スペイン巡礼27日目!速度を超越するカミーノと巡礼手帳の素敵な抽象画

 

たまにはゆっくり歩くこともいいだろう。

スペイン巡礼27日目!速度を超越するカミーノと巡礼手帳の素敵な抽象画

・カミーノは速度を超えた価値をぼくたちに語りかける
・Sarriaまでの道はお昼寝の木でのんびり
・巡礼の道で出会った素敵なアーティスト
・スペイン巡礼27日目記録

・カミーノは速度を超えた価値をぼくたちに語りかける

速いということは人を得意げにさせる。小学校では素早く計算する子供は尊敬されるし、かけっこでも速い方が人気者になれる。現代の人間社会を支配している科学という概念も、何もかもの速度を速くさせている。

たとえば昔々であれば何年もかけて旅するはずだった長い道のりを、飛行機を使ってわずか数時間で移動することが可能である。また、昔であれば届くのに何日もかかっていた手紙も、今やEメールで一瞬のうちに届けることができる。科学技術というものは、すべてのものを速い速度の川の流れへと注ぎ込み、すべてのものを速い速度で処理してしまう。しかしそれは、人間の人生や生命を根本的に豊かにしているということとは異なる。ただ、速くしただけであるということである。速いということはまるでこの世で偉いことであるようにとらえられがちであるが、果たして本当にそうだろうか。

人間の人生や生命といったものは、どんなに科学技術が発達しようともなにひとつ変わっていないように見える。人は皆、生まれて、老いて、病んで、死ぬだけだ。それはどんなに人間が進化しようと科学技術を発達させようと、変わらない生命の普遍的な事実である。そして科学技術が発達している今の世の中を、昔よりも素晴らしいのだと傲慢にとらえる味方もあるが、本当に速度の上昇は人間の営みを豊かにしているのだろうか。

一瞬で連絡が届くEメールや携帯電話の発達は、人の仕事量を減少させて人の生活にゆとりを持たせる結果となったのかと言われれば、実は逆で、速く何でも処理ができる分、1日に可能な仕事の量が増え、人はより多くの労働を強いられて昔よりも苦悩しているのではないだろうか。固定電話の時代ならば連絡が取れなくても仕方のない状況でゆるされた出来事も、携帯電話が発達していつでもどこでも連絡が取り合える現在となっては、すぐさま反応を返したり返事をよこさなければゆるされないという世知辛い世の中に、誰もが疲弊してはいないだろうか。

旅だって同じことだ。昔は玄奘三蔵が何年もかけて中国からインドへとお経を取りに行った道のりも、今となっては飛行機で短時間、しかも安い料金で移動することが可能だろう。ぼくたちは確かに、誰であっても素早く世界中を移動できるようになった。だからと言って何年もかけて中国からインドへと旅した玄奘三蔵よりも、豊かで深い旅ができていると果たして言えるだろうか。ぼくたちは簡単に、素早く中国からインドへと移動できる代わりに、その途中に存在する砂漠の照りつけるような暑さや、砂漠の月夜の孤独や冷たさ、土から這い上がってくるような土の匂い、道のりの途中に咲いている花々の香りや色彩、そして人々とのかけがえのない出会いや交流を、喪失してしまっているのではないだろうか。そしてそれ以上に旅の中で貴重なものなんてあるのだろうか。ぼくたちは速度を握らされる代わりに、本当に大切な旅の要素を根こそぎ科学に奪い取られているのではないだろうか。

速いことが優れているというのは本当か? 〜科学技術により奪い去られたもの〜

スペイン巡礼はぼくたちを、速度とはまた違った次元に立たせ、徐々に進みゆく巡礼の歩行の中で、人間の本来の旅路にとって最も大切なものは何かを語りかけてくれているかのかもしれない。ぼくたちは心の受容体を精一杯に世界に向けて開かせて、カミーノの導いてくれる教えの指し示す方角へと、突き進んでいくべきなのかもしれない。

 

 

・Sarriaまでの道はお昼寝の木でのんびり

 

TriacastelaからSarriaまでのこの日の巡礼の道のりは18km。1日に20km以下というのは、これまでの巡礼の道のりの中でも最も少ない部類の道のりだ。こんなに少ない道のりだからと、いつもは先へ先へと歩くことが大好きなてらちゃんも、ゆっくりのんびり歩こうという気持ちが芽生えたようだ。いつもぼくからしか言わない「お昼寝の木」でのお昼寝を、まさかてらちゃんから提案したのだ。どういう風の吹く回しだろうか。それともスペイン巡礼も終盤にさしかかり、てらちゃんにもゆっくりのんびり歩きたいという気持ちが芽生えたのだろうか。

この日のガリシアの巡礼路も紀伊山脈によく似た、美しい木漏れ日の道で、ぼくは飛行機にも乗っていないのに、和歌山まで帰ってきたのかと疑うほどだった。ぼくたちはその途上で見つけた「お昼寝の木」で、1時間くらいのんびりと風に吹かれながら木陰の中をお昼寝した。やはり旅路の中では、影があることだけが幸福だ。

 

どんなにゆっくりのんびり歩いても、今日はきちんと3時までにはSarriaへとたどり着いた。アルベルゲは10ユーロのCASA PELTRE。久々に値段が2桁の宿に宿泊したが、2桁の宿はこんなに快適だっただろうかと驚いてしまうほどに、清潔で広くて心地よかった。キッチンもあり、ぼくたちはエビとイカとムール貝の海鮮スープを作って楽しんだ。

 

 

・巡礼の道で出会った素敵なアーティスト

 

TriacastelaからSarriaまでのガリシアの道の風景は、紀伊山脈に似ておりそれだけでぼくは幸福感に包まれていたが、さらにもうひとつ素敵なことがあった。イギリス人アーティストのギャラリーが途中にあり、その中ではスペイン巡礼の芸術的な水彩画のポストカードや絵が置かれていた。

 

ここでポストカードを買うと、なんと巡礼手帳にアーティストが水彩絵の具で素敵な抽象画を描いてくれた。本来はスタンプしか押されることのなかったクレデンシャルに、ひとつの本当に素敵な芸術作品が加えられ、ぼくはクレデンシャルをこれまで以上に大切にしたいと思った。

 

 

・スペイン巡礼27日目記録

出発6時半 到着14時00分
消費カロリー671kcal 歩数34218歩
移動距離21.5km

 

 

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具体的なものが抽象的なものよりも優れているというのは本当か?

 

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