医療行為を行う医師アルバイトでも「業務委託」にできると「大阪労働局」が認めた!!!!!
大阪労働局のお墨付き!医療行為を行う医師アルバイトでも業務委託契約からの青色申告は可能だった
・労働には「雇用契約」と「業務委託契約」の2つの形がある
・大阪市は直前シフトカットをしても休業手当を1円も支払ってくれなかった
・休業手当は「労働基準法第26条」によって定められている
・ぼくのコロナワクチンバイトは「雇用契約」か「業務委託契約」か
・医療行為を行う限り医師アルバイトは「雇用契約」になるというこれまでの常識
・コロナワクチンバイトは「業務委託契約」だと判断されれば医療界にとって画期的
・衝撃の結末!「大阪労働局」はコロナワクチンバイトを「業務委託契約」的だと判断した
・人生で初めての経費を使った青色申告の節税に挑戦した
目次
・労働には「雇用契約」と「業務委託契約」の2つの形がある
労働の契約には、主に「雇用契約」と「業務委託契約」の2つが存在するという。一般的なサラリーマンや病院で働く医師などは「雇用契約」に該当し、雇われて指示や命令を受けながら労働することにより「給与」という「給与所得」を受け取り生活を営んでいく。「雇用契約」のメリットとしては「労働基準法」が適応されるなど比較的立場が守られる場合が多い一方で、「給与所得」では経費を使った節税などがほとんど不可能となり、国家や地方行政の思うがままに税金を自動的に奪われ放題となってしまうデメリットがある。
「業務委託契約」では雇われるというよりはむしろ、対等の立場として自分の能力を提供するという形になり、その対価として「報酬」を受け取れる。「報酬」は「給与」とは異なり「事業所得」または「雑所得」となるので確定申告の際には経費を使った節税が可能となるメリットが「業務委託契約」にはある。一方で「業務委託契約」には「労働基準法」が適応されないというデメリットもあり、労働者が理不尽でおかしな仕打ちを受けても法律が守ってくれないような仕組みになっている。
雇用契約 | 業務委託契約 | |
もらえる賃金の名前 | 給与 | 報酬 |
所得の種類 | 給与所得 | 事業所得もしくは雑所得 |
開業の可否 | 開業できない | 開業できる |
青色申告の可否 | 青色申告できない | 開業の上で青色申告可能 |
節税の可否 | 節税ほぼ不可能 | 経費を使った節税可能 |
今回は医師のぼくが大阪市から従事直前にいきなりコロナワクチンバイトを7日間もシフトカットされたにも関わらず、業務内容が「業務委託契約」的だからという理由で全く休業手当を支払ってもらえなかった事例を紹介する。そしてこの大阪市のぼくに対する理不尽でおかしな仕打ちが、最終的には医師が医療行為を行うアルバイトをしていても「業務委託契約」が可能になるという、これまでの常識とはかけ離れた画期的な判断を大阪労働局が下したきっかけとなり、その上で医師のぼくが人生で初めて経費を使った節税を試みた「青色申告」を提出するという結果にまで至った経緯を詳細に解説しようと思う。
・大阪市は直前シフトカットをしても休業手当を1円も支払ってくれなかった
事の発端は、ぼくが大阪市の設置するコロナワクチン会場で医師として労働していた際に起きた。国からのファイザー社製のワクチンの供給が減少したことと、それに伴い接種予約者の人数枠を大阪市が大幅に減らしたことを理由として、2021年7月のコロナワクチンバイトのシフトを一方的にキャンセルされてしまったのだった。
ぼくは当初7月は15日間勤務の予定だったが、結果としては7日間削られて8日間勤務になってしまった。7月の勤務日は予定として7月1日、2日、5日、6日、7日、9日、14日、15日、16日、19日、20日、21日、27日、29日、30日で確定していたが7日、14日、15日、16日 、27日、29日、30日の7日間をシフトカットされた。14日、15日、16日に関しては会場自体が閉鎖してしまうようだが、その他の日程に関しては会場が開いているにも関わらず接種人数が少ないという理由でシフトカットとなった。
大阪市の職員からシフトカットを突然言い渡されたのは、2021年7月6日の従事直後だった。 つまり「明日はもう来なくていい」とコロナワクチン会場で何の前触れもなく唐突に告げられたということだ。当然休業手当が出るだろうと思い2021年7月8日にメールで大阪市に問い合わせてみたが、2021年7月14日に届いた大阪市からの回答メールには、休業手当は一切されないことが明記されていた。
・休業手当は「労働基準法第26条」によって定められている
この大阪市の対応に巨大な違和感を覚えたぼくは、休業手当について詳しく調べてみた。法律の素人ながら可能な限りインターネット上で検索したところによると「労働基準法第26条」という法律では以下のように休業手当について定められているという。
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
つまり勤務が確定していたにもかかわらず直前になって雇用主が勝手にシフトカットしてきた場合には、本来支払うべきだった給料の6割を労働者に支払わなければならないと法律で決まっているということだ。
なるほどこれは必要性のある法律で、もしもこのような法律が定められていなかったとしたら、雇用者はいつでも自分の都合のいいように無料で労働者を休ませることのできる状態となり、社会は大混乱するだろう。勤務が確定している労働者はきちんと勤務の日のために他の予定も入れずにきちんと準備をして備えているわけだから、それを好き勝手に無料で気軽にシフトカットされたのでは労働者はたまったものではないし、その日もらえるはずだった給料ももらえずに生活に困るに違いない。「労働基準法第26条」は(今回の場合は大阪市のような)横暴な雇用者がむやみやたらと自分勝手に労働者をシフトカットしないように、本来の給料の6割を絶対に支払えと命令することで、しっかりと労働者を守ってくれていると言えるだろう。
医師のコロナワクチンバイトは日給およそ10万円だから、7日間で約70万円、その6割として最低でも42万円を大阪市から受け取る権利をぼくは法律的に持っているということになる。しかし大阪市は休業手当を1円も支払うつもりはないと太々しい態度を取っている。民衆から取り上げた税金によって稼働しているにも関わらず法律をしっかりと守るつもりのない行政を、大阪市へと人生の貴重な時間そして専門的知識や技術や労力を捧げようとしている労働者に敬意を払わないどころかその純粋な心を踏みにじるような態度をとる悪しき組織に対して、ぼくはどのような対応を取るのが適切なのか考察した。その結果「労働基準監督署」に相談しようという結論に至った。
・ぼくのコロナワクチンバイトは「雇用契約」か「業務委託契約」か
「労働基準監督署」に実際に赴いて全ての詳細を話したところ、それは休業手当をもらえる可能性が非常に高い事例だということで大阪市に対して指導してもらえることになった。しかしどうやら「労働基準監督署」も大阪市による組織のようで、身内が身内に休業手当の指導をするという形となり、なかなか進展させるのが難しいようだった。「労働基準監督署」が大阪市から詳細を聞いた際にも、大阪市は一切休業手当を払うつもりはないと主張した。その理由は、ぼくのコロナワクチンバイトの内容が「業務委託契約」的だからだという。
なるほど確かに既述したように「業務委託契約」では「労働基準法」を遵守する必要がないので、大阪市はもちろん「労働基準法第26条」に従って休業手当を支払う必要もないということになる。しかし本当にぼくのコロナワクチンバイトは「業務委託契約」的なのだろうか。
確かにぼくが大阪市からもらっている賃金の明細には常に「報酬」という名前が書かれていた。「給与」ではなく「報酬」なのだ。これはぼくのもらっているお金が「業務委託契約」的であることを示唆している。一方でぼくは大阪市のコロナワクチンバイトをすることにより一時的に大阪市の「嘱託職員」になることが契約書に明記されている。「嘱託職員」とは何だろうと調べてみたところ、こちらは「雇用契約」を結ぶことだと書かれている。一体ぼくは「雇用契約」か「業務委託契約」のどちらなのだろう。
大阪市がいくら「業務委託契約」だと主張しても、実際のぼくの労働内容が「業務委託契約」的でなければその主張は無効となる。重要なことは雇用者がどう主張するか、契約書にどちらが書かれているかではなく、実際の労働内容がどちらに属するのかしっかりと吟味する必要があるということだ。労働内容が「雇用契約」か「業務委託契約」かを判断する基準にはいくつもの項目があり、ぼくたちはそれらのひとつひとつについて考察し、最終的には総合的に見極めなければならない。
「雇用契約」か「業務委託契約」かの判断基準には、仕事を拒否する自由があるか、指揮命令があるか、勤務時間や勤務場所に拘束性があるか、報酬が結果基準か時間基準か、残業手当がつくか、器具の負担があるか、退職金があるか、源泉徴収があるかなど実にさまざまな項目がある。それらを考慮してまずは「労働基準監督署」がぼくの労働内容が「雇用契約」的か「業務委託契約」的かを調査し、そこから「労働基準監督署」の上位機関である「大阪労働局」にも確認してもらい、最終的にはなんと「厚生労働省」によって判断が下されるのだという。ぼくは「厚生労働省」の裁きを待つことになった。
・医療行為を行う限り医師アルバイトは「雇用契約」になるというこれまでの常識
一応自分でも大阪市のコロナワクチンバイトの労働内容が「雇用契約」的か「業務委託契約」的かを判断基準に照らし合わせて考察してみたが、どう考えても「雇用契約」っぽいと思うけれどどうなんだろう。ぼくの考察は以下の記事にまとめた。
そもそも医師が医療行為を行う限りは、アルバイトであっても「業務委託契約」にはできず「雇用契約」になってしまうというのはどうやら常識のようだ。医師は高給取りが多いので、アルバイトをして収入を増やしてももはや税金が増えていくだけなので意味がなく、それ故にアルバイトが「業務委託契約」であってほしいというのは医師の悲願となっている。なぜなら「業務委託契約」としてアルバイトしたならば経費を使うことができ、確定申告時に「青色申告」することで大きく節税することが可能となるからだ。
しかし医師からなるべくたくさんの税金を奪い取らなければならないという国家の意図なのか、過去には「業務委託契約」としてアルバイトしていた麻酔科医が「青色申告」をしたものの税務署に指摘され、裁判まで起こしたものの結局は労働内容が「雇用契約」的だという判決が下されて追納させられたという有名な事例も存在する。結局医師がどんなに「業務委託契約」だと主張しても、医療行為を行う限りアルバイトは全て「雇用契約」になってしまうという常識は、どうやらこのような過去の裁判の事例から派生したものらしい。麻酔科医の裁判の事例に関しても以下の記事にまとめた。
ぼくのコロナワクチンバイトは問診をしたりもするが救護対応も任されている。救護対応なんて明らかな医療行為なのだから、医療行為を行うアルバイトとして常識的に考えれば「雇用契約」となって当然である。しかし大阪市は休業手当を支払いたくがないためにぼくの労働内容を「業務委託契約」だと主張してやまない。一体どこをどうすればこの労働内容が「業務委託契約」だと思えるのだろうとかなり不思議だが、それも全て「厚生労働省」が判断してくれるのだろう。
・コロナワクチンバイトは「業務委託契約」だと判断されれば医療界にとって画期的
今回の事例でぼくの労働内容が「雇用契約」だと見なされれば、大阪市は「労働基準法第26条」に従ってぼくに本来支払うはずだった賃金の6割(約42万円ほど)を最低支払わなければならないことになるだろう。それはぼくにとって嬉しい出来事には違いないが、もしも万が一ぼくの労働内容が「業務委託契約」的だと判断されたならば、それはぼく個人を超えた、医療業界において画期的な裁きとなり得る。なぜならば医師が医療行為を行うアルバイトであっても「業務委託契約」にできるということを国家権力が認めることに他ならないからだ。
今までは過去の麻酔科医の裁判の事例などを参考として、アルバイトをしても節税のできない税金が取られ放題の「雇用契約」として医師たちは我慢していたが、今回ぼくのコロナワクチンバイトが「業務委託契約」的だと「厚生労働省」から認められることになると、医療行為を行なっていたとしても医師バイトを「業務委託契約」にできるのだという国家を後ろ盾とした証拠事例がおそらく日本で初めて出現するのだ。この意味は医師たちにとって非常に大きなものになるだろう。
もしもぼくの労働内容が「業務委託契約」的だと「厚生労働省」に認められたならば、大阪市から休業手当をもらえないという観点から言えばぼくの敗北となるが、しかしそれ以上に大きな意味と利益を医療業界にもたらすのではないだろうか。ぼくの労働内容が「業務委託契約」的だと認められたならば、医療行為を行う医師バイトであっても「業務委託契約」にできるということを過去の事例として国家が約束したことになり、ぼくたち医師は「業務委託契約」的アルバイトに従事することを許され、開業して「青色申告」することで自信を持って大いに節税に取り組むことができるのだ。(なおぼくの場合はブログで既に開業しているので、既存のブログからの事業所得に加えて大阪市コロナワクチンバイトからの事業所得を単に追加するだけという形になるだろう。)
ぼくはもはや大阪市から休業手当をもらえるかどうかなど些細な問題だと思うようになった。重要なのはぼくの労働内容が「雇用契約」的なのか「業務委託契約」的なのかということだ。どちらに転んだとしても、医師のぼくには大きな利益が待っている。前者なら休業手当という利益が、後者なら「青色申告」による節税という利益だ。
・衝撃の結末!「大阪労働局」はコロナワクチンバイトを「業務委託契約」的だと判断した
そして信じられないことに下されたのは、ぼくの労働内容が「業務委託契約」的だという判断だった。つまりぼくは大阪市から休業手当をもらうことができなかったが、自信を持って「青色申告」に取り組み、経費を使った節税を実現しただけではなく「複式帳簿」を書いてe-taxで提出したことにより65万円の控除を受けることにも成功した。
誤算だったのはぼくの話が「厚生労働省」まで行かず、結局は「大阪労働局」で止まってしまったということだ。「労働基準監督署」の職員によると、法律的に関することならば「厚生労働省」まで行くはずだったが、結局は「雇用契約」か「業務委託契約」かという問題だったので「大阪労働局」までしか行かなかったということだった。
しかし「大阪労働局」でも大阪中の「労働基準監督署」をまとめる巨大な権力組織なので、「大阪労働局」が医療行為を含む医師アルバイトを「業務委託契約」だと明確に認めた功績は大きいだろう。なお大阪労働局が認めたのは、あくまで大阪市の運営する医師コロナワクチンバイトの業務内容が「業務委託契約」的だということであり、他のコロナワクチンバイト業務内容でそれが認められたわけでは決してないので注意が必要だ。
さてこれで胸を張って青色申告できると思ったがそれでもなお慎重な性格のぼくは、医療行為を行う医師アルバイトなのに本当に「業務委託契約」として確定申告してもいいのかかなり不安だった。そこで2021年12月27日11時3分に管轄の税務署へ直接電話で問い合わせてみたところ、大阪市が「業務委託契約」だと主張するなら税務署としては青色申告で提出しても何の問題もないという回答を得たので、思い切って人生初の青色申告に挑戦してみることにした。大阪市が休業手当を支払わないというぼく自身が経験した一連のストーリーと、税務署からの許可もきちんと得たという背景も相まって、大阪労働局と税務署という2大権力からのお墨付きを得られたので、流石に正確な確定申告をしていると主張することができるだろう。
(これでもし大阪市のコロナワクチンバイトは「業務委託契約」的ではなく「雇用契約」だと後から税務署に指摘されるようなことがあったならば、それはもう税務署と「大阪労働局」で議論して結論を出してくれとしかぼくは言えない。税務署は国民からお金を奪い取りたくて都合よく「雇用契約」だと主張し、大阪労働局は国民に休業手当を支払いたくないからと言って都合よく「業務委託契約」を主張するという、国民からより多くのお金を搾取したいという思いが見え透いた2つの巨大権力によって生み出された壮大な矛盾に、忙しい国民は構っている暇などありはしない。)
・人生で初めての経費を使った青色申告の節税に挑戦した
ぼくの大阪市でのコロナワクチンバイトが「業務委託契約」的だと「大阪労働局」から認められたことにより、ぼくの大阪市からの「報酬」は全て「事業所得」もしくは「雑所得」として経費を利用した節税が可能な対象となった。「事業所得」と「雑所得」の違い、判別方法は以下の記事にまとめた。
どうせ「青色申告」するならe-taxで提出して65万円控除に挑戦しようと独学で「複式帳簿」を書くことにした。全く何の知識もないままで「複式帳簿」を書くのは難しそうだったので、AmazonのKindleで「80分でマスター![ガチ速]簿記入門」を購入し一読した。
さらに確定申告ソフトとしては1年間無料で年会費も安い「やよいの青色申告」を利用した。「やよいの青色申告」を使って収入や支出を記入すれば自動的に「複式帳簿」や確定申告資料が作成される仕組みになっていたので素人でも分かりやすく非常に便利だった。「青色申告」の詳細は以下の記事にまとめた。
「青色申告」するなんて初めてだったし税理士にも頼まないでちゃんとできるのかどうか不安だったけれど、挑戦してみたらそんなに大変な作業でもなかったので安心した。努力した甲斐あって、還付金は200万円以上戻ってくるらしい。本当にそんなにいっぱい戻ってくるのかな?!どんなに努力して調べても法律的にはどこまでも素人なので何か間違ったことを言っていたら教えてくださいませ!ぼくがフリーランス医師として労働していて、自分自身と自分のお金を守るために絶対に知っておくべきだと感じた法律知識は以下の記事にまとめました。
・フリーランス医師に関するその他の記事はこちら!
無職から一気に月収100万円突破!フリーランス医師が派遣会社を駆使して旅するような労働スタイルを実現した【フリーランス医師の給与明細その2】
月収200万円突破!2021年8月は東京千葉群馬にも本格進出し、旅して働くフリーランス医師のスタイルを確立した【フリーランス医師の給与明細その3】
コロナワクチンバイトで月収300万円突破!お金を稼ぐことを諦める勇気を持つ時、お金を稼ぐ運命が与えられた【フリーランス医師の給与明細その4】
月収400万円達成!フリーランス医師が本気を出せばスポットバイトだけでいくら稼げるのか【フリーランス医師の給与明細その5】