ギリシャ正教の教会の構造が表現する天国とは?Iviron修道院の日本人修道士にアトスの謎を解き明かしてもらった

 

アトスで修行する日本人修道士の方に色々質問だ!!!!!

ギリシャ正教の教会の構造が表現する天国とは?Iviron修道院の日本人修道士にアトスの謎を解き明かしてもらった

・女人禁制のギリシャ正教の聖地アトスへの憧れ
・日本人修道士のTさんにアトスの謎や疑問について聞いてみよう!
・ぼくの前に日本人が訪れたのはいつ?
・アトスの3泊4日滞在の延長をするにはどうしたらいいのか?
・ギリシャで生きていくために最も重要な要素は何か?
・アトスの修道院では朝食はあるのか?
・アトスのミニバスの使い方は?
・アトスにはフェリーでしか来られないのか?
・アトスの修道士に自由はあるのか?
・アトスにもコロナの影響はあったのか?
・アトスでも新型コロナワクチンを打つことができるのか?
・なぜ食事を写真に撮ってはいけないのか?食事も祈りの一環なのか?

・女人禁制のギリシャ正教の聖地アトスへの憧れ

2017年に偶然「孤高の祈り ギリシャ正教の聖山アトス」という写真集を見かけて衝撃を受けた。ギリシャ正教の辺境の聖地アトスでは何と1406年から今に至るまで女人禁制が貫かれており、一般的な世界とは隔絶された宗教世界の中で黒ずくめの衣装を纏った僧侶たちが自給自足の生活を営みながら祈りに専念しているのだそうだ。神秘的で美しく荘厳なアトスの写真の数々を目にしたぼくは、せっかく男性の肉体を持ちながらこの世に生まれ着いたことだし、世界一周の旅の中で絶対のギリシャのこのアトスへと立ち寄ろうと直感的に心に決めた。

 

・日本人修道士のTさんにアトスの謎や疑問について聞いてみよう!

Iviron修道院の日本人修道士Tさんには本当にお世話になり、色々なお話を伺うことができた。もちろんTさんの生い立ちや家族のこと、どのような経緯でアトスの修道士になったのかなどについても教えてもらったが、それは個人的な情報になってしまうので書かないとして(気になる人はIviron修道院を訪ねて直接お話ししてね!)、ここではぼくが実際に1人で巡礼の旅をしてきて感じたアトスの謎や疑問の数々について質問てみたので、得られた回答をまとめてみようと思う。これからアトスの巡礼と冒険をする人々にとっての助けとなれば幸いである。

 

 

・ぼくの前に日本人が訪れたのはいつ?

まず気になったのは、どれくらいの日本人がここアトスを訪れているのかということだ。ぼくはもはやテッサロニキに入った時点で全く日本人を見かけなくなったし、もちろんウラノポリやアトスで日本人に出会う機会も皆無だった。日本人どころかアジア人も極めて少なく、出会ったのはフェリーの上の香港人くらいだった。Tさんがぼくの前に日本人を見たのは一体いつなのだろうか。

もちろん日本人がアトスに入山してもIviron修道院を訪れず、Tさんに出会わなかった場合も考えられるが、実際にTさんが最後に日本人に出会ったのは何とコロナ前ということだった!世界中がコロナ禍になってからは日本人は全く訪れなくなり、ぼくがコロナ後最初の日本人だったようだ。ぼくがIviron修道院を訪れたのは2022年10月15日。数えてみるともはや3年くらいは日本人を見ていないという。

Ivironの他の修道士がぼくが日本人だとわかるなり喜んでTさんに連絡してくれたのも非常に頷ける。ぼくはアトスではかなり珍しい日本人という存在だったようだ。

 

・アトスの3泊4日滞在の延長をするにはどうしたらいいのか?

ぼくが一番気になっていたのは、アトス入山許可証に記されている3泊4日の決まりについてだった。この3泊4日を延長するにはどうすればいいかについては様々な話があり、ぼくが聞いた限りでは3つの説に分かれていた。まずは首都カリエスの聖庁で延長してもらうべきという説、2つ目は修道院長の許可を受ければ延長できるという説、そして最後はアトスに入ってしまえば誰も3泊4日の期限を守っているかどうかなんて気にしていないから何もしなくていいという説だった。ぼくも1日くらいアトス滞在を延長したかったが、どれが正しいのかわからなかったので何もしていなかった。そこでTさんにどうすべきか訪ねてみた。

Tさんもテッサロニキの巡礼者事務所の店員さんや、Zografou修道院のおじさんと同じく、誰も3泊4日の期限を守っているかなんて気にしていないし見てもいないという意見だった。そして今回の場合は彼が修道院長に直接話をつけてくれ、幸運にもぼくはIviron修道院に2泊することができることになった。これまでの修道院の中でも断トツで快適なゲストハウスを持つIviron修道院に2泊もできるなんて本当に嬉しい!ここIviron修道院での宿泊はアトスで3泊目だったので、ぼくは必然的に3泊4日の滞在を延長でき、4泊5日アトスで過ごすことができる結果となった。

ゲストハウスの掲示板には「Due to the large number of guests and limited space, stay in the Monastery is for one night」と書かれていたのに、やはりぼくが3年ぶりの日本人だから優遇してくれたのだろうか。しかも翌日はTさんに空き時間があるということで、何ともありがたいことにIviron修道院周辺を案内してくれることになった!本当に何から何までお世話になって感謝しっぱなしだった。

 

・ギリシャで生きていくために最も重要な要素は何か?

Tさんが言うには、ギリシャで生きていくために必要なものはお金でも頭のよさでもなく、人脈とコネだという。人脈があればギリシャで生きていくのは遥かに楽になるというのだった。

確かにぼくがここIviron修道院に2泊できてアトスの滞在を延長できたのも、ぼくが日本人でTさんという日本人修道士と仲良くなったからに他ならない。またIviron修道院のお祈りの際のお香が甘くて魅惑的で天国に行けそうなほどいい匂いを漂わせていたので、普通に売店でそのお香を買おうとしたら、Tさんの友達だからと4ユーロのところを無料にしてくれた!そんなことがあるだろうか!ものすごく感謝すると共に、本当にギリシャで生きていく上で人脈は欠かせないものかもしれないと思うようになった。

 

・アトスの修道院では朝食はあるのか?

ぼくはアトスの修道院の朝食についても気になっていた。1泊目のZografouでは朝食は出なかったが、Pantokuratorosでは朝食が出た。またここIvironでは1泊目は朝食が出たけれど2泊目は出なかった。果たしてアトスの朝食システムはどうなっているのだろうか。

TさんによるとここIviron修道院では、曜日によって朝食が出たり出なかったりするということだった。それは他の修道院でも変わらないだろう。レストランも食堂もほとんどないアトスの修道院で朝食が出ない可能性も大いにあるということは、巡礼者にとって心に留めておくべき重要な事実だ。朝食がなければアトスの巡礼者は1日1食となり、場合によってはかなり空腹を我慢することになるだろう。

それがここギリシャ正教最大の聖地での修行だと言われればそれまでだが、ぼくのように積極的に歩いて巡礼しようと志す者にとってはやはり最低限のえネルギーは必要だ。ぼくはウラノポリでカロリーの高そうなクッキーとチョコレートを買ってきて本当によかったと感じた。1日1食でも歩いている途中でエネルギーを適切に補給できたからだ。これからアトスを巡礼する人も絶対に何かカロリーの高そうな食べ物をウラノポリで買っていくことをお勧めする。

 

・アトスのミニバスの使い方は?

アトスではぼくのように歩く巡礼者は極めて少なく、基本的にはみんなミニバスで移動している。しかし外国人のぼくにとってはアトスのミニバスの使い方がいまいちよくわからなかった。

ミニバスは常に首都カリエスを起点としている。カリエスから各修道院を結んで巡礼者を運んでいくのが、アトスのミニバスの役割だ。修道院に泊まった次の朝は、修道院にミニバスが迎えに来る時間が決まっているのでそれに乗って移動するのが定番のようだ。しかし一応修道院に時間を確認して、もしも予約が必要なら予約をしておいた方がいいだろう。

首都カリエスから修道院へ行くためのミニバスは、人が集まったら出発する仕組みになっているらしい。バス停の近くにバス会社の建物があるので、そこでどこに行きたいと希望を出すしかないだろう。ぼくはアトスでは常に歩きたい人だったのでカリエスから修道院へのミニバスを利用したことがなく、経験からは何も言うことができない。

 

・アトスにはフェリーでしか来られないのか?

アトスって半島で陸続きなのに、なぜフェリーでしか来られないのだろうとずっと疑問に思っていた。Tさんに聞いてみると、実はアトスへと入る道もあるのだが基本的には閉ざされており、台風などどうしてもフェリーを使うことができない場合に限り開けることもあるということだった。やはりギリシャの中で例外的に「アトス自治修道士共和国」として治外法権を持っているので、たとえ半島であってもそう簡単には行き来できないということなのだろう。

 

・アトスの修道士に自由はあるのか?

Tさんは日本人なのに、アトスで修行することを決めたらもう日本には帰れないのだろうか。聞いてみたところ修道院の許可を得られればアトスの外に出ることもできるし、費用も全部出してくれるのだという。どれくらいの頻度で外出が許可されるのかはわからないが、アトスで修行をすると決めたからと言って完全にアトスに閉じ込められてしまうというわけでもなさそうだった。ウラノポリからのフェリーにもたくさんの修道士がいたので、意外と気軽に出られるものなのかもしれない。

 

・アトスにもコロナの影響はあったのか?

アトス最古の修道院Megisti Lavraは今コロナにより閉鎖しているという。Iviron修道院のゲストハウスで同室になったハンガリー人はそうとは知らずにMegisti Lavraを訪れたが閉まっていたので別の修道院に移動しなければならず大変だったそうだ。

TさんによるとMegisti Lavraはアトス外に土地をいっぱい持っていて収入が沢山あるので、少しくらい閉鎖しても問題ないのだろうということだった。またMegisti Lavraは反ワクチン、反マスクの勢力が強いという噂もあるという。Megisti Lavraに限らず他のアトスの修道院でも反ワクチン、反マスクの態度を示す修道士がいて分断が生じたとも言われている。辺境の聖地であろうが垢にまみれた俗世であろうが、人間が寄り集まって集団を形成した際に生じる出来事は結局同じものなのかもしれない。

アトスに入る前には全ての巡礼者が迅速検査をさせられたが、アトスにもコロナの影響はあったのだろうか。コロナ禍においては、閉ざされた辺境の地アトスにもコロナウイルスは入ってきたようだ。いくら全員に迅速検査をしていても完全な精度の検査というものはこの世に存在しないし、かかってから症状が出るまでに時間がかかるからという理由もあるだろう。Zografouではコロナによって亡くなった修道士のお墓も見学した。アトスでもコロナで亡くなった人はいくらかいたようだ。

 

・アトスでも新型コロナワクチンを打つことができるのか?

フリーランスのコロナワクチンバイト医師として気になるのは、辺境の聖地アトスでもコロナワクチンは打てるのかということだった。Tさんによると首都カリエスには病院のような施設があり、ありがたいことにきちんとそこでワクチンを打てたということだった。もしかしてアトスにも、自由に働くコロナワクチンバイト医がいるのだろうか。

 

 

・なぜ食事を写真に撮ってはいけないのか?食事も祈りの一環なのか?

アトスでは修道院内は基本的に写真撮影OKだが、教会内は撮影NGだというのが共通した規則のようだった。しかしぼくがPantokuratorosの食堂で食べ物を撮影していると、食堂では写真を撮ってはいけないと注意された。ぼくは食堂は教会内じゃないので当然写真撮影できるものだと思っていたが、どうやらアトスの感覚ではそうではないらしい。もしかして食堂も教会の一部なのだろうか。

Tさんにその疑問をぶつけてみると、やはり食堂というのは教会の一部として認識されているということだった。というのも食堂というものは、どこの修道院においても教会の前に設置されていた。そしてギリシャ正教の教会内部は2つの部屋に分かれている。祈りを捧げる中心となる本堂と、その後ろにある副次的な空間だ。教会の扉を通るとまずはサブの部屋に入ることになり、その奥にメインの部屋があるというような感じだ。並びとしてはメインの部屋、サブの部屋、そしてその隣に食堂が設置されている。

Tさんのお話で興味深かったのは、サブの部屋は俗世を、メインの部屋は俗世と天国の中間的な空間を表現しており、サブの部屋を通ってメインの部屋へ入り祈りを捧げることによって天国へ行くことができ、その天国の具現化として食堂が設置されているということだった。つまり食堂は天国を表現していたのだ。そういえば食堂はただご飯を食べるだけの部屋のはずなのに、ものすごく凝った立派な宗教画が描かれていたことは印象的だ。

巡礼者たちは皆、サブの部屋(=俗世)から教会内へ入り、その奥のメインの部屋(=俗世と天国の中間的空間)で祈りを捧げ、その後に食堂(=天国)へ進んでいきご飯を食べられるという一連の流れは、仏教的に言えば俗世からスタートし、苦行を積み、やっと極楽へ辿り着くことができたという悟りの境地を表現しているというような感じだろうか。そのような天国へ行き着くという一連の流れが、日々の祈りの方式によって日常的に体験できる仕組みになっているというのは非常に面白い。

そして美味しいご飯を食べられるという食堂が天国として表現されているという点も、なんだか素朴で、単純で、肉体的で可愛らしいと感じた。人間にとっての天国というものは、ある特定の宗教的な教義によってもたらされるというような偏狭で小難しいものではなく、もっと普遍的でぼくたち人間の野性に根ざしたものではないかと、ギリシャ正教が語りかけているような気がした。

 

 

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