旅人の炎

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あなたの根源には
何があるのかと問われたならば
ぼくは炎と答えるだろう。
いつからか自らの核に
燃えさかる紅い熱を感じていた。
そしてそれを必死に冷やすかのように
ぼくは青色を好きになった。

人が何を好きになるかなんて
どのように決まるのだろう。
人が何を求めるのかなんて
どこの誰が選ばせるのだろう。

好きということは不思議だ。

あの色が好きなこと。
あの季節が好きなこと。
あの味が好きなこと。
あの歌が好きなこと。
あの服が好きなこと。
あの街が好きなこと。
あの人が好きなこと。
さがしてみるけれど、確かな理由なんて見つからない。

遺伝の影響だろうか。
環境の素因だろうか。
幼い記憶の由縁だろうか。
さがしてみるけれど、確かな理由なんて見つからない。
もしかしたら生まれる前から
決められていたのかもしれない。

人は言葉を持ち、理由を持ち
論理を以て対応するけれど
誰もがやがて気がつく。
心の底から湧き上がる自らの思いに、言葉なんて虚しい。

まさにそのようにしてぼくの中の熱は
旅することを求めていた。
旅することによって得られるすべてを
命は求めて止まなかった。

自らの中の熱への受容体を
持たないものは問いただす。
なぜ旅立つのかと。
そのような言葉を風のように払いのけ、旅人は先を急いだ。

熱だけがすべてだった。
それはまるでぼく自身の正体。
神にも仏にも、目もくれず
自らの感性だけを信仰した。

世の中のことなど振り向きもせずに。

二千十八年四月三十日
ぼくは働くことを終えて旅に出る。
まず目指すは、琉球諸島。

 

 

 

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