スペイン巡礼29日目!意味深いたったひとつの言葉を解き放て

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意味深いたったひとつの言葉を解き放て。

スペイン巡礼29日目!

・変化の激しいガリシア地方の天気
・ガリシアの大地に降り注いだ雨
・意味深い言葉を世界へと投げかける者
・スペイン巡礼29日目記録

・変化の激しいガリシア地方の天気

 

ガリシア地方は天気の変化が激しい。もともと雨の多い地方のようだが、今日の歩き始めは曇りで巡礼者にとっては歩きやすい天気。PortomarinからPalas de Reiまでの25kmの道のりをゆく。今日の道のりは緩やかな上り道と緩やかな下り坂をいくつも繰り返していた。雨の豊富な地域らしく、多種多様な植物のあふれる癒しの道を行く。途中の標高の高い場所になると、ガリシア地方に入ってきたときのように霧が出てきたり、かと思えば青空が見え隠れ足したりと移り変わりの激しい天気が続く。

 

今日もずっとカミーノ合宿旅行の学生を、追い越したり抜かれたりを何度も繰り返しながら、まるで自分たちも学生であるかのようにずっと一緒に巡礼していた。人口密度が格段に上がるので、できるなら一緒に歩くことを避けたいものだが、一度出会ってしまったら最後、なぜかわからないけれどいつも離れることができずに共に歩むことになってしまうのはどうしてだろう。もしかしてこの調子のまま一緒にサンティアゴまで行くのだろうか。

 

・ガリシアの大地に降り注いだ雨

 

Palas de Reiに到着してからも、しばらくは気持ちのよい晴れの陽気が続いていた。ぼくたちはテラスのあるレストランで、いつもの巡礼者用の10ユーロのメニューを頼んでお腹いっぱいになったあと、Wi-Fiを使ってこれからの旅程を考えながらレストランに長居していた。ふと気がつくと遠くの空に、いかにも雨をたくさん蓄えたといわんばかりの黒い雨雲が!

 

 

ぼくたちは宿泊している6ユーロのアルベルゲALBERGUE DE PALAS/OS CHACOTESに戻り、天気の様子を見ていると、案の定激しい雨が降り出し、その雨は何時間もガリシアの大地に降り注いだ。ガリシアの豊かさを象徴する雨と共に、雷鳴も轟いている。

 

ぼくたちは雨が弱くなるのを待って、Palas de Reiの街へと繰り出した。そこで夜ご飯にガリシア名物のタコ料理を食べた。タコ料理に、イカ料理に、エビとキノコとスクランブルエッグの料理。タコ料理ももちろん美味しかったが、このエビとキノコとスクランブルエッグの料理が意外とかなり美味しくて、ぼくもてらちゃんもお気に入りになった。

 

・意味深い言葉を世界へと投げかける者

スペイン巡礼をしていると、本当にたくさんの外国人と挨拶を交わし、会話を交わすこととなる。しかし、どんなに多くの人々と会話しても、どんなにさまざまな話題を口にしたとしても、真に心を通わせる人というものは少ない。それは外国であろうと、日本であろうと同じことだろう。本当に心から感動するような、人の心と心が触れ合えるような言葉の交わし合いというものは、どのような場合に成り立つものだろうか。

よく喋り、よく言葉を排出する人がいる。よく物事を知りたがり、調べ物を真似て多くを話す人もいる。多くの言葉を世界へと吐き出すことのできる人が、言葉の支配者だろうか。よく喋ればよく喋るほどに、彼らは意味深い言葉を世界へと投げかけて、世界や人の心を動かすことができるだろうか。

たとえ愚かな者が浅はかな千の言葉を世界へと投げかけても、意味深い言葉を操る者の一つの言葉にも敵うまい。ぼくたちを意味深い言葉の世界へといざなう者の正体はなんだろう。ぼくたちは、湯水のように言葉が排出される様を否が応でも目撃しなければならない時代の中で、いかに言葉の真の尊さに気がつき、それを慈しむことができるのだろうか。

意味深い言葉を操る者の言葉は、決して難しい言葉ではない。外国人と流暢に話がしたいからと、難しい単語を必死で記憶して、複雑な文法を脳に焼き付けて、その結果として意味深い言葉を投げかけられるようになるわけじゃない。赤子にもわかるほどに簡単な言葉で、老人にも聞き取られるほどに簡素に、それでいて意味深い言葉を人の心にある深い河へと投げかけられる人々。

本当に伝えたいという思いが心の底から湧き上がる時、真実を照らす光が心の根へと差し込まれる時、ぼくたちは真実の言葉を口にする。それは決して難しい言葉ではなく、それは決して複雑な言語ではなく、どんな国の人々にも、どんな年齢の人々にも、満遍なく行き渡る不思議な言葉。熱を帯びた言葉は、国を超え、時を超え、人々の心の岸辺に迫ってくる。

言葉が通じるのがよいというのは本当か? 〜言葉よりも大切なもの〜

誰もが、世界の秘密を知っている。人はそれぞれに、世界の秘密を握っている。それを誰もがひどく傷つきながら、必死に隠して生きている。けれどこの世でひとり担うには寂しすぎて、響き合う誰かと生まれくる熱を共有したくて。秘密を注ぎ込む受容体を、いつもどこかでさがしている。意識しなくても、いつもどこかで感じている。秘密を注ぎ込んだならば、代わりに注ぎ込まれるだろうか。その問いかけにはあてもなく、注ぎ込まれる保証もなく。それでも秘密を“与える”という道に、かけがえのない光を感じながら。

傷つきながら生きてきた者と、傷つきながら生きてきた者は、必ず巡り会う。懸命に生き抜いた魂と、懸命に生き抜いた魂は、きっとひとつになる。秘密を注ぎ込むために、そして響き合い、秘密を注ぎ込まれるために。誰にも言えずに生きてきた孤独の色彩が、もうひとつの孤独とつながって、円を描きながら川は流れ出す。始まることもない、終わることもない、円環の水路をいつしか紡ぎ出す。

真実の言葉は、この世を生き抜いた火炎の別名。千の愚かな言葉を、口にする者になってはならない。熱を帯びたたった一つの言葉を解き放て、さあ。

 

・スペイン巡礼29日目記録

出発6時半 到着13時00分
消費カロリー868kcal 歩数42047歩
移動距離26.3km

 

 

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