雇用契約成立の条件とは?シフトカットで休業手当を支払ってもらえない際に有効だった法律知識と交渉法

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雇用契約成立の条件とは?シフトカットで休業手当を支払ってもらえない際に有効だった法律知識と交渉法

・勤務確定していた2月15日コロナワクチンバイト西宮案件がシフトカットされた!
・勤務は確定していたのに雇用契約は成立していなかった?
・ぼくは2月15日を西宮案件のためにきちんと空けておいた
・医者はキャンセルできないのに雇用者は自由に無料キャンセルできる不条理
・法律的に雇用契約が成立する条件は民法第623条に明記されていた
・仲介会社CUCへの1回目の電話
・仲介会社CUCへの2回目の電話
・祝!休業手当6割を支払ってもらえることになった
・シフトカットされて休業手当を支払ってもらえない時の有効な交渉法まとめ
・協調性を大切にするよりも研ぎ澄まされた自らの直感を貫け

・勤務確定していた2月15日コロナワクチンバイト西宮案件がシフトカットされた!

医師コロナワクチンバイトは違法状態?!大阪市も兵庫県も労働基準法を守らずに休業手当を1円も支払ってくれなかった

2022年1月12日、ぼくは医師としてコロナワクチンバイトに従事するため2月15日の西宮会場案件(兵庫県が設置、運営は医療法人社団 泉会、仲介は株式会社CUC)に応募した。1月13日に勤務確定のメールが来たので自然な流れとしては、2月15日に西宮会場でコロナワクチンバイトをする予定だった。

しかし1月24日に、2月15日のコロナワクチンバイト案件はキャンセルになるというメールが来た。理由は、2月15日は会場休館日なのに間違って医師を募集してしまったとのことだった。

西宮会場案件は業務委託契約ではなく、雇用契約だ。雇用契約ということは労働基準法第26条が適用され、勤務が確定していたにもかかわらず雇用者側の都合でシフトカットした場合には、本来払うべき給与の6割以上を休業手当として支払ってもらえるはずだった。

しかし休業手当の話は全く出ず、ただ「キャンセルさせていただきます」と一方的に告げられただけだったのでこれはおかしいと感じ、法律通り休業手当はきちんと支払われるのか問い合わせてみた。

仲介会社CUCから返ってきたのは、案の定の次のような回答だった。

今回のご勤務については雇用契約締結前のため、休業手当の対象外となります。

 

 

・勤務は確定していたのに雇用契約は成立していなかった?

なるほど確かに案件の文章には

<雇用契約書及び個人情報のご提出について>

原則として雇用契約開始日の前日までに、雇用主の医療法人が指定する様式(『welcome HR』(電子認証サービス))での雇用契約締結及び給与計算等に必要な個人情報の提供を行うことをもって、雇用契約が成立するものとします。

と書かれている。つまり2月15日の西宮案件の勤務は確定していたにもかかわらず、welcome HRというオンラインサービスで契約書にサインしていない状態だから、まだ雇用契約は締結されておらず、それゆえに労働基準法に則って休業手当も出さなくていいと判断されると主張されたわけだ。

そうかそうかきちんと案件の文章に記されていたのだから仕方がない、休業手当は大人しく諦めるしかないかと、普通の人ならばそれで引き下がるのかもしれないが、ぼくはあまりにもおかしなことを言われているような気がして大きな違和感を覚えたので、その違和感の正体を自分の中で論理的に突き詰めた。

 

・ぼくは2月15日を西宮案件のためにきちんと空けておいた

そもそもぼくが雇用契約を結んでいないというのは本当だろうか。だって2月15日の勤務は正式に“確定”しているのだ。勤務が確定している時点で、常識的に考えたら雇用契約を締結していると考えて何も問題ないはずだ。

勤務が確定した時点で雇用契約が成立していると当然のように見なしていたから、ぼくは2月15日に西宮会場でコロナワクチンバイトをする準備を整え、他の予定も一切入れずに大人しく勤務日を待っていたのだ。社会人として当然のことだが、勤務確定以降に他のもっと好条件のコロナワクチンバイト案件が2月15日の日付で出ていたとしても、既に西宮会場の案件が確定しているからと、好条件のバイトの方に乗り換えることもしなかった。

つまりぼくの人生の貴重な2022年2月15日という1日の時間は、西宮案件に捧げるためにきちんと用意され、確保されていたのだ。それなのにそのような従順な心を踏みにじり、2月15日案件を雇用者側の不注意を原因として一方的にキャンセルした上に、1円の休業手当も支払わないとはどういうつもりだろうか。

 

・医者はキャンセルできないのに雇用者は自由に無料キャンセルできる不条理

さらに西宮案件の契約文章には次のような注意書きも存在していた。

※確定後のキャンセルはお控えいただいております。当日必ずご勤務いただける場合にお問い合わせください。  万が一、やむを得ないご事情でキャンセルされる際には代診の先生を立てていただくようお願いいたします。

この「確定後のキャンセルはお控えください」という文章は、勤務が確定した時点で雇用契約が既に成立していると雇用者側が見なしている明らかで確かな証拠ではないだろうか。

勤務の確定が雇用契約の締結を意味していないのだとしたら、いつだって案件をキャンセルし放題のはずだ。だって契約はその時点で全く成立していないのだから。逆に言えば勤務の確定と同時に雇用契約がしっかり結ばれていると雇用者側が判断しているからこそ、キャンセルを絶対にするなと医者に念押ししているのだろう。

この理屈でいけば医者は勤務確定後、案件を絶対にキャンセルできないのに、雇用者側はいくらでも医者を休業手当もなしに無料でキャンセルし放題というあまりにも不平等で不条理な仕組みが成立してしまうことになる。

医者に限らずどのような職業であったとしてもこのような無法な理屈を許していては、雇用者側が自分の利益だけを追求し労働者を都合のいい心を持たない部品のように扱ってしまう滅茶苦茶な社会が出来上がってしまうのではないだろうか。そしてこのような事例をぼくたちが適当に放置していては、やがて日本で労働する将来の子供たちや若者たちにも多大なる迷惑を残すのではないだろうか。

 

・法律的に雇用契約が成立する条件は民法第623条に明記されていた

しかし確かに案件の文章に

<雇用契約書及び個人情報のご提出について>

原則として雇用契約開始日の前日までに、雇用主の医療法人が指定する様式(『welcome HR』(電子認証サービス))での雇用契約締結及び給与計算等に必要な個人情報の提供を行うことをもって、雇用契約が成立するものとします。

としっかり書かれている限りは、どんなに悔し紛れに感情的に言葉を並べてみても、理にかなった反論を展開することができない。日本は法治国家なのだから、そもそも法律的にどのようにすれば雇用契約が締結したと見なされるのか、まずはそれを調べることが重要だ。

そこで法律には明るくない素人ながらに色々とグーグル検索を駆使し、雇用契約が締結される条件を探し当てた。民法第623条には次のように定められているという。

雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

つまり契約書にサインなんかしていなくても、口約束でも文章でも何でもいいから“雇用の約束”をした時点で、きちんと雇用契約は成立しているということだ。

これは確実に反論の材料として使える法律だろう。いくら案件の文章にwelcome HRで契約しない限り雇用契約は成立していないことになると書かれていたとしても、それが法律に反しているものならば有効となるはずがない。法律では約束を交わした時点で雇用契約は締結されていると明記されているわけだから、2月15日の案件が勤務確定になった時点で雇用契約はしっかりと結ばれていたと見なすべきだ。

 

・仲介会社CUCへの1回目の電話

法律のことも調べ終わったので、休業手当は出ないというメッセージに対して、ぼくは仲介会社CUCに電話し、交渉を試みた。

しかしいきなり法律のことを持ち出しても率直すぎて疎ましがられると思い、まず1回目の電話では試しに、常識的に考えて勤務確定の時点で雇用契約が締結されていると考えるのが普通だと思うので、休業手当をきちんと支払ってほしいという内容を伝えた。こちらは2月15日の西宮案件のために他の予定も入れずにきちんと準備して待っていたことも追加で伝えた。

上司に相談するのでまたかけ直すと言われた翌日、仲介会社CUCから返ってきたのは、やはり休業手当は1円も支払わないという全く同じ回答だった。

 

・仲介会社CUCへの2回目の電話

そこで今度はきちんと法律に基づいて論理を展開してみた。民法第623条では雇用の約束を交わした時点で雇用契約が成立すると定められているのだから、勤務が確定している時点で法律的には確実に雇用契約が結ばれていると判断されるはずだという内容を強調した。

また案件の文章に勤務確定後はキャンセルするなと書かれているのだから、それは雇用契約を結んでいることを暗に認めているのではないかという意見も主張した。

そして勤務確定後からwelcome HR締結までの空白期間において、医者は絶対にキャンセルできないのに雇用者側は自由に無料でキャンセルし放題であることの不平等さと恐ろしさも指摘し、このような仕組みが平然とまかり通ることになれば労働者たちはみんないつシフトカットされてしまうのだろうと不安に打ちのめされながら生活することになるし、何より雇用者側が好き勝手に横暴にふるまえるようになり社会が滅茶苦茶になってしまうことの危険性を提言した。

さらにはこの電話の時点でぼくはまだwelcome HR上で雇用契約を結んでいないので、2月15日の案件でされた仕打ちのように、これからも自由に好き勝手に無料でシフトカットされる恐ろしさに怯えながら生きていかなければならないこと、早くwelcome HR上の契約書を送りつけてほしいということも追加で伝えた。

最後にこの電話でも休業手当を支払わないという意見が変わらない場合は、確実に労働基準監督署に相談する旨も言及した。自分たちのやっている身勝手な行為が、どれだけ労働者を不安にさせ、また恐怖に打ちのめさせているのかを、明確に知らしめずにはいられなかったのだ。

 

・祝!休業手当6割を支払ってもらえることになった

この2回目の電話は功を奏したらしく、しばらくしてから休業手当を法律に則って6割支払うという回答のメッセージが送られてきたので、ぼくは感動した。きちんと自分が正しいと信じている意見や主張を曲げずに、諦めず、勇気を出して伝え続ければ、たかが1人の小さき労働者の声であっても、雇用者側の考えを変更させることに成功するのだと自らの実体験により知ったからだった。

2回目の電話の後、送られてきたメッセージは以下の通り。

お世話になっております。
掲題の件、回答が遅くなり申し訳ございませんでした。

今回ご勤務予定でした「2月15日(火)西宮北口会場」のご勤務キャンセルについて、 休業手当(予定勤務給与額の60%)をお支払いさせていただきます。 先生のおっしゃる通り、以下の認識により判断いたしました。

・採用確定のご連絡をもって、雇用契約成立となっている事
・労働契約締結後における被雇用者の休業が、雇用者の「使用者の責めに帰すべき事由」による場合には、  休業手当を支払う義務が生じる事
・但し休館が突然の新型コロナウィルスによる影響を受けたためである場合などを除くケースもある事

改めまして、この度はご勤務確定後のキャンセルとなり、誠に申し訳ございませんでした。
恐れ入りますが、ご容赦いただけますと幸いです。

また、お手数をお掛けいたしますが、 本メッセージをご確認いただけましたらその旨をご返信いただけますと幸いです。
(ご勤務キャンセル処理させて頂きます)
何卒よろしくお願い申し上げます。

また意見の変わらなかった1回目の電話と意見を変えることができた2回目の電話を比較し、やはりしっかりと法律に則った意見を提示すること、労働者が不安に苛まれていることを明確に伝えることで人間としての心すなわち道徳的・倫理的な観点から自分自身を反省させること、また「労働基準監督署」をいうワードを出すことは、雇用者側の意見を変更させるのに非常に有効であることを学ぶことができた。

また雇用者側が頑固で意固地ではなく、自分たちの行いが法律的・倫理的に間違っていると判断した場合にはきちんと修正できる素晴らしい柔軟性を持っていたことも、今回の事例がスムーズに解決した理由のひとつだろう。誰だって自分が間違っていることを認めるのは怖いことだが、それを迅速に対応してくださり感謝している。

 

 

・シフトカットされて休業手当を支払ってもらえない時の有効な交渉法まとめ

今回のぼくの実体験は、勝手な理由でシフトカットされ勤務をキャンセルされたにもかかわらず、横暴な雇用者から休業手当をしっかりと支払ってもらえずに困っている人々の役に立つかもしれないと思い、ひとつの記事としてここにまとめた。まとめるときちんと休業手当を支払ってもらえるように主張する際には以下のポイントが重要だったと予想される。

・きちんと自分で法律的なことを調べ上げ、法律に基づいた主張を展開する。

・どのような点で自分が違和感を抱いているのか、何が困っているのかをしっかりと自分の言葉で簡潔に論理的にまとめ上げ、実直で熱量のこもった意見を述べる。

・「労働基準監督署」というキーワードは非常に有効。このキーワードを出しても拒否され、それでもなお自分の主張が正しいと信じるならば、実際に「労働基準監督署」に相談するという行動を引き起こす根性も必要。

 

 

・協調性を大切にするよりも研ぎ澄まされた自らの直感を貫け

おそらく日本人ならば、今回のぼくのように行動することは稀だろう。なぜなら日本人は調和や協調性を最も重要視する傾向があるので、自分が何かしらの違和感を心の中で覚えたとしても、自分さえ我慢すればいいと何も行動を起こさずに耐え忍ぶことが多いからだ。また儒教的な観念に支配され、目上には自分の意見を言わない方がいい、権力者には逆らわない方がいいと洗脳されているから波風を立てまいとして、都合のよく従順な大人しい部品か奴隷のような生き様を選ぶだろう。

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しかしぼくはそのような生き方に断固として反対だ。自分の直感や感性が違和感を覚えているというのに、なぜそれを抑え込む必要があるというのだろう。せっかく人間としてこの世に生まれ、ひとつの心や感性を持ち、自我を育みながら生きているのだから、その証として自らの意見を常に堂々と主張し、表現すべきだ。もちろんそれは上手な世渡りではないだろう。時には他人とぶつかり、取り返しのつかない決裂を生み出すかもしれない。しかしそれも真剣に生命を燃やしながら生きている人間同士が描き出す、人生の美しい情緒ではないだろうか。

人間は誰もが四方八方に自我を張り巡らせながら生きているのだから、ぶつかり合うのは当たり前でむしろ健全だ。その自然性を抑え込み、自分の感性をただひたすらに抑え、協調性や空気を読むことだけをやたらと主張し、我慢しすぎて陰口や不平不満ばかりが蔓延している浮世の風景を、ぼくは決して美しいとは思わない。

協調性を重要視し、他人からどう思われているかにひどく拘りながら生きることは、果たして清らかな生命として相応しい態度だろうか。自分を裁くのは他人ではなく、自分を裁くのはただひとり、自分自身だ。自分が自分自身を、真っ当な生き方をしていると認めてやることができるなら、その神聖な感触を知っているのなら、他人の目という価値のない虚妄にもはやふり回される必要もない。

自分が何を美しいと感じるのか、自分が何に違和感を覚えるのか、自分自身の根源の炎へ常に耳を澄ませ、燃え盛るような直感に従ってこの世を生き抜くとき、人には、世の中のことなどふり返っている暇などあるはずがない。

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