旅は、まだまだ終わらない。
スペイン巡礼21日目!最も美しかったアストルガの街並みとぼく流の神様へのお祈り
・いきなりくらった犬パンチ!
・十字架の丘を越えたところに
・ぼく流の神様に対するお祈りの仕方
・これまでで最も好きだったアストルガの街並み
・スペイン巡礼21日目記録
・いきなりくらった犬パンチ!
この日の朝は驚愕した。
San Martin del CaminoのアルベルゲVIEIRAで5ユーロのビュッフェ式の朝食にぼくは大変満足した。チーズや生ハム、フルーツやフレーク、パンやケーキもあり、今日歩く道のり分のエネルギーをチャージできた思いだ。お腹いっぱいでアルベルゲを出ようとしていたその時、アルベルゲの大きなわんちゃんがものすごく暇そうにしていたので構ってあげた。わんちゃんは吠えずに大人しく、そして構ってほしがりだったので喜んで遊んでくれた。
そしてもう出発しなければならない時間になって、わんちゃんのもとを去ろうとしたその時、わんちゃんはもっと構ってほしいあまりにぼくに飛びついてきた!巨大なわんちゃんが飛びかかってきたのでびっくりして逃げようとしたその時、わんちゃんの右前足がぼくの顔面を直撃した!
生まれて初めての犬パンチ!猫パンチというワードなら聞いたことがあったものの、ここスペイン巡礼の地で思いっきり犬パンチをくらうなんて…。犬パンチは痛かった。わんちゃんが巨大だからというのもあっただろうが、犬パンチの幻影が心に残りまくったまま、今日の巡礼は開始された。
・十字架の丘を越えたところに
今日の天気は快晴そのもの!カミーノでは体力を奪われるから快晴が嫌いだったぼくでも、2日連続の雨の日の後では快晴がとても嬉しく心地よく感じられた。よく晴れた巡礼の道の上を、途中の街で買ったスペイン製の帽子を被りながら歩いた。帽子を日本から持って来なかったぼくでも、燦々とスペインの太陽が照りつけるにこの巡礼の道では、さすがに帽子が必要だとようやく気付いたのだった。San Martin del Caminoからアストルガ(Astorga)までの道のりの途中には、美しく見応えのある村もあり、宿泊しないで通り過ぎるだけなのがもったいないと感じるほどだった。
途中の大きな坂をのぼっていったところには、ドネーション(寄付制)で食べ物や飲み物を与えてくれるお店もあった。どんなものをもらっても、自分の思った額のお金を置いておけばいい。アジアの曼荼羅のような布も掲げられ、なんだかヒッピーのような世界感も漂っていた。ここでレモネードをもらって休憩し、先へと進んだ。
アストルガを見渡せる丘の上にたどり着くと、そこには巨大な十字架が聳え立っていた。てらちゃんがブログで読んだ情報によると、この十字架の下に家から大切に持ってきた石を備えておくと、願いごとが叶うという。この南ヨーロッパの旅に出るまで自分がスペイン巡礼を行うと思っていなかったぼくは、当然家から石塊など持って来ているわけもなく、そこらへんで拾った石を適当に拾ってお供えする他はなかった。てらちゃんもそれは同様だった。
こんなので願い事が叶うのかなと心配していたが、しかし後から気づいたことだが、てらちゃんはこの巨大な十字架と有名な”鉄の十字架”を勘違いしてブログを読んでいたらしく、家から持って来た石を置くと願いが叶うのはもっと後に出現する、有名な”鉄の十字架”の方だった。願うごとが叶うか心配するも何も、そもそも十字架を勘違いしていたので願いが叶うかと心配する以前の問題だった。
この十字架の丘の向こうには、本当に本当に美しい街が広がっていた。ここがアストルガの街。今までのスペイン巡礼の街の中で一番好きかもしれない。
・ぼく流の神様に対するお祈りの仕方
ぼくは神社などでもお願い事をするときに、何も考えないのだがそれって特殊なことなのだろうか。よく神社で人がお祈りしているのを観察していると、みんな長時間かけて神殿の前で目をつむり手を合わせている。あれはおそらく、自分のお願い事を心の中で言葉にして神様に唱えているのだろう。大体の人はそのようにして割と長時間神殿の前に立っているので、みんな心の中でお願い事を言葉にすることによって神様に届けられると信じているということだろう。
ぼくの場合はその逆で、神様の前のお祈りは一瞬で終わってしまう。手でパンパンとやってから目をつむり1秒も経たないうちに終了している。その理由は、お願い事を心の中で言葉に変換していないからだ。ぼくは神様は偉いものだと思っていたので、神様なんだから神殿の前でぼくがお願い事を心の中で言葉にしなくても、瞬時に心の奥底にある願いに気づいてくれるだろうといつも思っていたのである。言葉の代わりに送るのは念で、ピコーンと心の直感のようなものを神様に送れば彼はそれを理解してくれると信じている。
そもそも神様にお願いしたいことなんてそんなにないのだが、ぼくが気づいていないだけで本当は切なる願いを抱えているかもしれない状況でも、ピコーンと直感を神様に送れば彼はぼくの心を読み取り、なんとかしてくれるのだと信じている。しかし人々の様子を見ているとこのような神様との関わりを考えている者は少ないように思う。誰かぼくの他にも神様にピコーンと念を送り、一瞬でお祈りが済んでしまう方はいらっしゃるだろうか。
この日、間違った十字架の前でも、ぼくはキリストの神様に念を送り、一瞬でお祈りは終わった。
・これまでで最も好きだったアストルガの街並み
アストルガは本当に素敵な街だった。
ぼくたちは5ユーロのアルベルゲAmigos del Camino de Santiago Astorgaに泊まったが、これが5ユーロとは思えないほど広くて清潔で居心地がよかった。Wi-Fiも驚くほど速く、なんだ完璧なアルベルゲじゃないかと思った矢先、シャワーのお湯が出ないことが判明した。
そもそもお湯の温度調節機能がなく、あるのはシャワーを出すためのボタンひとつ。そのボタンを押すと、水とは言いにくいものの、限りなく水に近いようなもしかしたら心持ちちょっとくらいは温かいのかもしれないような液体が出てくる。おそらく秋や冬などではかなり寒いのではないだろうか。ぼくが宿泊したのは6月だったので、なんとかそんなに凍えずにシャワーを浴びることができた。
昼食はアストルガ地方の肉づくしの伝統料理を食べた。豚肉や牛肉やソーセージがふんだんに入っており、とても美味しくぼくは大変満足したが、てらちゃんは年を取るたびに肉が食べられない体になっているらしく、肉が多いと苦しそうだった。サングリアを頼むとデキャンタで出てきたので、大量にワインを飲む羽目になってしまい、酔っ払ってこの旅でいちばんフラフラしてしまった。
そのままアストルガの大聖堂やガウディの建築も見に行ったが、中に入ることなく外からそのスペインらしい美しさを堪能した。
アルベルゲに帰ってからは、日本人や韓国人やアメリカ人の友達たちと夕食会をした。韓国人がパスタやサラダ、ぼくたちが野菜のスープを作って、みんなでシェアした。日本人はまったく韓国語を知らないが、韓国人は結構日本語を喋れることが多く、この日も日本語と韓国語と英語が混じり合いながらの楽しい食事となった。
・スペイン巡礼21日目記録
出発6時半 到着14時00分
消費カロリー959kcal 歩数42831歩
移動距離27.4km