日本の山の神って奥が深くて面白い!!!!!

男根好きで嫉妬深くて女嫌いの女神?!日本の「山の神様」の特徴を徹底的にまとめてみた
・日本の山の神は不思議な特徴や伝説で溢れている
・日本昔ばなし「オコゼと山の神」のあらすじ
・「オコゼと山の神」から読み解く日本の山の神の特徴まとめ
・日本の山の神には、男根と密接な関わりがある
・伝統的な山の猟師であるマタギに伝わる山の神の男根的風習
・日本の山の神は嫉妬深く、女性嫌い
・マタギと日本の山の神の関係性まとめ
・日本昔ばなし「山姫さまと兄妹」のあらすじ
・日本の山の神の共通点と、地方の伝説の独自性
目次
・日本の山の神は不思議な特徴や伝説で溢れている
ぼくが古代より伝わる日本の山の神の伝説について初めて知ったのは、YouTubeでアニメ日本昔ばなしの「オコゼと山の神」の回を見た時だった。「オコゼと山の神」を見て、ぼくが今まで自分自身の祖国である日本の山の神について全く何も知らなかったということに強い衝撃を受けた。それほどまでに「オコゼと山の神」には、日本の山の神に関する知識が豊富に詰まっていた。
そもそも日本では山神の神社に、オコゼを供える風習があるという。しかしオコゼというのは海に住む魚なので、一体なぜ海水魚であるオコゼを遠く離れた山の中の神様にお供えするのか全く想像ができなかったが、その理由が「オコゼと山の神」のストーリーの中で語られていく。ものすごく簡単に言うと、山の神にオコゼを供えるのは山の神がとんでもない不細工であることが原因なのだが、その詳細は以下のようなものだった。
・日本昔ばなし「オコゼと山の神」のあらすじ
昔むかし、山口県の下関の宇津井は作物のよくとれる豊かな村だった。これも山の神のおかげと、村人たちは毎年秋の収穫の時には山の神に感謝を捧げていた。山の神は、秋の収穫が終わると近くの山に入って山を守り、春になると里に出て田の神になるのだった。山の神は山の鳥黐(とりもち)の大木に住んでいる、とても恥ずかしがり屋の女性の神様だった。
ある年の春のこと、今年も無事に田植えが終わったと村人たちは揃って山の神を迎えに鳥黐の木の前にやってきてお祈りを捧げた。山の神はいつものように里に出ると田を守る田の神になり、村人たちと植えたばかりの青田を見回りしていた。ところが、ふとしたはずみでつまづいて小川にドボンとはまってしまった。そしてふと水に映った自分のお顔を見てしまった。その顔の、なんともみっともなくおかしげな顔といったら、自分でも耐えられないほど醜いものだった。

「恥ずかしや!!こんな醜い顔がわらわの顔だったなんて!!」と山の神は一目散に山に帰っていった。「田んぼに出るのはもういやじゃ!!いやじゃ!!いやじゃ!!」と悔しくて泣きまくり、そのまま祠に入って塞ぎ込んでしまった。しかし村人たちはどうして山の神が山へ隠れてしまったのかその理由が見当もつかなかった。
それからというもの、植えたばかりの村の田んぼの苗は枯れ始め、畑は荒れるし、山の木も少しも大きくならいいうちに枯れてくるわで、村人たちも困り果ててしまった。「どうしたっていうんだろう、山の神様は?」「このままだと俺たちは干上がってしまう!」どうにもこうにもわけがわからなかったので、村人たちは村で一番物知りの老婆に相談してみた。
老婆「お前さんたちの山の神様の顔を見たことあるかのぉ?そうじゃ、醜い顔をしてござってのぉ、その醜い顔を今の今まで気付かれんかったんじゃろう。それが初めてわかって恥ずかしくなって、祠に閉じこもってしまわれたんじゃよ。じゃから、山の神様よりもっと器量の悪いものをお供えなされ!そうすりゃあ自分より醜いものがこの世にいたのかと大喜びなさる。」

そこで山の神より醜く不細工なお供物として老婆が提案したのが、オコゼという魚だった。老婆はおかしな顔をしたオコゼの入った壺を取り出して、村人たちに山の神に見せるように命じた。言われた通り村人たちはこのオコゼを提げて山に入り、山の神の前にお供えしながら、どうか里に降りてきてくださいとおそるおそるお願いしてみた。
祠の中からオコゼの顔を見た山の神は「これはおもしろい顔じゃ!!この世にわらわよりおかしな顔があったのか!!おもしろいおもしろい!!!」と大爆笑した。こうして山の神の機嫌はすっかり直り、村へ再び下りて来るようになったので田や畑や山は急に生き生きとした緑を取り戻したそうだ。それからというもの、山の神と村人たちはいつまでも仲良く暮らしたということだった。
・「オコゼと山の神」から読み解く日本の山の神の特徴まとめ
この「オコゼと山の神」のストーリーに出てくる山の神の特徴をまとめると以下の通りになる。
・日本の山の神は女性の神様。
・日本の山の神は、春には田の神にもなる。
・日本の山の神は山を守ると同時に、作物の豊作を願う役割も担っている。
・日本の山の神はものすごい不細工。
・日本の山の神は恥ずかしがり屋の性格で引きこもりがち。
・日本の山の神は喜怒哀楽が激しく、すぐ泣いたりすぐ怒ったりすぐ喜んだりする。
・日本の山の神にオコゼを供えると喜ぶ。
ぼくはまず、日本の山の神様が女性であることに驚きを隠せなかった。山って何だか堂々と聳え立っていて不動な感じが男性らしいと思っていたが、実際はその逆だと日本では信じられているようだ。またその女神の顔面が極めて不細工だという言い伝えにも驚愕した。山の神様なんて目には見えないのに、一体どうして不細工だと分かるのだろうか、不思議でならない。そして自分の顔があまりに不細工だと気が付くと山に引きこもってしまったというあらすじは、まさに古事記における天照大神(あまてらすおおみかみ)の天岩戸伝説(あまのいわとでんせつ)を連想させて、古代神話の深い繋がりを感じさせる。
・日本の山の神には、男根と密接な関わりがある

また日本の神社を実際に巡っていると、山の神様の神社には男性器の形に彫られた巨大男根が供えられているのを度々目撃する。ぼくは山の神様の神社に木造や石造の男根が祀られているのを三重県でも、島根県でも、長崎県でも発見したので、おそらく特定の地方だけではなく日本全体において山の神様と男根には何らかの関連や意味付けがあると見なされているのだろう。
一説によると日本の山の神と男根の関係は、先ほどの山の神=不細工神話でも説明が可能だという。山の神があまりに不細工で男性に相手にされることが少ないことから、立派な巨大男根を見せてやると歓喜するという理屈になるそうだ。また男根は全ての人間生命の疑いようもない根源的な存在であるので、山の神=田の神=豊饒・豊作・繁栄の神と連想された結果として、「豊饒」「豊作」「繁栄」というキーワードによって男根と山の神が結び付けられた可能性も大いにあるだろう。
日本の山の神と男根の関係性をまとめると、以下の通りになる。
・日本の山の神の神社には男根が祀られている。
・日本の山の神は醜い女神なので男性に相手にされず、男根を見せると喜ぶ。
・日本の山の神=田の神=豊穣の神であり、子孫繁栄の源である男根と結び付く。
・伝統的な山の猟師であるマタギに伝わる山の神の男根的風習

また山の神と男根の関係性を明らかにする上で、日本の古来からの伝統的な山の猟師であるマタギの伝説を見逃すことはできない。マタギの間では山の中で急に失くしものをしてしまった際、山の神がいたずらして大切なものを隠してしまったのだと見なし、山の神から失せ物を取り返すために、男根を丸出しにして山へ向かって見せつけるという風習があるようだ。すると不思議なことに、失くしたものがすぐに出てくるのだという。このようなマタギの言い伝えからも、山の神=男根が好きな性欲旺盛な醜女の女神という方程式が成り立っている。
さらにマタギの男根的な儀式として「クライドリ(さげふり)」も挙げられる。マタギは春になるとマタギ小屋に泊まって狩りをする。そして熊が獲れるとその夜、山の神へのお礼としてクライドリの儀式が行われた。まず猟に参加したマタギ一同が小屋の中に焚き火を囲むようにして車座になる。それから山の神の祭壇に向かって、一番歳の若い男の見習いマタギが裸にされ、股を広げて立たされる。そして他の若い男が男根を揉んで勃起させる。さらに男根に木の燃えさしを麻紐で結んでぶら下げ、左右にふらせる。
男は恥ずかしいやら熱いやら煙いやらで身をよじる。しかし声をあげてはならない。しばらくそうやって山の神に見せるのだ。周囲の人は声を押し殺して黙って見ている。やがてシカリが「山の神様がお慶びになった。オホホホ」とまるで女性のように手を口の添えて言うと、ほかの者もオホホホと笑う。このクライドリの儀式が、男根が好きな山の神へのお礼となっているという。山の神=男根好きな女神であるというのは、古代より日本の山を知り尽くしてきた伝統的猟師であるマタギの間でももはや常識的な感覚となっていることが伺える。
・日本の山の神は嫉妬深く、女性嫌い

マタギと山の神の関係は根深く、マタギは山の神の怒りを最も恐れるのだという。山の神の怒りが山の中の狩りの途中で怪我をしたり、獲物が少なくなってしまうことに繋がるからだ。山の神は男が好きで男根好きであると同時に、嫉妬深い性格の女神であるとマタギの間では信じられている。それゆえに女性を敵視し、女性を嫌うという性質がある。
古来よりマタギの山に女性が入ってはならないと決められていたのは、この山の神の性質によるものだという。マタギは嫉妬深い山の神の怒りを避けるために、山に入る前には女性と交わることも禁じられてきた。女性と交わることで女性の匂いが体に染み付き、山の神の怒りに触れてしまう可能性が高いからだ。マタギがいかに山の神のことを第一に考えてきたのかが伝わってくるエピソードだ。
・マタギと日本の山の神の関係性まとめ
マタギと日本の山の神の関係性をまとめると、以下の通りになる。
・伝統的な山の猟師であるマタギと日本の山の神は密接に結び付いている。
・マタギの間でも、日本の山の神は性欲旺盛で男根好きな女神であると見なされている。
・マタギが山の中で失せ物をすると、山の神に男根を見せ付けて返してもらう。
・マタギには山の神に感謝を伝えるために、勃起した男根をふらせるクライドリという儀式がある。
・日本の山の神は嫉妬深いという性格を持ち、女性に敵意を向ける。
・古来よりマタギの山に女性が入れないのは、山の神の怒りに触れないため。
・山の神の怒りを避けるため、マタギは山に入る前に女性と交わることが禁じられている。
・日本昔ばなし「山姫さまと兄妹」のあらすじ
最近新しく見つけたアニメ日本昔ばなしの「山姫さまと兄妹」という回も、日本の山の神を理解するのに役立った。この話の中では山の神ではなく山姫さまと呼ばれているが、日本の伝統的な山の神と通じる点があるだろう。「山姫さまと兄妹」の以下の通りだった。
昔、埼玉県の大谷の里に杉作と小江(こえ)という兄妹が住んでいた。里では秋になると雷電山(らいでんやま)の神である山姫さまは赤い晴れ着を織り、秋の踊りを舞うのだと言われていた。杉作は山姫さまの踊りを見たいとずっと憧れていたが、小江はそんな兄を心配し山へ行くなら自分も一緒に行くと申し出た。しかし杉作は「生娘が山に入ると山姫さまに取り殺される」と警告し、断った。
ある秋の日、杉作はついに山へ入る決意をした。山へ入るためには山姫さまと同じように一本足で立たなければならないという言い伝えがあり、杉作も一本足になって山姫さまの元へと歩いて行った。一本足になるというまじないを守らないと、山姫さまの怒りを買うと信じられていたのだった。またもうひとつ、山姫さまの年の数だけ山の栗を供えなければならないというまじないもあった。杉作は17個の栗を拾って山道を進んだ。

すると目の前にあまりに美しい山姫さまが現れ、「一本足の若者、長い間待っていましたよ」と杉作に話しかけた。杉作はとうとう憧れの山姫さまの舞いを見ることができ、うっとりと見惚れていた。しかしそこへ兄を心配して小江が山へ入り追いかけてきたので、杉作は驚いた。小江はまじないを知らず、2本足で山の中を歩いてしまっていたからだ。そして小江を守ろうとして咄嗟に杉作も2本足で走り出してしまい、山姫さまの怒りに触れた。

「おのれ、2本足だと!!」さっきまで信じられないほどに美しかった山姫さまは怒りの形相となり、化け物のような姿となって杉作を攫ってしまった。その日の夜に杉作は家の屋根で寝ていたのを村人に発見されたが、3日3晩眠り続け、起きた時には魂が抜かれたように正気が戻らなかった。そんなことがあってから大谷の里では、秋になると必ず片方だけの1つの草鞋を山姫さまに供えるという風習が生まれた。
・日本の山の神の共通点と、地方の伝説の独自性
この山姫さまの話も、日本古来の山の神との共通点が多くて興味深い。まず「生娘が山に入ると山姫さまに取り殺される」という言い伝えがあることから、山姫さまも嫉妬深く、女性嫌いであることが伺える。さらに喜怒哀楽が激しく、怒りに触れやすいという共通点も挙げられる。怒りの姿はおぞましく、化け物のようであるのも醜い山の神と通じるものが感じられる。
一方で秋の舞いを踊る姿は非常に美しい、1本足である、人間を襲って人間の気を狂わせるという、通常の日本の山の神には見られないような特別な性質があることも見逃せない。おそらく日本の山の神は全国的に大まかな共通点があるもののその地方地方で独特の土着の神様や信仰と結び付いて、この埼玉県の山姫さまの例のように不思議な派生が生じるのだろう。
埼玉県大谷の里の山姫さま、すなわち山の神の特徴をまとめると以下の通りになった。
・大谷の里の山の神は、女性嫌いで嫉妬深い。
・大谷の里の山の神は、山に入った生娘を取り殺す。
・大谷の里の山の神は秋になると赤い晴れ着を織り、美しい姿で秋の踊りを舞う。
・大谷の里の山の神は、1本足。
・大谷の里の山の神は、17歳。
・大谷の里の山の神の怒りを避けるためのまじないは、1本足で歩き17個の山の栗を供えること。
・大谷の里の山の神は、怒りに触れると化け物の姿になる。
・大谷の里の山の神は2本足の者に怒り、人の気を狂わせるほどの力を持つ。
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