奇岩に古代信仰に日本最後の艀まで!トカラ列島小宝島の見所を全部まとめてみたよ

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小宝島には絶景温泉以外にも見所がいっぱいだった!!!!!

奇岩に古代信仰に日本最後の艀まで!トカラ列島小宝島の見所を全部まとめてみたよ

・ミズイロノタビはトカラ列島7島全制覇の旅へ出発!
・トカラ列島最初の小宝島「湯泊温泉」でもはや心が満たされすぎた
・小宝島には何もないというのは本当か?
・「赤立神」や「うね神」など小宝島には数多くの奇岩が聳え立っていた
・小宝島に広がる牧場の風景
・妊婦の仰臥!小宝島は妊婦が横たわっているような地形をしている
・「竹ノ山」登山と頂上から見える小宝島の絶景
・アダンにガジュマルも!沖縄の風を感じる小宝島
・青い海に包まれた小宝島港からは宝島が見渡せた
・平家の落人伝説と日本で最後まで残った艀(はしけ)
・小宝島には日本の原始信仰の姿が色濃く残されていた
・小宝島と宝島では毒のあるトカラハブに注意!

・ミズイロノタビはトカラ列島7島全制覇の旅へ出発!

2025年2月ぼくは日本の離島を巡る旅の一環として、鹿児島県のトカラ列島の有人島7島全てを一気に回るという海洋の大冒険に出発した。トカラ列島には週に2回しかフェリーが来ないことや、民宿の数が限られていてしかも電話予約しなければならない、海が荒れてフェリーが欠航すれば島に閉じ込められてしまうなど、トカラ列島を全制覇する旅には様々な困難が立ちはだかっており難易度が非常に高かったが、持ち前の知能と行動力を発揮して何とか旅の体制を整えた。

難易度高すぎ!トカラ列島7島を一気に最短で回る予定の立て方と民宿の予約方法を徹底解説【トカラ列島1】

ぼくが事前に計画したトカラ列島全制覇の旅程、及び予約した民宿は以下の通りとなった。

大阪
→(飛行機)→奄美大島
→(水曜日上り便)→小宝島(民宿いこいの森3泊)
→(土曜日下り便)→宝島(とから荘1泊)
→(日曜日上り便)→悪石島(西荘3泊)
→(水曜日上り便)→中之島(民宿ひので3泊)
→(土曜日下り便)→平島(平和荘1泊)
→(日曜日上り便)→口之島(民宿なかむら2泊)
→(火曜日下り便)→諏訪之瀬島(民宿やまき1泊)
→(水曜日上り便)→鹿児島港
→(飛行機)→大阪

後はこの計画が予定通りに遂行されトカラ列島7島全てを巡る旅が無事に達成できるよう、海が荒れてフェリーが欠航になったりしないように天に向かって祈るのみだ。まさに”人事を尽くして天命を待つ”という心境にまで辿り着いたが、ぼくにできる限りのことはやり尽くしたので何が起きてももはや悔いはない。

 

 

・トカラ列島最初の小宝島「湯泊温泉」でもはや心が満たされすぎた

最初の小宝島は7島の中でも最小の島で、最も接岸率が低いと言われているが、海が荒れていても何とか無事に人間だけは上陸することができた(車両は上陸不可能だったので次の悪石島まで行ってしまったらしい)。

「フェリーとしま」の船内を大公開!トカラ列島の小宝島は最も上陸が難しい絶海の孤島だった【トカラ列島3】

小宝島で宿泊可能な民宿は2軒であり、グーグルマップで高評価の民宿が満室だったので低評価だった「民宿いこいの宿」に泊まったが、ここはなぜ低評価なのか全くわからないくらい快適で素晴らしい宿だったので、みんな不安にならずに積極的に泊まってほしい。

トカラ列島で泊まる際の注意点とは?小宝島の低評価宿「いこいの森」は居心地のいい最高の民宿だった【トカラ列島4】

そしてこのトカラ列島を巡る最大の目的地である小宝島の絶景露天風呂「湯泊温泉」にも行くことができ、ようやくここまで辿り着けたかと感無量だった。「湯泊温泉」はぼくが想像していた以上に感動的で開放的な無料野湯であり、気に入りすぎて4日間連続で入ってしまった。こんなにも贅沢で価値のある温泉なのに入っていてもマジで誰も来ないので、ずっと一人静かに絶海の孤島の大自然と対峙することができた。人生でこれほどまでに豊かで心満たされる時間が、果たして今後どれほど訪れるのだろうか。この「湯泊温泉」に来られた時点でぼくのトカラ列島を巡る旅の9割は終わったようなものだったので(まだ7島のうち最初の1島目だけど)、これからは力を抜いてのんびりと秘境中の秘境を冒険していこう。

絶海の孤島にある絶景露天風呂!トカラ列島小宝島「湯泊温泉」は大海原に突き出た無料野湯だった

 

・小宝島には何もないというのは本当か?

ぼくはトカラ列島を巡る旅を始める前から小宝島の「湯泊温泉」に絶対に行きたいという強烈な願いを燃やしていたので、小宝島に思い入れが強すぎてトカラ列島最小の小宝島に3泊もすることに決めた。しかし民宿の電話口で3泊したい旨を伝えるとおばちゃんから「え?3泊もしてどうするの?」「何にもない小さな島だよ」と言われてしまった。ぼくはたとえ小さかろうが何もなかろうが、とにかく小宝島の絶景露天風呂を思う存分飽きるほどまで堪能するためにトカラ列島の旅に出るので、小宝島3泊は外せないと思いそのまま3泊の予約を入れた。

そしておばちゃんの言った通り、小宝島はとても小さかった。小宝島の面積は1平方kmほど、外周は5kmほどで何と40分もあれば徒歩で一周することが可能なほどだった。そして島には食堂も商店も1軒も存在しないと言い、たとえお金を持って来ていても買い物する場所がないというまさかそんな場所が日本にあるとは思わなかったので衝撃を受けた。しかしお金を使う場所がなかったとしても、ぼくが実際に歩いて一周すると小宝島の豊かな大自然や見所をかなり沢山発見できたので、何もないというおばちゃんの言葉は謙遜なのだろう。この記事ではぼくが小宝島を4日間毎日歩いて見付けた数々の面白いスポットを紹介していこうと思う。小宝島最大の見所である「湯泊温泉」はもう既に丸々一記事作成してしまったので、今回はそれ以外で!

絶海の孤島にある絶景露天風呂!トカラ列島小宝島「湯泊温泉」は大海原に突き出た無料野湯だった

 

・「赤立神」や「うね神」など小宝島には数多くの奇岩が聳え立っていた

 

小宝島を一周してまず感じるのは、巨大な奇岩が多いということ。様々な形をした奇岩が島中に天を貫くように聳え立っていて迫力がある。奇岩は特に名前の付いていない無名のものから看板で説明書きまでされている特徴的なものまで多種多様だった。

 

 

名前の付いたもので最も印象的だったのは、「赤立神(あかたちがみ)」という先端が尖っていて天を突き刺しているような三角形に見える奇岩。赤立神はその姿からして「明し(神仏に供える灯明のこと)」立神から転化したものと考えられている。赤立神はそばまで行って周囲を回ることもできたが、その巨大さに驚かされた。

 

 

さらに巨大だったのは丸い形をしている奇岩の「うね神」。こちらも名前の由来には諸説あるが、「采女(うねめ、古代、天皇・皇后のそば近くに仕え、食事の用意や日常の雑役にあたる女官のこと)の神」が語源であると説く人もいる。

 

 

「赤立神」や「うね神」をよく見るためには、小宝島を一周するループ道路から外れて赤立神海水浴場へと向かう道を辿っていけばいい。珊瑚礁に覆われた小宝島にはビーチがなく、仕方ないので赤立神海水浴場という岩の中のプールで泳ぐことになっているそうだ。

 

赤立神海水浴場までの道は巨大な岩石がゴロゴロ転がっていたり地面からそそり立っていたりして迫力があった。人間と比べてもその岩石の大きさが半端ないことがわかっていただけるだろうか(背景にはうね神)。

 

・小宝島に広がる牧場の風景

赤立神海水浴場へと向かう道沿いには牧場があり、牛が飼育されていた。「民宿いこいの宿」のおじちゃんも牧場を持っているのだという。牛と「赤立神」が組み合わさった風景は、まさに小宝島ならでは!

 

・妊婦の仰臥!小宝島は妊婦が横たわっているような地形をしている

小宝島の中心には「竹ノ山」という小高い山が聳え立っており、小宝島を遠くから眺めるとうね神を東部に、竹ノ山を腹部にした妊婦の姿に見えることが有名だ。この姿は「妊婦の仰臥(ぎょうが、仰向けに寝ること)」と呼ばれ、赤立神海水浴場へと向かう道の途中には「妊婦の仰臥」がよく見えるスポットもあった。本当に妊婦さんが寝ているように見える!てか仰臥って普通に看板にも書かれてたけど、医学以外で初めて聞いたわ!

 

・「竹ノ山」登山と頂上から見える小宝島の絶景

 

この「竹ノ山」には登山することもできた。20分ほどで登れる気軽な山だった。登山道には本当に竹がいっぱい生い茂っていて、なぜ「竹ノ山」と名付けられたのか考察する余地もないほどに明らかだった。しかしこの竹というものがトカラ列島を巡る旅の中では非常に印象的なものになると、最初の島である小宝島を回っているぼくには知る由もなかった。トカラ列島には本当に竹が多くて”竹の諸島”と呼んでもいいくらいだとぼくは心の中で感じていた。この竹が普通に日本で見られるような竹ではなく、もっとか細くて繊細なとても不思議な竹だった。調べてみるとこれは「琉球竹(リュウキュウチク)」という名称で、鹿児島の離島を含む琉球諸島にのみ分布しているらしい。本当?沖縄に10年間住んでいたけれど、こんな竹あったかなぁ、気付かなかっただけ?そういえばトカラ列島の名物は筍料理だと言うし、やっぱりトカラ列島と竹の関係には綿密なものがあると感じた。

 

「竹ノ山」の頂上からは小宝島の風景が一望でき、とてもいい眺めで登った甲斐があった。「赤立神」や「うね神」や「湯泊温泉」までしっかり見えただけではなく、海の向こうにはこれから行こうとしている悪石島まで見渡せた。

 

・アダンにガジュマルも!沖縄の風を感じる小宝島

 

植生で言えばループ道路にはアダンの実を見付けたりして、沖縄を思い出して懐かしくなった。やっぱりトカラ列島も鹿児島県といえども琉球諸島圏内なのだろうか。ちなみにアダンの実はあったけれど、ヤシガニは見かけなかった。

 

小宝島には「聖なるガジュマルの森」もあり、こちらも沖縄的だった。巨大岩石にガジュマルの森が絡み付くように垂れ下がっている様子は南国の大自然の迫力を感じさせられた。

 

・青い海に包まれた小宝島港からは宝島が見渡せた

 

小宝島の港からは、海の向こうに宝島も見えた。悪石島よりも近い分、こちらの方がすぐ目の前にあるという実感があった。このように悪石島、宝島と隣にある島が海の向こうにいくつも見えると、ここがまさにいくつもの島が連なって形成されているトカラ”列島”なのだと納得させられる。そして今ぼくがいる小宝島も、海流の中にあるその数多くの島々のうちのひとつなのだ。

 

晴れた日の小宝島港の海の水はとても美しく青く澄んでいて、海の向こうに見える「赤立神」もフォトジェニックだった。

 

・平家の落人伝説と日本で最後まで残った艀(はしけ)

 

小宝島港の近くにある「平家の落人が隠れ住んだ大岩屋」。壇ノ浦の戦に敗れた平家の落人が隠れ住んだと言い伝えられている洞密。中央奥には赤ちゃんを寝かせた「イサ」と呼ばれる「ゆりかご」を吊った穴が天井に2対(計4箇所)開いている。これから行く平島もそうだが、トカラ列島では平家の落武者の物語をたまに聞くことになった。この大岩屋には太平洋戦争末期(昭和20年5月)に米軍の空襲を受け、島民の半数が焼け出された際、約4ヶ月間、2世帯16名が避難生活を送った記録も残されている。

 

 

内部に展示されている丸木船は、昭和40年まで艀(はしけ)として使用されていたもの。艀とは今のように大型船が島へ接岸できなかった時代に、島の近くで停泊している大型船と陸を行き来して、人や物資を運ぶために利用されていた小さな船のことだ。昔の日本にはよくこの艀があったらしいが、港が発達した今となってはもはやひとつも残っていないという。

 

日本最後の艀である小宝丸

この小宝島には何と日本で最後まで働いていた艀の「小宝丸」が残っている。「日本最後の艀」として看板も立てられいるが、展示されているというよりは打ち捨てられているようにも見える。1990年まで使われていたものだという。

 

・小宝島には日本の原始信仰の姿が色濃く残されていた

 

信仰的な観点から言うと、小宝島では「小宝神社」が代表的な神社だった。昭和46年(1971年)まで島の周りにあった十社を、ここに合祀したものだという。ここに祀られている神々はすべて神格の高い神と言われており、昭和20年代半ばまでは、毎年宝島から何十人もの人々が初穂を供えに来島していた。またこの神社に参拝した後に子どもを授かった方もおり、子宝のご利益もあると言われている(小宝島だからダジャレ?)。

 

 

ぼくが最も興味深かったのは島の西部にある「岳の宮神社跡」だった。薄暗い森の奥深くにある神社で、神社跡という割には今でもしっかりと神様が祀られている雰囲気だった。岳の宮神社には宗像大社の沖ノ島(世界遺産登録)に見られるような岩陰祭祀跡があった。沖ノ島の岩陰祭祀は古墳時代(3世紀中頃から6世紀末頃)に行なわれていた祭祀法であるが、小宝島では昭和46年(1971年)まで同様な祭祀法が行なわれていたというから驚愕だ。しかし森の中にまるで隠されているかのような原始的な信仰の形態を目の当たりにした時、確かに古代の息吹を感じずにはいられなかった。

薄暗い森の奥には巨大な岩石が鎮座し、その前に「岳の御神」「神壇神社」という言葉が並ぶ。「岳の御神」というのはやっぱり山の神様のことだろうか。日本が古代からずっと継続的に保ち続けている磐座信仰(岩石信仰)、山への信仰という多神教的な自然信仰、アニミズムの姿を、秘境中の秘境である小宝島でも確認することができた。やっぱり辺境であっても小宝島は日本の感性の圏内にあるのだということを実感した。むしろ辺境であるからこそ日本の中心では時代によって取り除かれたり流し去られたりしたものが、ここでは密かに着実に残存し今なお育まれているのかもしれなかった。

 

他に面白かったのは「へほ地蔵」という可愛いお地蔵さん。何の説明もなかったので詳細は不明だが、果たしてこれは本当にお地蔵さんなのだろうか。何だか縄文時代とかの単なる石像のようにも見える。お地蔵さんということは地蔵菩薩なので仏教系?この絶海の孤島にも、やっぱり仏教は伝来したということなのだろうか。しかしこの「へほ地蔵」以外に、仏教を感じさせるものは小宝島には一切なかった。

 

 

・小宝島と宝島では毒のあるトカラハブに注意!

このように小宝島を4日間かけて隅々まで歩き回ったわけだが、注意すべき事項もあった。それは小宝島にはトカラハブという固有のハブが生息しているということだ(宝島と小宝島にしかいない)。沖縄のハブほど強くはないが毒を持っているので、草むらや石垣、木の枝などに注意を払いながら散策したい。万が一トカラハブに噛まれてしまった場合は、出張所で傷口の毒を吸引するポイズンリムーバーが貸し出されているという。しかし2月にぼくが小宝島・宝島を巡った際には、トカラハブを一切見ることはなかった。

 

 

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