さようなら運動靴、こんにちはサンダル!
スペイン巡礼9日目!ナヘラで買ったサンダルで巡礼開始とナイキの運動靴との別れ
・運動靴との別れとサンダル巡礼のはじまり
・ガリシア風のタコ料理とサン・ドミンゴの焼き菓子
・スペイン巡礼9日目記録
・運動靴との別れとサンダル巡礼のはじまり
毎日30kmほどの長距離を歩いていると、自分でも思いもよらなかった肉体の変化が現れでてくる。どうしようもなく出来上がる両足のマメはその大きな変化のひとつだ。マメがあると歩くたびに痛みが生じ、長距離を歩かなければならないスペイン巡礼において大きな障害となる。こんなにも連日長距離を歩いたことのなかったぼくにとって、このような肉体的変化は知らない自分の発見であり、新鮮な体験である。そしてこの未知なる体験を乗り越えていく術を、この機会に身につけなければならない。
ぼくは明らかに自分の足に合わないであろうナイキの運動靴が壊れてしまったのをいいことに、新しいトレッキング用のサンダルを購入した。カミーノをサンダルで行く人というのはあまり聞いたことがないが、蒸れない分運動靴よりもマメができにくいのではないか。そして自分の足に合っていないナイキの運動靴を履かないことも、立派なマメ対策であると思われた。さらに足の裏に丹念にワセリンを塗布した。そして既に出来上がったマメに関しては、上からテープを貼り付け、歩行の際の摩擦を軽減した。また長く切ったテープを足に縦断させるように貼り付け、歩行を楽にするという処置をとった(これは韓国人の女性に教えてもらった)。詳細は1日前の記事に記載している。
このマメ対策の処置を行なった上で、ぼくはナヘラからサン・ドミンゴまでの道を歩いて。サンダルでスペイン巡礼なんてどうなるのだろうとかなり心配だったが、トレッキング用のサンダルを購入したことも幸いし、意外と楽に歩くことができた。少なくともマメに関しては、絶対的にナイキの運動靴よりもいい感じだ。その他の完璧なマメ対策のおかげか、この日はまったくマメの増悪もなく、むしろさらに歩いたものの快方傾向だった。やはり運動靴が自分の足に合ってなかったのが最も大きな原因だったのだろうか。
さて、その肝心な運動靴だが、荷物が運動靴の分重くなって、ただでさえ最初から重かったのにどうしようと考えていたところ、なんと知らない間にバックパックにくくりつけていた片方の運動靴がカミーノの道の上に落ちて行方不明になってしまっていた。期せずして早々に壊れてしまったナイキの運動靴とのお別れはやってきたわけである。もうひとつの運動靴はバックパックに残っていたが、ひとつだけ持っていても埒がないので、途中にある大きな古代遺跡の前にお祀りするように置いてきた。スペイン巡礼では途中の道で、このようにして置き去りにされた運動靴に花が飾られて芸術作品のようになっている様子を見ることができる。ぼくの運動靴も巡礼者によって美しく飾られてくれるだろうか。
“訳なく始まりは訪れ 終わりはいつだって訳を持つ”
突然の運動靴との別れに心乱れるかと思ったが、旅人たちが出会っては別れ、別れては出会ってを繰り返すこのスペイン巡礼、カミーノの道の上では、物質との別れさえもごく自然な成り行きのように思われた。きっとまたカミーノを行く旅人のように、どこかで出会うことがあるのだろう。きっとそれはスペイン巡礼という小さな範囲ではなく、もっと大きなはるかなる旅の時流の渦のなかで。
・ガリシア風のタコ料理とサン・ドミンゴの焼き菓子
ナヘラからサン・ドミンゴまでの道でも、さくらんぼの木を見つけて摘んで食べたり、途中の街で生搾りの美味しすぎるオレンジジュースを飲んだりして、重く暑くつらい道の途上でも楽しみを見つけて歩いた。道の途中では、買ったばかりの冷たいさくらんぼをおじさんからもらったりして、スペイン人の巡礼者へのあたたかさと優しさを感じた。
またサン・ドミンゴでは、このスペイン巡礼で始めてのガリシア風のタコ料理を食べたり、イカスミの料理やパエリヤを食べたりして、ひととき巡礼の厳しさを忘れてスペインの豊かな海の幸を味わった。
サン・ドミンゴは光あふれる美しい街で、お菓子屋さんがとても多い印象だった。巡礼中ここでしか見られない独特のお菓子をたくさん発見し、もしかしてもう一生食べることができないかもしれない美味しい味を楽しんだ。
・スペイン巡礼9日目記録
出発6時半 到着13時00分
消費カロリー768kcal 歩数39446歩
移動距24.2km
健康状態:両足の小指のマメは角化、左足底のマメはさらに軽快、右足底のマメは軽快、マメ対策の効果あり