コロナで海外旅行できない旅人へ!中島みゆきの「夜会」映像作品を鑑賞して魂の旅立ちを果たそう

 

コロナで海外旅行できない旅人へ!中島みゆきの「夜会」映像作品を鑑賞して魂の旅立ちを果たそう

・世界でも唯一無二の中島みゆきのライフワーク「夜会」
・ベトナムへの旅「2/2」
・タイへの旅「問う女」
・中国への旅「シャングリラ」
・ハワイへの旅「海嘯」
・シンガポールへの旅「24時着0時発」

・世界でも唯一無二の中島みゆきのライフワーク「夜会」

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中島みゆきのライフワーク「夜会」は、作詞・作曲・脚本・演出・歌の役割を全て中島みゆきが担うという、世界でも例を見ない唯一無二の音楽劇である。中島みゆき自身はこの夜会を、最初は「言葉の実験劇場」と呼んでいたが、後には「変なコンサート」だと語っている。

中島みゆきの夜会は複雑構造で伝えたいことも多種多様あり、一度見ただけでは飽き足らず、また何度でも見返して感動してしまうのもまた夜会映像作品の魅力のひとつだ。しかし大まかにいえば全ての夜会はさまよえる魂たちの”浄化”の物語へと導かれてゆく。

そんな夜会は大学が国文科出身の彼女らしく、日本の神話や日本の古典、日本の仏教など日本の深い部分をテーマに扱うことが多いが、時々視点は異国へと向かい、異国をさまよい旅するものや物語全体を通して異国が舞台の夜会も存在する。新型コロナウイルスでstay homeが叫ばれている現在、家で中島みゆきの夜会映像作品を鑑賞し、魂だけでも異国へと旅立たせてはどうだろうか。そこには実際に異国を旅するだけではなかなか味わえないかけがえのないカタルシスが付随する。

 

 

・ベトナムへの旅「2/2」

主人公の女性(中島みゆき)は幸せを掴みかけようとすると、自らそれをぶち壊してしまうという性質を持っていた。「幸せになんか、なっちゃいけないんですわたし」。わけもわからず無意識にただそう強く信じ込む彼女は、このままでは愛している人さえ傷つけかねないと察し、単身ベトナムへと旅立ってゆく。

ベトナムでの彼女は最初は上機嫌!結婚資金のために貯めておいた貯金もこの際全部使ってしまおうと贅沢三昧で、まさに典型的「日本人観光客」としてベトナムを満喫している。しかしふとしたきっかけで日本に戻れなくなり、ベトナムに閉じ込められてしまうことに!それがきっかけで日本での仕事もなくし、ぼんやりしているから荷物も盗まれ、資金も底を突き、どうにもこうにもならなくなった彼女はベトナムで絶望に陥った。

しかし徐々に立ち直り、全て失くしてしまったのならばいっそこのベトナムの大地で強く生きていこうと、徐々にベトナムに順化していく。高級なスーツを捨て、ベトナムの民族衣装アオザイを身にまとい、ベトナムの傘帽子をかぶった彼女は、どこからどう見てもベトナム人だ。

まさに”観光客”から”旅人”への転身!ベトナムの大地とベトナムの人々と共に強く生きていた彼女は、彼女を追いかけてベトナムまでやって来た恋人から衝撃の事実を告げられる。それは彼女がなぜ「自分は幸せになってはいけない」と無意識に強く思い込んでいるのかの答えだった。

彼女は本来、双子だった。しかし生まれてくるときに自分が出てくるのが遅かったせいで、もう片方が死んでしまったのだという。遠い昔のある夏の日、その噂を聞きつけた叔母さんが幼い彼女が聞いていないと思ってこうつぶやいた。「あの子のせいでもう片方が死んだんだから、早い話あの子は人殺しだ

それを聞いてしまった幼い彼女は「自分は人殺しなのだ」という罪悪感を植え付けられ、その記憶が消失してしまった後でさえその罪悪感だけはしっかりと彼女の心にこびり付いては消えず、彼女を苦しめていた。「自分は幸せになってはいけない」と思い込む呪いは、遠い昔の叔母さんの何気ない一言が原因だったのだ!

たった一言でも誰かの魂をひどく傷つけてしまう。どんなに時が経ち記憶が消え去っても、その一言が植え付けた罪悪感は決して消えずその人の人生を蝕んでしまう。「自分は幸せになってはいけない」と思い込ませてしまう。言葉のささやかなおそろしさを存分に表現した夜会「2/2(にぶんのに)」は、まさに「言葉の実験劇場」と言われる夜会の代表作にふさわしい。

結局彼女の呪いは生まれてこなかったもう片方の姉が登場し、自分は事故で死んだのだ、叔母さんの言うことはでまかせでただの嘘だったのだと告げられることで浄化を迎える。

”植え付けられたおそれに 縛り付けられないで
ただまっすぐに 光の方へ行きなさい
間違ったおそれに 縛り付けられないで
ただまっすぐに 光の方へ行きなさい”

主人公の女性を救う姉の歌は普遍的な救済の言葉を通して、夜会を見る者すべての心に宿る”植え付けられたおそれ”という穢れを美しく消し去ってくれる。

夜会「2/2」はこれまでの歴史の中で合計3回公演され、そのうち2回は映像作品になっている。Vol.7とVol.17は間に長年の時を経ているので、主要な曲は同じだが、演出も曲目もガラリと変わっており別物として鑑賞することもできると感じられるほどだ。若くて美しくのびやかな歌声を聞きたい人にはVol.7を、円熟した深みのある演出を鑑賞したい人にはVol.17をおすすめするが、どちらを選んでも後悔はないだろう。

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・タイへの旅「問う女」

タイが舞台ではないものの、日本在住のタイ人娼婦が重要な役割を担うこの「問う女」の作品。彼女は日本語もほとんど話せず、毎日通りに立ちながら自らの肉体を「26000円」で売ることで生計を立てている。

主人公のアナウンサーの女性(中島みゆき)は、毎日のように決められた言葉を湯水のように使って生計を立てている。しかし彼女の使う言葉には彼女の思いはなく、彼女の願いもない。上から決められた言葉を、上から決められた通り上手に話すことで上から満足されることが、彼女の社会的役割だ。言葉を扱う職業であるにもかかわらず、言葉というものの真髄に触れられないままで、彼女は言葉により多くの人を傷つけてしまう。

”誰だってナイフになれる 簡単にナイフになれる
誰だってナイフになれる 簡単にナイフになれる
人が幸せ見せる時 人は背中を見せる時
けれど時に理由もなく そんな自分に切りつける

誰だってナイフになれる 自分を嫌いになる時”

疲れ切った彼女は偶然歓楽街で、自分のことを「26000円」と呼ぶタイ人娼婦と出会い、次第に心を通わせていく。言葉も全く通じない彼女、しかしだからこそ、主人公の女性はそのタイ人女性から言葉とはどういうものかを感じ取り始める。

”あなたの言葉が 何にもわからない
あなたがこの世に いないかと間違える”

最後の場面では「26000円」は事故で重傷を負い、救急車で運ばれたものの「HIV+」であることを理由に数々の病院の受診を拒否され、そのまま救急車の中で亡くなった。彼女を助けようとして彼女の血に触れてしまった主人公の女性は、それが理由でアナウンサーの仕事を解雇されてしまう。自らのラジオ番組の最後の放送で、アナウンサーとしての仕事を終える際、彼女は初めて上からの命令ではなく、自らの言葉で自らの願いで自らの思いを世間に向かって話し始める。

「私が今まで使ってきたすべての言葉は、誰も彼もに対してNOと言うためのそれだけの道具に過ぎなかった」「問うということは、聞くことなんだと、聞くということは、語ることなんだと、言葉を知らない26000円が、わたしに教えてくれました。」

自らの言葉を取り戻した彼女の言葉は輝きに満ち、深い洞察と深い悲しみを抱えながら放送局を立ち去る際に歌われる「PAIN」の絶唱は、数ある夜会の絶唱の中でも間違いなくトップクラスに心に響く歌声!この「PAIN」を聞くだけでもこの「問う女」を鑑賞する値打ちは十分にある。

”どんなに傷つき汚れても 人はまだ傷つく
痛まない人など あるだろうか

歌え雨よ 笑え雨よ
救いのない人の愚かさを
歌え雨よ 笑え雨よ
限りのない人の悲しさを

呼びかける 呼びかける 呼びかけは街にあふれても
ふり向けば ふり向けば 吹きすさぶ風ばかり
荒野の中 誰の声も 聞かぬ一日
荒野の中 誰の声も 聞かぬ一生”

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・中国への旅「シャングリラ」

舞台は中国。バーで歌うことで生計を立てている貧民街出身の主人公の女性(中島みゆき)は、堅気の仕事を探して求人雑誌を眺めていると偶然、自分の母親を裏切った女からの求人を発見する。この裏切りの女は、主人公の女性の母親が結婚する予定だった丘の上の大豪邸に住む男性を奪い取ったのだった。主人公の女性の母親は貧しいままで忙しく働き、疲れ切って行商の荷物ごと車に轢かれて死んでしまった。主人公の女性はずっと丘の上に住む裏切りの女を憎んできたのだ。

自分の正体を隠したまま裏切りの女の家のメイドになった主人公。西洋風の豪邸で悠々自適で暮らす彼女に復讐するために計画を企てる。主人公の女性の母親と裏切りの女は、もともと同じ中国の貧民街に住んでいる親友同士だった。彼女はすべての西洋風の食器を中国風に変え、自らも中華風の民族衣装を身にまとい、夜中突然裏切りの女の元を訪れることで、昔の貧しかった貧民街での暮らしを思い出させてやったのだ。その時に中国的で真っ赤な光に包まれて歌われる「友情」は印象的。

”悲しみばかり見えるから
この目を潰すナイフが欲しい
そしたら闇の中から
明日が見えるだろうか

限りしれない痛みの中で
友情だけが見えるだろうか”

驚きのあまり寝込んでしまった裏切りの女と、復讐ができてせいせいしたと感じる主人公の女性。しかし真実は、主人公の女性が思うものとは全く異なるものだった。事の全貌はこの夜会のために作られたオリジナルの歌「生きてゆくおまえ」で語られる。裏切りの女は、実は主人公の女性の本当の母親で、裏切りは自分の娘を思いやるあまりに、仕方なくとった決断だった。

”きっと愛を見つけてよ
本当の愛を見つけてよ
愛しいおまえ…”

裏切りの女は心臓発作でこの世を去る。長年忘れることのなかった娘に会えた喜びを噛みしめることもできず、本当の母親に会えてもそれを全く知らずに復讐心ばかりに燃えていた主人公の女性。人を憎むこと、復讐心を燃やすことでは、救いは訪れず虚しい結果を生み出すことにしかならないことを暗示している。

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・ハワイへの旅「海嘯」

舞台はハワイで、これもまた復讐のお話。両親を殺され経営していた宿を乗っ取られた主人公の女性(中島みゆき)が、殺した夫婦に復讐するために会社の社長にまでなり、富と名声を手に入れている。彼女の最終目的は温泉を掘るという名目で山の工事を行い、断層の影響で必然的に土砂崩れを起こして乗っ取られた宿もろとも海へと帰してしまうこと。

復讐劇を開始する直前のロサンゼルスへのフライトの中で喀血し、ハワイのヒロという田舎町の結核療養所に閉じ込められてしまう主人公の女性は、そこで巨大津波に襲われ夢が叶わないままで命を終えてしまう。

物語の最初には「夢の代わりに」が歌われ、夢を叶えたいという強い思いと、そのためには明日すら要らないという強い覚悟が高らかに歌い上げられる。

”夢はきっと叶う ひとつだけきっと叶う
そのために何もかも 失って構わない
それほどまでの夢なら叶う 一緒にひとつだけ

夢はきっと叶う 命も力も愛も
明日でさえも引き換えにして きっと叶う”

しかし一生にたったひとつだけ叶えたかったというその願いすら叶わないという絶望を抱え、津波が押し寄せる場面で歌われる「叶わぬ夢」は対照的に悲哀に満たされている。

”夢叶わず 人は生きる
明日も力も愛さえも失くして
夢叶わず 人は生きる
嘘つきと呼ばれるだけのために”

さらに自らの復讐の夢を明かした際の「紫の桜」の歌唱は、夜会随一の大迫力の絶唱!天からまるで津波のように押し寄せる”紫の桜”ジャカランダの花びらに飲み込まれそうになりながら、中島みゆきは激しく魂の叫びを歌い上げる。

”桜 桜 果てしなく前に
桜 桜 見たものを話せ”

 

・シンガポールへの旅「24時着0時発」

貧しい暮らしを続ける主人公の女性(中島みゆき)の家に、一本の電話が入る。応募もしていないのに、シンガポール旅行が当選したというのだ。身に覚えのないことだったがこれはチャンスと、同居の男性とシンガポールへと旅立つ主人公。優雅な旅行を楽しんだのも束の間、実はこの旅行は罠で人殺しの罪を着せられて男性は逮捕されてしまった!

ひとりになって当てもなく電車に乗り込む主人公。知らない間に着いたのは行き止まりの駅だった。そして迷いの果てに現れる「ミラージュ・ホテル」。ミラージュ・ホテルでは、上下もあべこべで裏表もさかさまの、形ばかりの幻の迷宮だった。そんなホテルを彷徨う者たちが主人公の他にたくさんいる。彼らは生まれ故郷の川をどんなに遡っても生まれ故郷にたどり着けずに疲弊している遡上の鮭の魂たちだった。

鮭たちの生まれ故郷の川は、人間たちがリゾートを築き上げようとしてことごとく破壊され、鮭たちは帰り道を失くしてしまっていた。そして主人公の女性もまた、生まれ故郷へは帰れない運命を背負って生きていた。故郷へ帰りつけないという魂の彷徨いが共鳴し合い、このミラージュ・ホテルに集結していたのだった。

川を鉄道になぞらえ、川の軌道を切り替える転轍器がどこかにあるはずだとホテル内を必死に探し求める魂たち。川の軌道を切り替えても水は枯れることなく、必ず元の本流につながるはずだという確信は、父親が鉄道員だったという主人公の鉄道的知識から来たものだった。

「ひとつの軌道に誰かが入っている限り、その出口は、その誰かのためにしか開かない作りになっていた。信じるしかない約束の名は”鎖錠”。」

ホテルの中の転轍機を発見し、軌道を切り替え、元の本流へ戻ろうと必死に泳いでゆく魂たち。主人公の女性も幻のホテルの世界を抜け出したが、帰ってきた世界は、今まで生きてきた世界とは少しだけ異なった世界だった。

ぼくたちは、生きているこの世界はたったひとつだと信じ、だからこそ逃れられないのだと絶望に打ちひしがれては苦しむ。けれどこの世界はひとつなんかじゃなく、ぼくたちには見えはしないが、ほんのちょっと横にまた別の世界が横たわっているのかもしれない。人生は一度きりじゃないし、世界はひとつだけじゃない。そう思えば、行き詰まった魂たちは、絶望することなく新たな迂回路を見出せるのではないだろうか。

”この一生だけでは
たどり着けないとしても
命のバトン掴んで
願いを引き継いでゆけ”

この物語は中島みゆきの生まれ故郷である北海道で見られる鮭の遡上と、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」と、輪廻転生の世界観を融合させた稀有な音楽芸術作品である。

中島みゆきの夜会「24時着0時発」に導かれ秋の北海道・知床半島へ鮭の遡上を見に行ってきた

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