自らがおそれるものへと旅立ってゆけ。
崖をよじ登れ!!第45番「海岸山 岩屋寺」は暗黒の不動明王が安置された山岳信仰の山寺だった
・第45番岩屋寺は愛媛で最も印象的な山岳信仰の山寺
・第45番岩屋寺の境内までの風景
・日本古来の岩石信仰
・岩石にへばりついた第45番岩屋寺本堂
・第45番岩屋寺本堂
・第45番岩屋寺大師堂
・第45番岩屋寺の「法華仙人堂跡」
・第45番岩屋寺の「穴禅定」
・第45番岩屋寺お納経(御朱印)
・第45番岩屋寺御影、御姿
目次
・第45番岩屋寺は愛媛で最も印象的な山岳信仰の山寺
2020年四国お遍路逆打ちの次なるお寺、第45番「海岸山 岩屋寺(かいがんざん いわやじ)」は、その神秘性とド迫力において、愛媛県でもぼくの心に最も刻み込まれている山寺だ。山寺というのは街中にあるお寺よりもぼくの中ではるかに神秘的であり、それはぼくがどちらというと”山の民族”であることに関係しているのかもしれない。しかしこんなにも神秘的な山寺があっていいのかと感じてしまうほど、ぼくはその神聖さに圧倒された!山岳信仰というものは、いつも不気味で暗黒の中から鈍く光るように美しい。
・第45番岩屋寺の境内までの風景
駐車場から第45番岩屋寺へはかなり歩く。標高700mに位置するこの山寺に2月に訪れたぼくたちは、寒さにまだ溶けずに残っている白雪を目撃することになる。境内までの山道も神聖で美しい。薄暗い緑と、雪の白さと、石の冷たさを感じながら境内までのぼり行くと、そこでぼくたちを待ち構えていたのは巨大な岩石だった。
・日本古来の岩石信仰
日本人は古来より、仏よりも前、神よりも前から、自然を信仰してきたとされ、その感性はまだぼくの中にさえ脈々と受け継がれている。清らかな水、高らかな樹木、そして巨大な岩石を、古来より日本民族は神と崇めてきたのだろう。
お遍路の中にも、岩石に神や仏を見出している信仰の姿を目撃した。
また巨大な岩石を祀る信仰の姿は、今でもなお日本各地に散見される。
・岩石にへばりついた第45番岩屋寺本堂
この第45番岩屋寺の本堂の景色は圧巻だった!なんと巨大な岩石にへばりつくように本堂が建てられており、まるで岩石がこちらに迫ってきているかのような迫力だ。こんなにも圧倒的な本堂の雰囲気のあるお寺を、ぼくは他では見たことがなかった。
・第45番岩屋寺大師堂
・第45番岩屋寺の「法華仙人堂跡」
さらに驚愕だったのは、なんとこの岩石に登れるというのだ!山岳信仰の修行の場として神聖な場所とされているらしいが、梯子を使ってよじ登ることができる。注意書きも為され、もちろん怪我をしても責任は負ってはくれないらしい。
下から見上げるだけでもかなりの高さがある。こんなにも恐ろしいものに、わざわざ手を出さなくてもいいとも感じる。登れば怪我をする確率は少しはあるけれど、登らなくては怪我する確率は0なので、絶対に登らない方が安全だ。しかしそんな論理を超越して、ぼくの肉体は自然と本能的にこの梯子をよじ登っていた。
おそろしいものへと旅立たなければならないという衝動が、この魂を突き動かしていたのかもしれない。
・第45番岩屋寺の「穴禅定」
この巨大岩石の中には「穴禅定」という暗黒の洞窟があり、その先には不動明王が安置されている。禅定とは、心を鎮めてひとつの物事に集中して瞑想するという意味。この洞窟の中は、本気の暗黒!安全とか、注意とか、そういう生易しい概念の届かない山寺の暗黒の洞窟を恐る恐るたどっていくと、そこには暗黒を貫いた者にしか見られない神聖な仏の風景が待っている。
・第45番岩屋寺お納経(御朱印)
・第45番岩屋寺御影、御姿
大聖の 祈る力の げに岩屋 石の中にも 極楽ぞある