スペイン巡礼20日目!雨の日の巡礼と拡散していく生命の歴史

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スペインは今日も雨だった。

スペイン巡礼20日目!雨の日の巡礼と拡散していく生命の歴史

・雨の日の巡礼の道のりは険しい
・ぼくたち生命の本質は拡散していく歩行の旅そのもの
・San Martin del CaminoのアルベルゲVIEIRA
・スペイン巡礼20日目記録

・雨の日の巡礼の道のりは険しい

 

この日もレオンの街を早朝の6時半に出発!次の町San Martin del Caminoに向けて約25kmの道のりを歩き出した。この日は前日の雨がまだ続いているような状態で、曇ったり小雨が降ったりを繰り返す嫌なお天気だった。雨が降るとレインコートを着なければならないが、ポリエステル素材の着物は少し暑く感じた。

雨が降ったその日も歩きにくくて厄介だが、雨の降った翌日もこれまた不都合だ。道路に水たまりが多数発生しており、巡礼者たちがカミーノの道を快適に歩くことを妨げる。本来ならば巡礼者たちは、重い荷物を背負いながらなるべく体力を使わないでまっすぐに歩きたいはずだが、水たまりがそこらへんにできているとこっちによけたりあっちによけたりと、道路の上をくねくねと迂回しながら歩かなければならなくなるので疲労も倍増する。雨は降ったその日だけではなくて、降った次の日ですら巡礼者には妨げとなり得る。

 

また、水たまりがあるから”歩きにくい”というだけならばものすごく大きな問題でもないが、時々巨大な水たまりが道全体を塞いで、完全に巡礼者を足止めすることもある。この日も橋の下のトンネルの入り口に巨大な水たまりが出現し、巡礼者は立ち往生していた。ある人はそのまま水たまりの中にどっぷり靴を沈めながら先へ進んだ。ぼくたちは石と木の板を水たまりに沈めてその上を渡ることでなんとか水難を逃れた。こんな巨大な水たまりがあるだけで、巡礼の道を行く足取りもいつも以上に重く険しくなる。この日の巡礼路は交通量の多い車道の近くを通ることが多く、車に気を使わなければならないという意味でも疲労感は大きかった。

 

 

・ぼくたち生命の本質は拡散していく歩行の旅そのもの

この日で800kmあるスペイン巡礼・カミーノのフランス人の道が、残り300kmを切ったので歓喜した。もう500kmも歩いたのかという感動と、こんなに歩いてもまださらに300km歩かなければならないのかという小さな絶望が心の中で入り混じり、複雑な心境になる。けれど本当に人間ってそんなに長距離を歩けるのだろうかという、自分自身の人間としての歩行運動能力をいぶかしく思っていたスペイン巡礼前の気持ちは既に消え失せ、人間というものは意外と800km歩けるのかもしれないという明るい希望に満ち溢れていた。

車を使い、電車を使い、バスを使う毎日の日常の中でぼくたちは自分自身の肉体の最大限の能力、歩行の能力に関して、それを確かめるための機会を全く持つことがなかったように思う。歩くといっても、せいぜいハイキングで一時的な肉体的負荷をかけるくらいであり、自分は本気で頑張ったら一体どれくらい歩けるのかという、自分自身の限界をかつて試したことはなかった。

しかし歩行という能力は、人間にとってものすごく重要な能力であったのではないだろうか。人類の祖先がアフリカで誕生したその後、人々は当然ながらまずバスも電車も車も使わずに、歩行で、歩く力で、自分の肉体のみを使って、ヨーロッパ、中央アジア、東アジアまで渡り、さらには北アメリカ、南アメリカまで足をのばしていったようだ。おそらく一世代だけではなく、何世代にもわたって、様々な生死を繰り返しながらの人類の旅路だったのだろう。本当に人類に、そんな歩行的・肉体的な壮大な旅ができるのか。自らの歩行の力を知らないぼくたちには、疑うことしかできなかった。

しかしこのようにして実際に1ヶ月かけて自分自身で800kmを歩行しようと挑戦する経験をして、その折り返し地点も過ぎ、もしかしたら800kmなんて意外と歩いてしまえるのかもしれないという事実を発見する。この発見は自分自身の血の通った経験から導き出されており、説得力があることこの上ない。今のぼくたちでもこれだけの距離を、グーグルマップの世界地図を俯瞰しながらでは蟻のように極めて遅い速度でも、ゆっくりゆっくりと着実に進んで行くことができるのだから、昔むかしのご先祖様だって、きっとこの地球上の大地を歩行で渡って行けたはずだ。

もしくは、航海という方法も含まれていたのかもしれない。航海という点では、日本の最西端の与那国島において、古代の人々のように葦舟で与那国島から西表島まで航海できるのかという壮大な試みを、実際に目の当たりにしたことがあった。どんなに科学が発達してこれ以上に便利な世の中は訪れないように見える世界においても、古代の人々の能力を実際に自分自身で確かめたいという肉体的で原始的な試みは、今もなお人々の心をとらえて止まないようだ。

そして生命というものは広がるように広がるように、拡散されるように拡散されるように、旅立ちを決める性質があるらしい。本来ならば安心して生活できるその場所にずっと住み続ければいいものを、生命というものはなぜかいつも、知らず知らずのうちに拡散の旅立ちを選ぶ。遠い昔に生命が海から陸へ上がる時だってそうだ。海の中にいればそのまま安らかに生きられたものを、体の特性や仕組みまで変化・進化させてわざわざ陸地への出離を達成した。人類もそのままアフリカでのんびり過ごせばよかったものの、わざわざ危険を大いに含み得る未知なる大地への旅立ちを選んで、見知らぬ世界へと足を踏み出した。その結果として、ぼくたち人類は世界中のあらゆる場所で繁殖し繁栄している。

人類の歴史や奇跡は、”歩く”という旅そのものだったのではないだろうか。この魂が、炎の燃えるようにたとえ常に旅を望んでいても、それは人間として、生命として、根源から立ち現れるNATURE(性質)なのではないだろうか。それがどんなに浮世の軌道から外れている道のりでも、根源からの炎に誰が逆らうことができるだろうか。

旅人の炎

 

・San Martin del CaminoのアルベルゲVIEIRA

San Martin del Caminoでのこの日のアルベルゲVIEIRAは8ユーロ。朝食は珍しくビュッフェ形式だというので5ユーロを払って追加した。広くて快適、Wi-Fiも速く、トイレもシャワーもいっぱいあったが、ハエは多かった。ワインを頼んだら無料でピンチョスがついてくるレオン形式だった。

 

・スペイン巡礼20日目記録

出発6時半 到着14時00分
消費カロリー854kcal 歩数48265歩
移動距離28.6km

 

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