台湾の温泉って日本と全然違う!!!!!

台湾と日本の温泉文化の違いと漢民族が裸を嫌がる儒教思想とは?台湾東部の瑞穂温泉で台湾式個室湯船を経験した
・台湾南東部の離島、蘭嶼島の大冒険へ
・台湾東部の瑞穂温泉は日本統治時代に日本人が発見した温泉だった
・台湾と日本の温泉文化の違いと漢民族が裸を嫌がる儒教思想
・瑞穂温泉の入浴施設「東岡秀川」で台湾式個室温泉を経験した
・台湾式個室温泉のYouTube動画はこちら!
・湯上がりはお喋りでリラックス
目次
・台湾南東部の離島、蘭嶼島の大冒険へ

ぼくは2023年の夏、台湾南東部の離島である蘭嶼(らんしょ、中国語読みでLanyu)島を訪れるために台湾を訪れた。この旅のメンバーは台湾人の哲ちゃんとアリス、香港人のルーディ、そして日本人のぼくの合計4人だった。蘭嶼島なんて見たことも聞いたこともなかったが、台湾で最も美しい哲ちゃんの心の故郷だということで連れて行ってもらうことにした。
しかし直接蘭嶼島に行くだけではつまらないので、その前に台湾東部を冒険してみることにした。まず目指したのは花蓮と台東の間にある瑞穂(Ruisui)温泉だった。瑞穂温泉も見たことも聞いたこともなかったが、やっぱり地元の台湾人に案内してもらうと普通の日本人では辿り着かない珍しい場所を訪れることができるようだ。
・台湾東部の瑞穂温泉は日本統治時代に日本人が発見した温泉だった

瑞穂温泉ではカヌーツアーに参加し激流の川下りを経験した後は、いよいよメインの温泉へと向かうことにした。ぼくは「瑞穂温泉」という名前を見て、あまりに日本語らしい名前なので日本統治時代に日本によって作られた温泉ではないかと推測したが、調べてみるとその直感は当たりだったようだ。
瑞穂温泉は日本統治時代の1919年に日本人によって発見され、瑞穂温泉の泉質は日本人に愛された有馬の「金銀温泉」に匹敵するほど優れていると言われた。そこには共同浴場を備えた旅館が建てられ、当時は「滴翠亭」と呼ばれていた。緑豊かな木々に囲まれた静かな環境にある伝統的な日本式木造建築は、当時最も豪華なリゾート地の一つだった。
瑞穂温泉は紅葉温泉、安通温泉と並んで花蓮の三大温泉地に数えられる。泉質は台湾で唯一の炭酸塩泉で、鉄分・バリウムなどの鉱物が豊富に含まれる。泉温は約45〜48℃、pHは約6.7で弱アルカリ性。水は空気に触れると酸化して金黄色に濁る特徴があり、「温泉花」と呼ばれる結晶が浮かぶことでも知られている。地元では「黄金の湯」「生男之泉」「子宝の湯」として親しまれ、特に若い夫婦に人気だという。
「生男之泉」というのは何度も温泉に浸かると男の子を授かるという意味らしい。女子よりもむしろ家系を継ぐ男子を望むというのは、儒教の観念が濃厚な漢民族が住む台湾ならではの発想だろうか。
・台湾と日本の温泉文化の違いと漢民族が裸を嫌がる儒教思想

日本人によって発見されたとは言っても、台湾と日本の温泉文化というものにはかなりの違いがあるそうだ。まず台湾にはそもそも日本のように大浴場で知らない人達と裸で入るという習慣がないらしい。台湾の温泉に入る時には基本的に貸切制となり、区切られた温泉のスペースを貸し切って、そこに一緒にやって来たグループの人々と入るというのが一般的なようだ。そして大浴場のような場所では、水着やスイムキャップを着用する傾向があるという。
ぼくは前々から漢民族は日本人とは異なり人前で裸になるのを嫌がる習性があるような気がしていたが、どうやらそれは儒教の教えに通じるものがあるようだ。中国の経書のひとつである「孝経」には次のように記されており、体の扱い方について説かれている。
身体髮膚,受之父母,不敢毀傷,孝之始也。
身体髮膚とは、自分の肉体の全てのこと。自分の肉体の全ては父母から授かったものであるから、それを敢えて傷つけたり損なったりしてはいけない、それが親孝行の始まりだという意味になっている。儒教では自分の肉体は自分のものというよりはむしろ親からもらった親の遺産であると考え、怪我・刺青・自傷などの無謀な行為は親への不敬とされ、衣服や身だしなみを整えるのも親への敬意の一部とされる。そして人前で裸にならないということも、体を大切に扱うことに繋がるという。
このように儒教の詳細な教えを見ていくと、日本文化も儒教の観念に一部影響されているところもあるが、温泉などで人前で裸になることがむしろ当たり前となっているおおらかさについては、大陸からの儒教に全く支配されていない独自の感性を守っていると言えるだろう。
・瑞穂温泉の入浴施設「東岡秀川」で台湾式個室温泉を経験した





今回ぼくたちが瑞穂温泉で訪れた入浴施設である「東岡秀川」も、台湾式の温泉であり貸切システムとなっていた。日本のように大浴場があるわけではなくいくつもの個室が用意されており、そこに少人数で入ってやや小さめの湯船に浸かるという方式だ。

貸切風呂は1部屋1時間で300台湾ドルだった。ぼくたちは4人で訪れたが1部屋2人が限度だろうということで、分かれて2部屋借りることにした。

東岡秀川の貸切温泉の個室は、2人ならば十分な広さがあった。個室に入ると何と湯船にお湯が張られておらず、自分で蛇口を捻ってお湯を出すスタイルだった。結構大きな湯船なので、お湯が溜まるのに時間がかかった。




蛇口から出てくる温泉は確かに黄金色で、鉄分が混じっているような色合いだった。味は塩味がした。ここは貸切温泉なので当然裸で入ることができた。個室でゆっくり広い湯船に浸かるのも、知らない人がいないという点で心からリラックスできるので、これはこれで快適な温泉文化なのかもしれない。
・台湾式個室温泉のYouTube動画はこちら!
・湯上がりはお喋りでリラックス



湯上がりは迎えの車が来るまで、休憩所でリラックスしていた。日本の温泉のようにマッサージ機や牛乳瓶などはなく、ただ単に喋って寛ぐスタイルだった。
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