アトス最後の日は信じられないくらい幸運続きだった!!!!!
アトスとの別れ!ダフニ発ウラノポリ着のスピードボートに無料で乗れるという奇跡が起こった
・女人禁制のギリシャ正教の聖地アトスへの憧れ
・Iviron修道院の日本人修道士Tさんとの別れ
・ダフニからウラノポリまでの移動は、フェリーかスピードボートか?
・衝撃!ダフニ発ウラノポリ着のスピードボートに無料で乗れた体験記
・ギリシャ人青年の車でウラノポリからテッサロニキまでドライブした
・アトスの修道院からウラノポリまで帰る方法まとめ
目次
・女人禁制のギリシャ正教の聖地アトスへの憧れ
2017年に偶然「孤高の祈り ギリシャ正教の聖山アトス」という写真集を見かけて衝撃を受けた。ギリシャ正教の辺境の聖地アトスでは何と1406年から今に至るまで女人禁制が貫かれており、一般的な世界とは隔絶された宗教世界の中で黒ずくめの衣装を纏った僧侶たちが自給自足の生活を営みながら祈りに専念しているのだそうだ。神秘的で美しく荘厳なアトスの写真の数々を目にしたぼくは、せっかく男性の肉体を持ちながらこの世に生まれ着いたことだし、世界一周の旅の中で絶対にギリシャのこのアトスへと立ち寄ろうと直感的に心に決めた。
・Iviron修道院の日本人修道士Tさんとの別れ
ついにアトス最後の日がやってきた!Iviron修道院で偶然出会ってからというもの、アトスの日本人修道士のTさんにはとてもお世話になったが、最後の最後まですっかりお世話になってしまった。今日Iviron修道院から帰るギリシャ人巡礼者たちに、ぼくがきちんとウラノポリまで帰れるよう見守りをお願いしてくれたのだった。アトスではギリシャ語がわからないと不便なことやわからないことが多かったので、ギリシャ人が一緒に帰ってくれるというのは非常に心強くてありがたかった。
今日Iviron修道院を去るギリシャ人巡礼者は数名いたが、その中でも比較的若くて英語も話せ、ひとりで巡礼に来ていたニコラスがぼくのお世話を引き受けてくれた。というかぼくたちはアトス巡礼の最後に、2人でウラノポリまでの旅路を共にすることになったのだった。
日本人修道士のTさんに感謝の言葉と別れを告げて、ついにIviron修道院を出発する。今度このアトスの地に来られるのは一体何年後だろうか。もしかしたら何十年後になるかもしれない。人生とは何が起こるかわからないからだ。次にIviron修道院を訪れる際には、お土産としてどら焼きとお餅を持って来るとTさんに約束した。家族がいてもなかなか日本に帰ることができないTさんにとっては、日本の食べ物で最も懐かしく食べたくなるものがお餅なのだという。いつでも気軽にお餅を食べられる自分の境遇を幸福だと感じた。
・ダフニからウラノポリまでの移動は、フェリーかスピードボートか?
Iviron修道院には、毎朝9時に首都カリエス行きのミニバスが来ることになっているという。ぼくが往路で来たのと同じように復路を辿って帰るのだとしたら、まずはミニバスで首都カリエスへと赴き、そこでミニバスを乗り換えて港町ダフニへ行き、そこから1日1本しか出ていないフェリーに乗り込んでウラノポリへと向かうことになるだろう。
しかしフェリーはダフニでの待ち時間が長いのと、途中で様々な港へ立ち寄るのでウラノポリまでの時間がかかるというのが難点だった。ウラノポリからテッサロニキ行きのバスも1日4本と限られているので、なるべく早い時間にウラノポリへと辿り着きたいのだが何かいい方法はないだろうか。
一緒に旅していたギリシャ人青年のニコラスも同じようにフェリーだと帰りが遅くなってしまうことに不満を感じていたようで、ぼくたちは別の方法を模索し始めた。そこで出てきたのが“スピードボート“の存在だ。スピードボートとはダフニとウラノポリを行き来する水上タクシーのような存在で、フェリーよりも確実に速く移動できるがもちろんフェリーよりも高額となってくる。片道の料金は200ユーロだ。
しかしスピードボートでダフニからウラノポリへ行く値段自体は200ユーロで固定なので、重要なのは1人当たりの値段を低く抑えるために、一緒にスピードボートに乗ってくれる人をなるべく多く集めることだ。例えばスピードボートにぼくたち2人だけで乗ると1人あたり100ユーロかかってしまうが、もしも一緒に乗る人があと2人見つかったならば乗客は合計4人なので1人あたり50ユーロで済むことになる。スピードボートには最大で8人乗れるということだったので、ぼくとニコラスの他にあと6人の乗客を探し出すことができればかなりお得に早く帰れることになるだろう。
・衝撃!ダフニ発ウラノポリ着のスピードボートに無料で乗れた体験記
こういう時にはギリシャ語を話せるニコラスがいて心強かった。彼は首都カリエスや港町ダフニで道ゆく人々に一緒にスピードボートに乗らないかと交渉してくれたが、なかなか賛同してくれる人は少なかった。結局スピードボートに乗る人を6人も見つけ出すことは不可能だから、安いフェリーで帰るしかないと14.3ユーロのフェリーのチケットを買うことになった。
しかしフェリーのチケットを買った後でもぼくたちはまだ諦めず、ダフニにやって来るスピードボートに手当たり次第に聞きまくっては、自分たち2人もウラノポリまで乗ることはできないかと交渉した。もちろん交渉してくれたのはニコラスだ。自分1人だけで旅をしていたのなら、普通に大人しくフェリーに乗ってウラノポリへ帰っていたことだろう。ギリシャ語を流暢に操るニコラスがいたからこそ、最後の最後まで粘り強くスピードボートへの挑戦を諦めなかったと言える。
そしてついにニコラスがぼくたちも乗れるスピードボートを見つけてくれた!ギリシャ語だったので事情はよくわからなかったが、とにかくニコラスがぼくたち2人分のフェリーのチケットを払い戻しにチケットカウンターまで走ってくれて、その後で一緒にスピードボートに乗り込むことができた。スピードボートは本当に速くて一瞬でウラノポリへ着いた!こんなにアトスとウラノポリは近かったのか!フェリーって何て遅かったのだろう!”スピードボート”というその名前に嘘偽りはないと感じた。
ぼくたちは6人でスピードボートを共有したので、1人あたり何ユーロ支払うのだろう…200÷6で大体33ユーロくらいだなぁと頭の中で計算していたが、何と最終的にぼくとニコラスはスピードボートの料金を支払わなくてもいいということになった。無料でスピードボートに乗れるなんて、こんな奇跡のような出来事があるだろうか!!
一体なぜぼくたちがスピードボート代を払わなくてよかったのかギリシャ語の会話だったのでその時は全くわからなかったが、後からニコラスに聞いてみると、最初の4人でもうスピードボート代の支払いは完了していて、その後からぼくたち2人が乗り込むことが急に決まったので、最初の4人が優しさでぼくたちを無料で乗るのを許してくれたという事情だったようだった。なんて優しいギリシャ人!なんて優しいアトスの巡礼者!ぼくはアトス巡礼の最後の最後にまた、キリスト教の“与える心”に触れた思いだった。
・ギリシャ人青年の車でウラノポリからテッサロニキまでドライブした
しかしギリシャ人の優しさはこれだけでは終わらなかった!
ニコラスはギリシャの首都アテネ在住で、なんと2泊3日で車を使ってアテネからアトスの旅を敢行しているという。アテネからウラノポリって、めちゃくちゃ時間かかりそう!彼の車はウラノポリの駐車場に停まっており、ぼくがこれからバスに乗ってテッサロニキへ向かうことを告げると、途中だから乗せてあげるよと言ってくれた!えーありがたい!!!今日はスピードボートも無料だったし、公共のバスにも乗らなくていいしなんて幸運な日なんだろう!
というわけで思いがけずギリシャ人青年ニコラスの車でウラノポリからテッサロニキまでのドライブが始まった!ギリシャのドライブなんてもちろん初めて!ホテルまで乗せてくれるというから何も心配することがなく全てが快適だ。ウラノポリからテッサロニキまで公共バスに乗ったなら、またバス停から街中まで移動し、そこからホテルまで歩いて…という様々な試練をクリアしなければならないが、友達に車に乗せてもらったなら何の憂いもなく直接ホテルへ辿り着くことができる。
アトスを真面目に巡礼していたから、ご褒美としてアトス最後の日にこのような幸運な出来事が訪れたのだろうか。
・アトスの修道院からウラノポリまで帰る方法まとめ
アトス最後の日の交通事情をまとめると
Iviron修道院→首都カリエス:ミニバスで5ユーロ
首都カリエス→港町ダフニ:ミニバスで5ユーロ
ダフニ→ウラノポリ:思いがけず無料(本来ならフェリー片道14.3ユーロ、スピードボート片道200ユーロ)
となった。修道院から港町ダフニまで直接行くミニバスはなく、必ず首都カリエスで乗り換えしなければならなかった。
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