まったくもって信じられないことだが、物価のバカ高いスイスの中にも普通の値段のレストランがあった!
スイスで食費を節約!物価がトチ狂って高いスイスで唯一見つけた安価な「coopレストラン」
・スイスの物価の狂気
・スイスにも普通の値段のレストランはあります!
・まともな値段のcoop restaurant
・スイスの物価の狂気
スイスの物価の恐ろしさは、散々このブログでも伝えている通りである。レストランはメインで3000円が当たり前、鉄道は1時間半の往復だけでも5000円、みかんはあの物価の高いと言われるフィンランドの3倍の値段…もはや何を購入することもはばかられるほどに、スイスの物価は狂気に満ちている。
しかし人間の慣れというものは恐ろしいもので、そんな狂気もしばらくスイスの中にいると普通だと感じるようになり、へぇレストランで2500円なんて安いんじゃない?と思うようになってくる。もはやスイスさんに感覚を麻痺させられた諦めの境地であると言えよう。
そんな中でも無駄なお金を使ってはいけないと、ぼくはまったく外食をしないでスイス旅行を頑張っていた。しかもさらに悪いことには、スイスのホテルには大抵キッチンがない。物価が恐ろしいほど高いのにキッチンを設置させないところに、またしても狂気を感じてしまうのであるが、ないものはないで仕方がないので、スーパーマーケットでお惣菜を買ったりして食事の工夫をしていた。
スイスでよくお世話になるスーパーマーケットといえばcoopである。旅行者はスイスの至る所でこれを見つけることができるだろう。ぼくはよくcoopでチキンの蒸し焼きとアップルパイを買っていた。チキンは重さにもよるが500〜800円と安くそれなりに量があるのでおすすめである。アップルパイについては声を大にして言いたいのだが、スイスのcoopのアップルパイは本当に美味しい!何がどうなってこんなに美味しいのかわからないが、サクサクした生地と中の甘すぎないアップルの果実の組み合わせが絶妙なので、ほんとに食べてほしいと心から思う。アップルパイは200円くらい。
そんな感じでぼくはレストランに行くこともなく、むしろ潔くきっぱりと外食を諦めてスイスの旅を続けていた。しかしそんなぼくのスイス旅行の最終地点、チューリッヒで事件は起きた。
・スイスにも普通の値段のレストランはあります!
なんとチューリッヒの中に普通の値段のレストランを発見したのだ!そんなことがあるはずがないと、最初は我が目を疑った。タイカレーですら2500円くらいふんだくるようなこの国で(タイカレーなんてタイで食べれば100円である)、まともな値段設定なんて皆無であると思っていた。しかし目の前には、確かにまともで普通の値段のメニューたちが並べられていた。
誤解されないようにあらかじめ申し上げるが、決して“安いレストラン”を見つけたという情報ではない。あくまで、日本人の感覚として“普通”の値段のレストランを見つけたというだけの記事である。しかしこの物価に関して狂気の国、スイスでその“普通”という言葉がどれだけありがたいかを、旅人たちは旅のさなかで知るであろう。そのあふれる狂気の中に、この旅でたったひとつのあたたかな灯火を見つけたのだ。
たとえれば、普段はなにもかもが無茶苦茶で好き勝手に生きてきた狂人が、ふと通りすがりに自分の足元を歩く蜘蛛を見て、この蜘蛛にも小さな命が宿っているのだからと踏み潰さずに助けてやり、それを見た人々が、あぁあんなになにもかもが滅茶苦茶で狂気に満ちたあの人にも人の心があったのだなぁと、感動するような昔話みたいな心境である。もっと現代風に言えば「スイスにも!普通の値段のレストランはあります!」と小保方さんのように叫びたくなる心境である。
・まともな値段のcoop restaurant
既述のようにcoopというスーパーマーケットはスイスの至る所に存在するので、スイスで人口の最も多い街チューリッヒにももちろんある。その4階にはcoop restaurantというcoopがやっているレストランがある。ここがまさに僕が発見した、スイスでは極めて珍しいまともな値段設定のレストランだ。そしてまともな値段のレストランに巡り会えたのは、スイスではこれが最初で最後である。(行きたい方はグーグルマップでcoop restaurantと検索すれば簡単に場所を知ることができます!)
レストランというよりもフードコートみたいな感じだと思うのだが、ここに掲げられているメニューは1000〜1500円くらいと極めて正常である。そして最も注目すべきは、お皿におかず乗せ放題のプランがあることだ。
お皿は大中小にわかれており、小で700円くらい、中で1000円くらい、大で1500円くらいと極めて良心的な価格である(スイスでは)。ここにたくさん並べられているおかずやご飯から好きなものを取り放題なのだ。周囲を見ていると、これが最も人気なようで、スイス人たちも山盛り可能な限りお皿におかずを乗せまくってレジまで持っていく様子が伺える。ここでは恥ずかしがらずに思いっきりお皿におかずを乗せても問題なさそうだ。
おかずには、白米にチャーハンから、様々な種類や味付けの野菜たち、肉類、そしてさらには海鮮まで揃っている。これで通常の価格設定なのだからここはまさに天国である。炭水化物、タンパク質、野菜をバランスよく摂れて健康にもよさそうだ。ぼくはこれまでの著しく高い物価の分を取り戻そうと、他の人々に倣って山盛りおかずを乗せて持っていく。これで本当に1000円だった。
味も普通に美味しく、お腹も満たされて大満足だった。スイスにこんなレストランがあるなんて夢のようだ。最後の最後に、スイスさんにも物価的にまともな面がわずかながらでも存在していてくれたことを発見できて、ほっと安堵する思いである。
ぼくは宿に帰ってからもルームメイトにこのレストランの素晴らしさを宣伝しまくり、次の日にもマレーシア人とふたりで食べに来て、2日連続でこのレストランで食事をしたのだった。普通の値段で外食できるなんて、なんて幸せなのだろう。ぼくはスイス最後の夜に、普通であることの幸福を身に染みて感じたのである。そして“普通”という宝物のような観念を、スイスを脱してからも心に保ち続けたいと思う。
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