインド一周の旅の中でも出会ったアジャンター遺跡のインド最大の涅槃像には大きさは及ばないかもしれないが、何よりもクシナガラのこの地でブッダは入滅したのだから、大きや色や形は関係なく、これこそが正真正銘本物の涅槃像だと胸を張っても言い過ぎではないだろう。

 

病気や怪我もすることなくインドの旅を乗り越えてクシナガラまで無事に辿り着けたこと、そしてクシナガラの涅槃像を参拝できたことに喜びで胸がいっぱいに満たされた。大パリニッバーナ経に掛かれた美しいブッダ入滅の様子を心の中で思い描きながら、このインド仏教巡礼の旅の最後の聖地での大切な時間を過ごした。

 

 

・パリニッバーナ寺院の仏塔参拝の注意点

仏塔の中はカメラでの写真撮影禁止だったので注意したい。カメラは使用禁止だけれど、スマホやGoProで撮るのはOKだった。

 

 

・インド一周の旅の記事一覧はこちら!

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