医師コロナワクチンバイトは違法状態?!大阪市も兵庫県も労働基準法を守らずに休業手当を1円も支払ってくれなかった

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人間の心を部品かゴミのようにしか扱わない組織を絶対に許すことはできない。

コロナワクチンバイトは違法状態?!大阪市も兵庫県も労働基準法を守らず休業手当を1円も支払ってくれなかった

・労働基準法ではシフトカットした場合の休業手当について定められている
・大阪市が7日間のシフトカットに対して医師に休業手当を支払わなかった具体的事例
・ぼくの大阪市コロナワクチン業務は「雇用契約」か「業務委託契約」か
・「雇用契約」でも「業務委託契約」でもぼくにとってメリットがある
・兵庫県が雇用契約なのに休業手当を支払わなかった具体的事例
・労働する人間を心を持たない部品かゴミのように扱う組織たち
・結論その1:兵庫県案件では労働基準法を遵守しきちんと6割休業手当を支払ってくれることになった
・結論その2:大阪市案件では、業務内容が「業務委託契約」的だと大阪労働局に判断されて休業手当をもらえなかった

・労働基準法ではシフトカットした場合の休業手当について定められている

労働基準法第26条では、仕事のシフトが既に確定している場合、直前になってその仕事がキャンセル(シフトカット)された際には、本来支払うはずだった給与の6割以上を休業手当として支払わなければならないと定められている。

例えば医師のぼくがコロナワクチンバイトで確定されていた東京都練馬区の案件が突如なくなってしまった場合でも、練馬区は労働基準法に則って本来もらえるはずだった日給の105000円をきちんと支払ってくれた。またアマゾンの職域接種の際にも同様に、案件が確定されていたにもかかわらず急にキャンセルされてしまった場合には、本来もらえるはずだった日給の130000円を、こちらから何も言わなくても法律を守ってしっかりと支払ってくれた。

何ひとつ働いていないのに10万円や13万円をもらえるなんて贅沢なと思われるかもしれないが、よく考えてみればこのようなことは当たり前である。もしも労働基準法でシフトカットの休業手当についてきちんと定められていなかったとしたら、雇っている側は自分の身勝手な都合で雇われている人のシフトを思い通りに自由にキャンセルし放題となり、その給料によって生活している雇われている側は困惑してしまうだろう。労働基準法は雇っている側が横暴にふるまわないように、また雇われている側がむやみやたらとシフトカットされて狼狽しないように、きちんと守ってくれているのだ。

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しかしきちんとシフトが確定していたにも関わらず、その約束によってこちらはきちんと時間を空けて労働に対する準備をしっかりしていたにも関わらず、直前になってシフトカットしてきても平然と休業手当を1円も支払いませんとふんぞり返ってふてぶてしい態度をとっている雇用主がこの世には存在する。それが大阪市と兵庫県である。ここでは医師のぼくがコロナワクチンバイトで大阪市と兵庫県から受けたひどい仕打ちを具体的に見ていこう。

 

 

・大阪市が7日間のシフトカットに対して医師に休業手当を支払わなかった具体的事例

ぼくは医師として大阪市に雇用され、令和3年6月28日より大阪市立東淀川区スポーツセンターにて新型コロナワクチン業務に従事していた。しかし接種者の減少を理由に突如として7月に予定されていたシフトを一方的にキャンセルされた。

7月は15日間勤務の予定だったが、7日間削られて勤務が8日間になった。 7月の勤務日は予定として7月1日、2日、5日、6日、7日、9日、14日、15日、16日、 19日、20日、21日、27日、29日、30日で確定していたが、7日、14日、15日、16日 、27日、29日、30日の7日間を削られた。

大阪市の職員からシフトカットを突然言い渡されたのは、令和3年7月6日の従事直後だった。 つまり「明日はもう来なくていい」といきなり何の前触れもなく告げられたということだ。

労働基準法に基づき休業手当としていくらもらえるのかを令和3年7月9日にメールで問い合わせたが、令和3年7月14日に届いた大阪市からの回答メールには、休業手当は一切されないことが明記されていた。

 

・ぼくの大阪市コロナワクチン業務は「雇用契約」か「業務委託契約」か

大阪市の回答に納得がいなかったぼくが起こした行動は、労働基準監督署に相談するということだった。労働基準監督署の職員は親身になってぼくの話を聞いてくれ、それは休業手当をもらえる可能性がかなり高いから準備をしようということになった。ぼくはこれまでの経緯を詳細にまとめたり契約書や給与明細をコピーしたりして労働基準監督署に提出した。

大阪市の言い分としては、ぼくが大阪市を結んでいるのは「雇用契約」ではなく「業務委託契約」だから労働基準法は適応されず、休業手当も支払わなくていいということだった。この意見に関してはぼくもなるほどと思い、とても勉強になるなぁと感じた。労働力を提供する場合、この世には「雇用契約」と「業務委託契約」という2つの形態があり、前者の場合には労働基準法を遵守しなければならないが、後者の場合にはそんなもの守らなくていいということになっているようだ。

それならば「業務委託契約」じゃなくてみんな「雇用契約」にしてほしいと願ってしまうじゃないかと思ってしまいそうになるが、「業務委託契約」にもメリットはある。「業務委託契約」でもらえるお金は「報酬」として「事業所得」か「雑所得」にできるので、確定申告の際に経費を使って青色申告で節税ができるというのだ。一方で「雇用契約」でもらえるお金は「給与」なので、サラリーマンと同様経費による節税はできないということになる。

つまりまとめると、ぼくの大阪市での労働が「雇用契約」によるものならば労働基準法に則って休業手当6割以上をもらい受けることができるが、「業務委託契約」によるものであれば労働基準法なんて適応されないので休業手当なんてもらえないということだ。大阪市からの契約書には、確かに「業務委託契約」で「報酬」を支払うと明記されている。

それならばぼくが大阪市と結んでいるのは「業務委託契約」で確定なのでぼくが休業手当をもらえませんと結論づけられるかと思いきや、事態はそう単純ではない。例え大阪市が契約書に「業務委託契約」と明記していても、業務の実態自体が「業務委託契約」らしくなけば、それは「業務委託契約」ではなく「雇用契約」と判断されてしまうということだ。つまりぼくが大阪市で行なっていたコロナワクチン業務の内容が、「雇用契約」らしいか「業務委託契約」らしいかしっかりと見極める必要があるという。

「雇用契約」らしいか「業務委託契約」らしいかを見極める基準は複数あり、それぞれの項目を評価して総合的に判断する。例えば報酬が結果基準か時間基準か、指揮命令があるかないか、勤務場所や勤務時間の拘束性があるかないかなど、その他も含め多様な項目についての側面から業務内容を確認し、「雇用契約」なのか「業務委託契約」なのかを決定するそうだ。

今は労働基準監督署が、ぼくのコロナワクチン業務が「雇用契約」らしいか「業務委託契約」らしいかを判断してくれている最中であり、労働基準監督署が判断した後には、厚生労働省が最終的に裁きを下すのだという。こんなに大ごとになったのは初めてだと、労働基準監督署の担当者は語っていたが、大ごとになってしまったからこそ最終的な答えが出るのにかなりの時間がかかるという。まだ結論は出ていない。

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・「雇用契約」でも「業務委託契約」でもぼくにとってメリットがある

ちなみにぼくにとっては、「雇用契約」という答えが出ても「業務委託契約」という答えが出てもどちらにしてもメリットがある。それはどういうことか。

もしもぼくのコロナワクチンバイトの業務内容が「雇用契約」らしいと判断されれば、休業手当をもらい受けることができ、42万円〜70万円を手に入れることができるだろう。

一方でぼくのコロナワクチンバイトの業務内容が「業務委託契約」らしいと厚生労働省が判断すれば、こちらの方はかなり注目すべき画期的な裁きとなる。というのも医師が医療行為を行う限り、どんなにバイトをしてもそれは「業務委託契約」とは認められず「雇用契約」とされてきた歴史があるからだ。

医師は大抵が高給取りなので「給与所得」のバイトをしても累進課税制度で税金をたくさん奪い取られるだけだから、なるべくならばバイトを「業務委託契約」として経費を利用した節税がしたいのだ。しかし医師のバイトを「業務委託契約」として認めてしまえばバイトを行うあらゆる医師から多額の税金を奪い取りにくくなると考えたからなのか、税務署も厚生労働省も裁判所も、医療行為を行う限り医師のバイトは絶対に「給与所得」であると判断して、医師になるべく節税させないように見張ってきたようだ。最も有名な例は以下の記事で紹介した麻酔科医の裁判の事例。

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医師のコロナワクチンバイトも問診したり救護したり、確実に医療行為に含まれるわけだから、ぼくの事例が厚生労働省によって「業務委託契約」だと最終的に判断されれば、国家が医療行為を行う医師のバイトを「業務委託契約」として認めた最初の事例になるのではないだろうか。そしてぼくの大阪市でのコロナワクチンバイトが「業務委託契約」として認められれば、ぼくは大阪市でもらったコロナワクチンバイトの報酬を「事業所得」として確定申告時に青色申告し、経費を使った節税の他に65万円控除も適応させることができるからかなりお得だ。もしかしたら「給与所得」と認められて休業手当をもらうよりも、こちらの方がお得なのかもしれない。

「雇用契約」になっても「業務委託契約」になってもいいので、厚生労働省の最終的な回答が待たれる。

 

 

・兵庫県が雇用契約なのに休業手当を支払わなかった具体的事例

また大阪市と同様の事態が、兵庫県設置のコロナワクチン接種会場(運営は医療法人社団 泉会、仲介は株式会社CUC)でも起きた。2月15日にシフトが確定していたのに、会場が休館日となるため勝手にキャンセルになるという。こちらの場合ははっきりと契約に「雇用契約」と書かれていたので、労働基準法が適応されるはずだと思い休業手当は出るのか聞いてみると、なんと「今回のご勤務については雇用契約締結前のため、休業手当の対象外となります」との返答が!

確かに契約には

<雇用契約書及び個人情報のご提出について>

原則として雇用契約開始日の前日までに、雇用主の医療法人が指定する様式(『welcome HR』(電子認証サービス))での雇用契約締結及び給与計算等に必要な個人情報の提供を行うことをもって、雇用契約が成立するものとします。

と書かれている。ということはwelcome HRでは締結していないので、ぼくはまだ兵庫県と雇用契約を結んでいなかったということなのだろうか。しかし、シフトは確定しているのだ。シフトは確定しているのに、雇用契約が締結していないとは一体どういう状態なのだろうか。また契約には次のような文章も見られる。

※確定後のキャンセルはお控えいただいております。当日必ずご勤務いただける場合にお問い合わせください。

雇用契約も結んでいないのに、確定後のキャンセルはできないとはどういう了見だろうか。雇用契約を結んでいるからこそ、キャンセルするなと書かれているのではないのか。まだ雇用契約を結んでいないのだったら、いつでも自由にキャンセルしていいはずだ。だって契約していないのだから。この一文はシフトが確定したと同時に、雇用契約が成立したことを明らかに示すものではないのか。

民法第623条には

雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

と定められているという。つまり契約書なんかにサインしていなくても、約束を交わした時点で雇用契約が成立していると法律は教えているのだ。すなわち法律上はシフトが確定している時点で、当然だが雇用契約は成立したと見なされるべきではないだろうか。いくら兵庫県が医者に給与手当を支払いたくないからといってどんなに工夫を凝らした文章を付け加えたとしても、その上には厳然たる法律が君臨しており、法律にそぐわない文章を打ち砕くだろう。

またシフト確定後、医師にはキャンセルするなと命令しているくせに、自分は無料で医師をキャンセルし放題だとのたまっているとは、兵庫県は正気の沙汰とは思えない。このような小賢しい横暴が許されていいのだろうか。医師を、人間を、生きている貴重な時間を、尊い生命を、一体何だと思っているのだろうか。

兵庫県の言い分によれば、ぼくは今シフトは確定しているけれど、welcome HRによる雇用契約はまだ結んでいない状態だという。つまりぼくは兵庫県での労働のために人生の大切な時間を空けているけれど、兵庫県は休業手当も払わずにいつでも医師を身勝手にキャンセルできるという、かなり不条理な状態に置かれているということだ。このような不安定でいつでも簡単に地獄へと突き落とされるような状況で、どのように正気を保って平穏に生きられるというのだろうか。

 

 

・労働する人間を心を持たない部品かゴミのように扱う組織たち

ぼくが腹立たしいのは、決してお金をもらえないということではなく、大阪市や兵庫県が、人間をまるで心を持たない部品かゴミのように取り扱っているということだ。シフトカットされた人間は誰でも、大阪市や兵庫県のために働けるように万全の準備を整えて、生きているという尊い時間を大阪市や兵庫県に捧げるためにその日の予定を空けていたはずだ。そのような人々の気持ちを無遠慮に踏みにじり、都合のよいときには便利に使うけれど要らない時には価値のないゴミのように掃き捨てるなんて、人間の集団というよりも悪魔の所業であるとしか思えない。何の苦労もせずに既成の権力により、民衆から税金を吸い上げらるようになれば、そのような思い上がった傲慢な性質が身につくのだろうか。

大体民衆から税金を無遠慮に奪い取っているのならば、きちんと法律を守ったふるまいをし、民衆のお手本になるべきではないだろうか。なぜ大阪市や兵庫県という行政が労働基準法を守らずに、労働する人々の心を見下し踏みつけている一方で、民間企業のアマゾンなどがきちんと労働基準法を遵守し、労働者に敬意をはらってしっかりと休業手当をくれるのだろうか。組織というものの本質や正体は、このように誰の目にも触れることもない場所でさえ、人間の心を大切にするか、それともゴミや部品のように踏みにじるかで暴かれるものなのかもしれない。

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・結論その1:兵庫県案件では労働基準法を遵守しきちんと6割休業手当を支払ってくれることになった

結論として、兵庫県案件に関しては労働基準法を遵守しきちんと6割休業手当を支払ってくれることになった。その詳細については以下の記事でまとめた。

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・結論その2:大阪市案件では、業務内容が「業務委託契約」的だと大阪労働局に判断されて休業手当をもらえなかった

そして労働基準監督署にまでわざわざ相談に行った大阪市案件では、驚くべきことに大阪労働局によって業務内容が「業務委託契約」的だと判断されて休業手当をもらえなかった。しかしこれによりぼくの大阪市からの賃金が「給与」ではなく「報酬」ということになり、開業して「事業所得」もしくは「雑所得」とすることで経費を使った節税が可能となるメリットが出現した。コロナワクチンバイトは救護や問診など明らかな医療行為なのに、医療行為をしても医師バイトが「業務委託契約」にできると大阪労働局という行政機関が正式に認めた最初の事例として、かなり斬新で画期的な結末となったのではないだろうか。

 

 

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