アジャンター石窟群の古代仏教壁画が神秘的すぎる!!!!!
インド最大の涅槃仏!アジャンター石窟群の古代仏教壁画が色鮮やかで神秘的だった
・アウランガーバードから日帰りでアジャンター石窟群を見に行こう
・アジャンター石窟群の入場料、営業時間、休日
・仏教壁画が美しいアジャンター石窟群の歴史と成り立ち
・法隆寺壁画のルーツ!第1窟で古代仏教壁画「蓮華手菩薩」と「金剛手菩薩」を鑑賞した
・第2窟「釈迦の誕生」の仏教壁画
・第17窟のジャータカ物語(本生譚)にまつわる仏教壁画
・チャイティヤ窟の第9窟、第10窟、第19窟で仏教の進化を感じる
・インド最大の涅槃仏!第26窟の数え切れない仏像が神秘的だった
・第26窟の内部を探索したYouTube動画はこちら!
・アジャンター石窟群の石仏写真集
・アジャンラー石窟群はアウランガーバードから安全に日帰り旅行が可能だった
目次
- ・アウランガーバードから日帰りでアジャンター石窟群を見に行こう
- ・アジャンター石窟群の入場料、営業時間、休日
- ・仏教壁画が美しいアジャンター石窟群の歴史と成り立ち
- ・法隆寺壁画のルーツ!第1窟で古代仏教壁画「蓮華手菩薩」と「金剛手菩薩」を鑑賞した
- ・第2窟「釈迦の誕生」の仏教壁画
- ・第17窟のジャータカ物語(本生譚)にまつわる仏教壁画
- ・チャイティヤ窟の第9窟、第10窟、第19窟で仏教の進化を感じる
- ・インド最大の涅槃仏!第26窟の数え切れない仏像が神秘的だった
- ・第26窟の内部を探索したYouTube動画はこちら!
- ・アジャンター石窟群の石仏写真集
- ・アジャンラー石窟群はアウランガーバードから安全に日帰り旅行が可能だった
- ・インド一周の旅の記事一覧はこちら!
・アウランガーバードから日帰りでアジャンター石窟群を見に行こう
ぼくはインド一周の旅の中で首都のデリー、タージマハルのあるアーグラー、エッチな遺跡のあるカジュラーホー、聖人に出会いテレビデビューまでしたサガール、インド最古の仏教遺跡のあるサーンチーを巡り、次にアウランガーバードへ辿り着いた。アウランガーバードへ来た目的は、日帰りで世界遺産のエローラ石窟群とアジャンター石窟群の2つを訪れることだった。エローラ石窟群はアウランガーバードから30kmほど、アジャンター石窟群はアウランガーバードから100kmに位置し、両者はかなり離れているので同時に観光することはできない。エローラ石窟群とアジャンター石窟群にそれぞれ丸1日ずつ費やすのが現実的だ。アウランガーバードからエローラ石窟群、アジャンター石窟群へローカルバスを使って日帰りで行く方法は以下の記事に詳しくまとめた。
ぼくが心配だったのは、アジャンター遺跡って100kmも離れているのに本当にアウランガーバードから日帰り旅行できるのかということだった。片道2時間半ほどかかるというので移動だけでも往復5時間の長旅!不安なのはアジャンター遺跡がどれほどの大きさで見学にどれくらいの時間がかかるのか全くわからなかったことだ。もしもかなり時間がかかるなら夜中真っ暗になってからアウランガーバードに帰ることになるし、それまでローカルバスがきちんと走っているのかどうかもわからなかった。エローラ石窟群はかなり壮大な古代仏教遺跡で仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教全ての石窟を興味深くじっくり見ていたら丸1日を費やしてしまった。エローラはアウランガーバードから近かったからそれでもすぐに帰れたが、アジャンターはそうはいかない。じっくりと見たいのはやまやまだが、なるべく素早く見学しなるべく早い時間に帰りのバスに乗るのが安全だろう。
・アジャンター石窟群の入場料、営業時間、休日
アジャンター石窟群の外国人入場料は600ルピー(約1000円)だった。営業時間は9:00〜17:30。月曜日は休日なので要注意だ。チケット売り場からは急な坂道を登って歩いていく感じになっており、それほど長距離ではないものの多少の覚悟が必要だ。
・仏教壁画が美しいアジャンター石窟群の歴史と成り立ち
アジャンター石窟群で感動的だったのは、何といっても奇跡的に保存状態がいい美しき仏教壁画たちだ。インドでは古代から仏教画を発展させてきたが、高温多湿な風土のために現在まで残存している例はほぼ皆無だ。その唯一の例外が時代を超えても人々を魅了し続けているここアジャンター石窟群の仏教壁画だ。デカン高原北西部に位置するワーグラー川湾曲部に沿って、断崖をくり抜いて作られた大小30の石窟が550mに渡り並んでいる。
アジャンター石窟群が開かれたのは紀元前1世紀頃の前期(上座部仏教期)と、5世紀からの後期(大乗仏教期)に分かれている。合計で30ある石窟のうち前期に作られたのは第9窟、第10窟、第12窟、第13窟、第15窟のみであり、その他は後期のものと考えられている。
アジャンター石窟群もエローラ石窟群と同様に「ヴィハーラ窟」と「チャイティヤ窟」の2つの僧院型式がある。ヴィハーラ窟が僧侶の住居や修行や瞑想の場所として使われたのに対し、チャイティヤ窟は仏塔(ストゥーパ)を祀るために建てられ現在の本堂のような役割を果たしていたという。アジャンター石窟群では第9窟、第10窟、第19窟、第26窟、第29窟の5つがチャイティヤ窟であり、その他は全てヴィハーラ窟となっている。エローラ石窟群と同様、チャイティヤ窟はヴィハーラ窟に比べて数が少ないようだ。
・法隆寺壁画のルーツ!第1窟で古代仏教壁画「蓮華手菩薩」と「金剛手菩薩」を鑑賞した
第1窟に入った途端に、昨日訪れたエローラ石窟群とは全く異なった雰囲気に驚いた!エローラ石窟群では石仏がメインで壁画なんて全く見かけなかったが、ここアジャンター石窟群では第1窟から驚くほど美しく保存状態のいい古代の仏教壁画を、四方八方の広範囲に数え切れないほど鑑賞することができた。仏様の壁画はもちろんのこと、植物模様や幾何学模様、古代インドの人々や動物の生活まで描かれておりその多様性に圧倒される。しかもどれもが古代に描かれたとは信じられないほどに色鮮やかな印象があり、1000年以上の時を超えて素晴らしい古代芸術の世界に精神が埋没していくような不思議な感覚に陥った。
中央仏像の左側に描かれた、アジャンター壁画の最高傑作と謳われる「蓮華手菩薩」。日本の奈良にある法隆寺金堂に描かれた菩薩の遠いルーツとして非常に有名。右手に優美さを象徴する蓮華を持ち、体を大きくS字状にくねらせるインド固有の「三曲法」で表現されている。周囲には婦人や猿や鳥たち、天界の楽神たちが音楽を奏でている。
対して中央仏像の左側に描かれているのは「金剛手菩薩」。力を表す金剛をテニし、まばゆいばかりの宝冠とあふれるほどのアクセサリーを身につけている。左右の蓮華手菩薩と金剛手菩薩で共に仏像を守護している。
・第2窟「釈迦の誕生」の仏教壁画
第2窟はThe Miracle at Savatthiの壁画が印象的だった。Savatthiという場所でブッダは上半身から火を出し、下半身から水を出し、空中にできた宝石の道を歩きながら人々に説法したと伝えられる。ブッダはその奇跡の間に、空中にいくつもの自分自身の複製を作り出したという伝説が残っている。
第2窟の「釈迦の誕生」の壁画では、右のブラフマー神と左のインドラ神が生まれたばかりの釈迦を抱き、それをマーヤー王妃が見つめる場面が描かれている。
鬼子母神として知られるハーリティーと財宝神パーンチカの夫婦の石像。
・第17窟のジャータカ物語(本生譚)にまつわる仏教壁画
第17窟は壁画の保存状態が非常によく、第1窟と並んで壁画最大の見所として知られている。第17窟の壁画のモチーフはブッダの前世を綴ったジャータカ物語(本生譚)がほとんどとなっている。
インドでは珍しい六道輪廻図。
ブッダを殺して教団を我がものにしようとしたデーヴァダッタ(提婆達多)の放った狂象も、ブッダの前に来ると大人しくなったという。
・チャイティヤ窟の第9窟、第10窟、第19窟で仏教の進化を感じる
エローラ石窟群では第10窟の1窟しか見かけなかったチャイティヤ窟だが、ここアジャンター石窟群第9窟、第10窟、第19窟、第26窟、第29窟と5つものチャイティヤ窟が存在した(ただし第29窟は非公開)。第9窟と第10窟は紀元前1世紀に作られたもので、仏塔(ストゥーパ)だけが祀られそこに仏像の姿はない。仏像とはブッダの死後500年ほど経ってからガンダーラ地方で作られ始めたもので、それまでブッダの悟りは法輪、菩提樹、仏足跡、玉座などにより表現されていた。仏塔はブッダの遺物や遺骨を納めるものという意味合いがあるという。
エローラ石窟群のチャイティヤ窟では見られなかった仏教壁画が、ここアジャンター石窟群の柱には色鮮やかに残っている。
前期に作られた第9窟、第10窟に対して、第19窟は後期である5世紀のものとなっており、仏塔に加えて仏像が出現している。ぼくたちが馴染み深い仏像よりももっと古代から仏塔というものがあるということが、アジャンター石窟群のチャイティヤ窟を比較してみるとよくわかる。第9窟、第10窟と比べて第19窟は装飾も複雑で巧みだ。
・インド最大の涅槃仏!第26窟の数え切れない仏像が神秘的だった
第26窟はアジャンター石窟群の中でも彫刻が素晴らしく、最も見応えのある石窟のひとつだった。特にインド最大の涅槃仏は魅力的で、インド最大という割には結構小さいなという思いと、こんな辺境の森の中の洞窟に古代からずっと涅槃仏が眠っていたなんて凄すぎるという感動が心の中で混在していた。
涅槃仏に続くように、第26窟の壁面には数々の見事な仏像がびっしりと立ち並び、歩く度にありがたい気持ちになってくる。
この石窟にも仏塔と仏像が中心に堂々と聳え立っていた。仏像の存在からもわかるように、第26窟も後期であるの5世紀の作だ。
第26窟は内部だけではなく外部の彫刻にもこだわりが感じられた。
・第26窟の内部を探索したYouTube動画はこちら!
・アジャンター石窟群の石仏写真集
・アジャンラー石窟群はアウランガーバードから安全に日帰り旅行が可能だった
結局アジャンター石窟群はエローラ石窟群に比べて意外と規模が小さく、アウランガーバードを朝8時に出ると見学には3時間ほどしかかからなかったことから、昼2時半のローカルバスに乗り込み、明るいうちにアウランガーバードへ帰ることができたので安心した。アジャンター遺跡はアウランガーバードから100kmも離れているので本当に日帰り旅行ができるのかと心配になってしまうが、結論から言えば十分に可能だった。
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