スペイン巡礼13日目!ついに風と麦と星の荒野・メセタの大地へ突入

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夢のような幻想的な風景がぼくらを待っていました。

スペイン巡礼13日目!ついに風と麦と星の荒野・メセタの大地へ突入

・風の荒野メセタの大地へ突入
・メセタの大地の中にポツンとあるアルベルゲ
・星たちの声が聞こえる
・スペイン巡礼13日目記録

・風の荒野メセタの大地へ突入

 

大都会ブルゴス(Burgos)を抜け出して、またいつもの炎天下のスペイン巡礼の道に突入!ブルゴスを抜けると、そこにはメセタの大地という高原が広がっている。しかもそれはこの先10日間ほど続くのだという。

 

 

メセタの大地は緑の小麦畑が目の前一面に広がり、風が止むことがなく、麦の穂が波のように果てしなく揺らめいている。これまでのカミーノの道のように、太陽の光は常に降り注ぎ木陰もないが、風の止むことのないこの大地ではそれほどまでに暑さを感じない。炎天下の中を歩き続ける道であるものの、基本的には平坦な道のりであり、上り下りに苦労するというようなことはなさそうだ。このような均一的な風景が、これから不変で一週間は続いていくのだという。

 

 

メセタの大地で本当にごくたまに大きな樹木を見つけたら、その下で休憩するのがよい。そこにはもう涼しげな天国が出来上がってぼくたちを待っている。絶え間なく風が通り抜けて巡礼で火照ったぼくたちの肉体を優しく冷やしてくれる。ここでバックパックを枕にしてお昼寝するのは至極のひとときだった。

 

1本の麦の中にも、無限に連なる色彩のグラデーションが現れ出ていることも、このメセタの大地は教ええてくれた。根に近いところから、真ん中、穂に至るまで、少しずつ少しずつ、しかし確実に色彩が変化しているのを見るのは不思議な気持ちだった。また同じ麦畑でも、信じられないくらい青々とした麦畑や、まるで波照間島のさとうきび畑を思い出すような薄褐色の麦畑まで多種多様あった。

ひとつの麦という植物の中にも、無限の世界は隠され保たれている。

 

 

・メセタの大地の中にポツンとあるアルベルゲ

 

メセタの大地のど真ん中に、ポツンと佇むひとつのアルベルゲがあり、ぼくたちはそこへ宿泊した。そのアルベルゲの名前はAlbergue San Bol。1泊6ユーロで夕食は8ユーロ。この周辺には本当にレストランやお店など何もないので、夕食をお願いするしか術はないだろう。

 

このアルベルゲもまた、果てしなく広がるメセタの大地にあるひとつの天国の形だった。中庭には木漏れ日が揺れており、ここで巡礼に疲れ切った体を休めるのもまた悪くない。中庭には小さな泉と川が流れており、ぼくたちはそこで心と体と冷やしたり、洗濯に使用することができる。狭く暗いアルベルゲの窓の外には、壮大な明るい緑の麦畑がどこまでも広がって揺れている。中と外のあまりの対照性に、まるで夢を見ているような心地になる。

絶え間なくつながる風の姿を、木漏れ日に反映させて眺めていると、改めてぼくは無常なものに心惹かれるのだと気がつく。平穏に不変を保っている淀んだ静かなものではなく、常に突き動かされ、変化し、激動し、揺らめき、同じ姿を保たず、ついさっき見た姿とはまったく変わってしまっているような、飽きることのない激流の世界。ぼくはそんな世界を内包し、またそのような世界の外界と共に生きたい。

激流

 

・星たちの声が聞こえる

夜中にひとり起き出して外へ出てみると、そこには一面の星空が広がっていた。スペイン巡礼は「星の巡礼」と名付けられている割に、その途上で星空を眺める機会は決して多くはない。夏のスペインは10時まで日が沈まないし、アルベルゲの門限は大抵10時なので星空を見ることが少なくなるのも頷ける。また大小様々ではあるものの基本的に町や村に宿泊するので、周囲は明かりに満たされている場合が多い。星を見るにはあまり適さない環境だ。

ぼくはこの周囲にまったく何もないメセタの大地のど真ん中で、夜空に壮大に広がる星空と対面した。おそらくこの巡礼の中では、これが最初で最後だろうと思われるほどに、それは静寂の中の美しい星空だった。木がつけば、昼間は決して絶えることのなかった風が、夜中にはすっかり止んでいて不思議な気分だった。風の止んでいる分、静寂が世界へ忍び寄り、星空の瞬きの小さな音まで聞こえてくるような気がした。それはきっと、星たちの話し声だった。

カミーノの道のりを歩いていると、自然の声に耳を澄ませることが多くなる。木々のざわめきや、川水のせせらぎ、鳥たちのさえずりや、道の心の声までも聞こえてきそうだ。人間など、大いなる森羅万象の小さなたったひとつに過ぎないことを感じる。自分が人間としてこの世に生まれてきたからと言って、心や信号を発するものたちが数多あるのに、それらを無視して人間の声だけをどうして聞いていられようか。

ぼくたちが耳を澄ませるべきものには、人間の言葉以外にもたくさんある。それらを聞き取ることは極めて簡単なはずなのに、なぜかやがて困難になっていく。人間がすべてなのだと、人間たちは浮世にしがみつくようになり、やがて迷妄が生じる。そっとメセタの大地の中に立ち尽くしてしまえば、星たちの声が聞こえないだろうか。

 

 

・スペイン巡礼13日目記録

出発6時半 到着15時30分
消費カロリー930kcal 歩数51897歩
移動距31.9km

健康状態:両足の小指は角化傾向、両足底のマメは角化傾向

 

 

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