顔と男根だけのヘルマ像が独特すぎる!!!!!
顔と男根だけ!不思議な境界神ヘルマ像をギリシャ・トルコの考古学博物館で見まくった
・アトスの大冒険の後は、テッサロニキ考古学博物館を訪れた
・テッサロニキ考古学博物館で鑑賞した古代ギリシャの芸術たち
・テッサロニキ考古学博物館で見かけた謎の像「ヘルマ」
・衝撃!ヘルマは顔と男根だけが残された奇妙な像だった
・ヘルマとは何か?その役割とは?
・ギリシャとトルコの旅の中で出会った様々なヘルマ像
・古代ギリシャのヘルマの男根は美しく光り輝いていたという
目次
・アトスの大冒険の後は、テッサロニキ考古学博物館を訪れた
今もなお女人禁制を貫くギリシャ正教最大の聖地アトスの不思議な巡礼の旅を終えたぼくは、ギリシャ第2の都市テッサロニキへと戻ってきた。友達になってアトスを共に去り、車でウラノポリからテッサロニキまで送ってくれたギリシャ人青年のニコラスに別れを告げ、ぼくはひとりでテッサロニキのドミトリーホテルに1泊した。
そして翌日には市内にある「テッサロニキ考古学博物館」を徒歩で訪れた。ギリシャには考古学博物館が本当に多い!ぼくはギリシャ彫刻や壁画を見るのが好きだったので、ギリシャ旅行中は様々な街で考古学博物館に訪問し、古代ギリシャ芸術を鑑賞した。テッサロニキ考古学博物館もギリシャで数多く巡った興味深い考古学博物館のひとつだった。
その他のギリシャの考古学博物館と同様に、テッサロニキ考古学博物館でも数々の美しいギリシャ彫刻や独特で不思議な絵画を見ることができた。
・テッサロニキ考古学博物館で鑑賞した古代ギリシャの芸術たち
・テッサロニキ考古学博物館で見かけた謎の像「ヘルマ」
そんな中でぼくが最も印象に残ったのは、このヘンテコな像だった。石でできた直方体の上に人の頭が乗っており、直方体の前の部分に変な穴が開いている。他の古代ギリシャの彫刻がまるで本物の人間の肉体のように精巧に作られていたので、余計にこの直方体の胴体の像が何だか独特すぎて面白かったのだ。
どうしてこの像だけは他の美しいギリシャ彫刻のようにきちんとした写実的肉体を彫られずに、動体があまりに潔い直方体なのだろうか。単なる手抜き??古代ギリシャの彫刻家が人間の肉体にそっくりな像を沢山作りすぎて、段々飽きてきて胴体を彫るのが面倒臭くなって、ついにこの像だけ手軽な直方体のまま放置したということだろうか。だけどそれなら直方体の前についている穴の意味は?謎は深まるばかりだ。
この像の名前は「ヘルマ」というらしい。しかしそれ以上もそれ以下もわからないままだった。
・衝撃!ヘルマは顔と男根だけが残された奇妙な像だった
ぼくがギリシャの旅の中で次にヘルマを見かけたのは、クレタ島の最大の都市イラクリオンにある「イラクリオン古代博物館」を訪れた時のことだった。ぼくはイラクリオン古代博物館で初めて壊れていないヘルマの完全形を目撃したのだが、そのあまりに奇妙な形に衝撃を受けた!何とヘルマとは、直方体の胴体に“顔“と“男根“だけがくっついている不思議な像のことを指すのだった!
こんな変な像今まで見たことがない!おかしすぎる!奇妙すぎる!不思議すぎる!
一体なぜ顔と、よりにもよって男根だけがこの像には残されたのだろうか。顔はその人を他の人と見分ける上で最も重要な人間の象徴的部分なので、残されるのはまだ理解できる。しかし胴体としての直方体に、腕でもなく脚でもなく、男根だけが取り残されたようにちょこんとくっ付いている有様は奇妙というより他はない。
直方体の胴体に男根だけを彫る作業は、手間がかかるに違いない。どうせなら男根なんて付けずに顔と直方体の胴体だけの像を作る方が何倍も楽だろう。にも関わらず直方体の上に敢えて男根を作り出したということは、古代ギリシャ人はヘルマには男根が絶対に必要だと感じていたことを示唆している。
・ヘルマとは何か?その役割とは?
インターネット上で調べてみると、やはりヘルマは直方体の柱の上に人間の顔と男性生殖器がついているのが基本形だという。ヘルマの人間の顔はギリシャ神話の神ヘルメースであり、通常は髭を生やしているようだ。ヘルメースの名の由来はこのヘルマであるという説もある。ヘルメースは主に商人や旅人の守護神だとされているが、もっと古代では生殖力・運・道・境界に関連したファルス(男根)の神だったとも言われている。ヘルマは道と境界を示す目印として使用された。
古代ギリシャで道標の役割を担っていた彫刻のヘルマと、ギリシャ神話のヘルメースの存在と、人間にとって最も根源的な祈りの形である男根崇拝が絡まり合い、このようなヘルマという奇妙な像が発明されたということだろうか。
・ギリシャとトルコの旅の中で出会った様々なヘルマ像
ぼくはこの先の旅路でも、多くのヘルマと巡り会った。
ロードス島の「ロードス考古学博物館」にあった大きなヘルマ。髭を生やした顔。これもテッサロニキ考古学博物館のものと同じく、男根が抜け落ちて穴になっている。このことからヘルマの男根は直方体の部分と同一の石としてくっついているわけではなく、男根だけが別個に作られて胴体の石にはめ込まれヘルマが形成されていることがわかる。
ロードス考古学博物館にはもうひとつとても小さなヘルマもあった。顔が若干欠けているものの、こちらはしっかりと顔と男根が残されている。
国が変わってトルコの「イスタンブール考古学博物館」でもヘルマを発見!これは最も巨大で最も立派で綺麗な形で残っているヘルマだと感じられた。お髭の顔が凛々しければ凛々しいほど逆に、男根だけが胴体に付いている奇妙な面白さが浮き上がって見える。
イスタンブール考古学博物館のカフェに野ざらしで置かれている彫刻群の中にも明らかなヘルマが!こちらは顔が破壊され胴体と男根だけが残されており、もはや変態的な雰囲気さえ醸し出している。
・古代ギリシャのヘルマの男根は美しく光り輝いていたという
ミコノス島でギリシャ人の土産物屋の店員さんがヘルマについて語ってくれたことによると、古代ギリシャにおいてヘルマは町と町の境界に道標として置かれており、人々がヘルマを通り過ぎる度に子宝・多産・豊穣・繁栄を願って男根を次々に触っていったことから、ヘルマの男根はいつも美しく光り輝いていたという。ヘルマのそのような使い方はインターネット上では見当たらなかったが、ギリシャ人が言っていることなので多分本当なのだろう。
やはりヘルマは単なる道具としての道導ではなく、人間として最も根源的な男根崇拝の祈りが込められた彫刻であると考えるのが自然だろう。人間は誰もが、男根より生み出される。ぼくは日本一周・車中泊の旅で日本に隠された数多くの男根崇拝の姿に驚愕したが、あらゆる人間の始まりである男根を崇拝しようとするあまりにも純粋な直感が、日本だけではなく古代ギリシャにも息づいていたに違いない。日本であろうとギリシャであろうと、男根より生じない者はこの世にないからである。
・なぜ男根は世界中で「境界の神」として崇められているのか徹底考察してみた記事はこちら!
・日本各地の男根崇拝/生殖器崇拝の記事一覧
・世界一周して見つけた生殖器崇拝の記事一覧はこちら!