人生の最高地点へ!中国雲南省の秘境・雨崩の神湖まで標高4800mへの巡礼トレッキング【神湖2/3】

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人生最高地点を目指すぞー!!!

人生の最高地点へ!中国雲南省の秘境・雨崩の神湖まで標高4800mへの巡礼トレッキング

・これまでの雨崩の冒険
・アイススパイクのレンタル
・最初は日本のような山道を行く
・凍りついた雪道の出現
・幻想的な山脈の開けた道
・深い雪の世界を超えて

・これまでの雨崩の冒険

中国雲南省とチベット自治区のほぼ境界線上にあるチベットの秘境・雨崩へと到着した。

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雨崩からのトレッキングとしてこれまではチベットの聖地冰湖、神瀑への巡礼を達成した。残る目的はあとひとつ、標高4800mまでの神湖への高山トレッキングだ。

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雨崩での相棒の中国人青年たちが聞き込みしてくれたところによると、なんと雨崩から神湖まで往復12時間かかるだとか、神湖周辺は雪が凍りついて滑りやすく危険だとか、上の方は雪が膝上まで積もっているとか、とにかく不安な情報ばかりが入ってくる。

それでもチベットの聖地・神湖までの巡礼トレッキングを成功させるため、ぼくたちは可能な限りの対策を打った。そのひとつが、上雨崩から下雨崩までの宿の移動だ。神湖からは上雨崩よりも下雨崩の方が圧倒的に近いので、余計な歩行を軽減させるために神湖トレッキング当日の早朝にすべての荷物をまとめて下雨崩へと宿を移動した。往復12時間という嘘か本当かわからない情報も不安だったので、この日だけは7時半の早起きで対応した。

その際の上雨崩から下雨崩への移動中に見た、雪山が朝日に照らされる黄金色の幻想的な風景に心打たれ、早起きは三文の徳という古い日本のことわざの正しさを中国の秘境で噛み締めていた。

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・アイススパイクのレンタル

 

下雨崩の宿、ユーボン ホリデイ インへと到着し、朝ごはんとしてジャージャー麺の大を食べて腹ごしらえした後、出発したのは9時半だった。一体何時にこの下雨崩に戻って来られるのだろうか。

 

神湖へのトレッキングをとしてもうひとつ重要な準備があった。それは雪や氷で滑らないように靴の底にスパイク(棘)を取り付けられる用具をレンタルすることだ。アイススパイクのレンタル料は宿で10元、デポジットとして40元取られるが無事に返せばその分は戻ってくる。

アイススパイクもレンタルして準備万端、あとは標高4800mまで登るだけだ。一体どんな世界が、ぼくたちを待ち受けているのだろうか。

 

 

・最初は日本のような山道を行く

 

下雨崩から見た神湖のある雪山。あの白い山頂付近に神湖が眠っている。本当にあんなところまで行けるのだろうか。

 

 

下雨崩からは神湖へ行くためにすぐ山道へ入る。この山道がぼくにとってかなり居心地がよかった。雨崩の3200mから一気に4800mまで駆け上がる道なのでかなり急峻ではあるものの、湿気が多く葉や枝が沢山落ちていてクッションの役割を果たしてくれる日本の山道のような道のりだったのでなんだか親近感が湧いたのだ。

 

 

ぼくは幼い頃から山好きのお父さんによく山に連れていかれたのでこのような山道は慣れっこだった。幼い頃は山に連れて行かれるのが嫌だったが、人生小さい頃の経験がいつどのように役立つのかまったくわからないものだ。幼い頃に父親に山で鍛えられた体力や勘や感覚が、ここへきて中国の秘境で非常に役立ったのだ。これまでの人生で最も高い4800m地点に挑戦するにあたって、遠い昔の過去が自らを助けてくれるとは情緒深い体験だ。

 

12月初旬の神湖への道は、下の方はまったく雪などなく、ただかなり急峻で険しい山道をひたすらに登っていく。ぼくもシェイミンもシャオヘイもだいたい同じペースで登っていくのでその点でも居心地がいい。ぼくたちは同じような場所で疲れ、同じような場所で頑張り、着実に神湖への足取りを進ませていた。

 

・凍りついた雪道の出現

 

聞き取りの情報通りに、道のりの2/3を過ぎたあたりから雪が出現した。最初はちらほら見かけた雪だったが、徐々に量が増え、道を凍りつかせ人を滑らせ得る箇所も出はじめたので、ぼくたちはレンタルしたアイススパイクを靴に装着した。

 

 

装着したてはアイススパイクの少しの重みが気になったが徐々に慣れ果て、困難なく足取りを進ませた。

 

 

しかし、このアイススパイクを装着しても滑るものは滑るので、これが役立っているのかやや疑問だった。これを装着しなければもっと滑っていたのだろうか。アイススパイクを付けてようが、あ、ここ雪が凍りついていて滑りそうだなという道ではもれなく滑ったので、もはやアイススパイクを過信せず、滑りにくい道に足を乗せるのが先決だった。

 

たとえば雪で凍りついた道を見かけたときにはそこをなるべく踏まずに、周りのまだ柔らかい雪の上、雪から露出した石の上、雪から出ている土の上を歩くように努めれば、そうそう滑ることはなかった。アイススパイクをしていても、雪で凍りついた道は避けるのが賢明だ。

 

 

・幻想的な山脈の開けた道

行き道のステージを超えると、今度は雪の全くない不思議な道へと躍り出た。雪どころか周囲に大きな植物も皆無で、あたり一帯の山脈がはるか雄大に見渡せる幻想的な道だった。

しかしこの道を超えると、さらにダイナミックな雪の世界が広がっていた。

 

 

・深い雪の世界を超えて

 

雪と岩の織り成す静寂の世界。今まで訪れたこともない標高約5000mの不思議な感覚。こんな場所にも明らかに人工の、岩を集めてできた長い壁が横たわっている。一体この壁で何を守ろうとしているのだろうか。雪の進入を防ぐのだろうか。

 

 

ここからの雪のステージは、もはやどれくらいの深さの雪が積もっているのか検討もつかない。雪に埋もれてしまっても、助けてくれる人も他にない。ぼくとシェイミンとシャオヘイの、3人だけの孤独な静寂の世界だ。もうひとり誰かがいるとしたら、それはこの秘境全体の大自然だった。それはぼくの単なる妄想というよりも、確かに感じた不思議な確信だった。

 

 

深い雪を踏んで埋もれないように、少しばかりついた先人の足跡を着実に辿っていく。それしかぼくたちが神湖へとたどり着ける道はない。ここで深い雪に埋もれて動けなくなってしまっては、もはや命すら危ういように思われた。

 

厳しいのは白銀の雪のみではなく、その急峻な坂道も大変に険しいものだった。雪により歩きにくい坂道を、なんとか自らの足取りで超えていく。その先に、今まで見たこともないような大絶景がまっていた。

 

 

 

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