シヴァ神は破壊だけの神様じゃない!!!!!
破壊や創造や生殖!5つの顔を持つリンガ(男根)がヒンドゥー教シヴァ神の5つの性質を教えてくれた
・インド最古にして最大のコルカタ「インド博物館」を訪れよう
・コルカタ「インド博物館」で不思議なリンガ(男根)を発見した
・5つの顔を持つリンガのそれぞれの顔の役割まとめ
・ヒンドゥー教やシヴァ神は混沌として奥深く、一筋縄では行かない
目次
・インド最古にして最大のコルカタ「インド博物館」を訪れよう
ぼくはインド一周の旅の中で首都のデリー、タージマハルのあるアーグラー、エッチな遺跡のあるカジュラーホー、聖人に出会ってテレビデビューまでしたサガール、インド最古の仏教遺跡のあるサーンチー、エローラ石窟群とアジャンター石窟群まで日帰り旅行できるアウランガーバード、5つ星タージマハル・ホテルに泊まった大都会のムンバイ、ピースフルな空気漂う南インドのゴア州、全裸の大仏が聳え立つジャイナ教の聖地シェラバナベラゴラ、南インドの最終目的地ケララ州のコーチンを観光し、今度は東インド最大の都市コルカタへ一気に飛行機で移動した。
コルカタはブッダガヤに行くための中継地点として立ち寄っただけなので1日もいなかったが、せっかくここまで来たしひとつだけでも何か観光したいと思い、インド最古にして最大というインド博物館を訪れた。インド博物館の詳細な紹介記事はこちら!
・コルカタ「インド博物館」で不思議なリンガ(男根)を発見した
インドはヒンドゥー教の国であり、当然インド一周の旅でも数えきれないほど多くのヒンドゥー教寺院を訪れた。ヒンドゥー教で最も崇拝され人気があるのが破壊神のシヴァであり、寺院内に祀られているのはもちろんのこと、日本のお地蔵さんのような感じでその辺の道端でもシヴァ神の信仰を目撃した。シヴァ神は何もかもを破壊すると共に、生殖や繁栄の神様であるという矛盾した多重要素を秘めており、インドではシヴァ神を表現するために男根が祀られていた。その男根はシヴァ神を象徴するものとしてリンガと呼ばれ、リンガの土台には女陰を表すヨーニが設置され、その2つの生殖器が結合することによって生み出される生命の歓喜と創造力が暗示されていた。
ぼくはこのインド一周の旅の中で様々なリンガを目撃して来たが、天を貫くように直立した太い棒であることがほとんどであり、これなら自分でも作れそうだと思ってしまうくらいシンプルなものだった。またリンガの前には、シヴァ神の乗り物である牛の像が設置されていることも特徴的だった。
コルカタのインド博物館でも、ひとつだけシヴァリンガを鑑賞することができたが、ここで見たリンガはこれまでのインド一周の旅の中で見たどのリンガとも異なった形をした不思議なものだった。名前はChaturmukha Linga、7〜8世紀の作品で、インドネシアのジャワ島からやって来たものだという説明書きが記されている。男根を示す太い棒が天を貫くように直立しているのは通常のリンガと同様だが、その周囲に4体の神様の像が男根を守るかのように立っている。この4体の神様はリンガの守護神なのだろうか?
・5つの顔を持つリンガのそれぞれの顔の役割まとめ
調べてみると興味深いシヴァ神の特性がわかった。シヴァ神は5という数字と密接に結びつけられており、5は神聖な数字であると考えられている。Mukhalingaとは(このリンガはChaturmukha Lingaだと説明されていたが、この言葉の中からChaturを取ればMukhalingaになる)5つの顔を持つシヴァ・リンガのことでシヴァ神の古典的な5つの要素、方角、五感や体の部位にそれぞれ対応しているという。このインド博物館のリンガは4つしか顔がないように見えるが、この真ん中の男根の部分もひとつの顔という風に考えると、確かに5つの顔が存在することになる。5つの顔のそれぞれの対応をまとめると以下の表のようになる。
Ishana | Tatpurusha | Aghora | Vamadeva | Satyojata | |
役割 | 啓示 | 隠す | 破壊 | 保護 | 創造 |
方角 | 真上 | 東 | 南 | 北 | 西 |
色 | クリスタル | 金 | 青 | 赤 | 白 |
五大要素 | 天 | 空 | 火 | 水 | 土 |
シヴァの形態 | Sadasiva | Maheshvara | Rudra | ヴィシュヌ | ブラフマー |
部位 | 頭 | 口 | 心臓 | 足 | 生殖器 |
・ヒンドゥー教やシヴァ神は混沌として奥深く、一筋縄では行かない
シヴァ神は破壊の神様なのになぜか男根という生殖器を結び付けられ、生殖行為という創造や繁栄を期待する役割を同時に担わされていた。破壊と創造、繁栄という矛盾する要素が絡み合うシヴァ神とは実に奥深い存在のように感じられていたが、5つの顔を持つリンガのそれぞれの要素を見ていくと、破壊や創造だけではなくもっと多くの役割をシヴァ神は任されていることがわかる。こうなるともはや何でも屋さんなのでは?
またシヴァ神の5つの顔の五大要素はチベット仏教の五色の旗であるタルチョーにおいて、青・白・赤・緑・黄がそれぞれ天・風・火・水・地と結びつけられているのに類似していて興味深い。日本でも五重塔や五輪塔はこれらの5つの要素に対応している。
ヒンドゥー教ではブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァがそれぞれ三位一体として創造、維持、破壊の役割を担っているとされるが、この5つの顔を持つリンガにおいては、ブラフマーもヴィシュヌもシヴァ神の一形態であるというような書き方がされている。これに関しては宗派によって様々な考え方があるということなのだろうか。
今回の記事ではコルカタのインド博物館で発見した5つの顔を持つリンガを通して、シヴァ神には様々な要素や役割があるのだという知識を習得したので共有することにした。ヒンドゥー教はインドの大地や人々と同じであまりに混沌としていてわかりにくいが、このようにひとつひとつ謎を解き明かしていくことで知識が整地されていくのかもしれない。
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