彫刻付きの石棺が美しすぎる!!!!!

アレキサンダー大王の石棺彫刻が美しすぎる!イスタンブール考古学博物館の見所を徹底解説した
・ギリシャ一周の旅の後はトルコの大地へ
・イスタンブール考古学博物館の入場料
・ベスは悪魔を追い払う古代エジプトの守り神
・1887年にレバノンのシドン近郊のアヤア墓地で発見された彫刻石棺3つ
・イスタンブール考古学博物館のその他の見所を徹底解説
・その他興味深かった展示
・イスタンブール考古学博物館に併設された装飾タイル博物館
・屋外に無造作に並べられた古代遺跡も
目次
・ギリシャ一周の旅の後はトルコの大地へ

ギリシャ一周の旅の中でぼくは古代遺跡の豊富な首都アテネ、断崖絶壁に立つギリシャ正教会の大絶景に圧倒されたメテオラ(カランバカ)、海沿いのギリシャ第2の都市テッサロニキ、女人禁制のギリシャ正教最大の聖地アトスの巡礼を終えて、ギリシャ離島の旅を開始した。ギリシャの離島を巡る旅ではフェリーや飛行機を駆使し、約1ヶ月間かけてクレタ島、サントリーニ島、ミコノス島、ロードス島を巡り、無事にエーゲ海の大冒険を終了して次なる国トルコへと到着した。トルコではカッパドキア、イスタンブールを旅してから、日本の東京へと帰国しコロナワクチンバイトに勤しむ予定だ。
カッパドキアでは壮大な洞窟プール付きの高級洞窟ホテルCarus Cappadociaで3泊して快適に滞在しつつ、ギョレメを拠点として観光することにした。カッパドキアと言えば何と言っても奇岩の絶景!ツアーなどに参加しなくても自分で目的地を決めて散策しているだけで、これまでの人生で見たこともないような不思議な光景が目の前を目まぐるしく通り過ぎていって、充実したカッパドキア観光を経験できた。狭い通路が迷宮のように張り巡らされたカイマクルの地下都市も壮大で魅力的だった。
そしてついにこの旅の最終目的地であるイスタンブールまで辿り着いた。思えばタイ、マレーシア、シンガポールとマレー半島を南下し、本土と離島を含む壮大なギリシャ一周の旅を経て、ようやくアジアとヨーロッパを結ぶイスタンブールを無事に訪れることができて感慨深い。ギリシャの離島から数多くの高級ホテルに泊まってきたが最後は本来の節約旅のスタイルに立ち帰り、ドミトリーの安宿であるAgora Guesthouseを拠点としながら観光することにした。Agora Guesthouseはバイキングの朝食付きで、アヤソフィアに近く主要な観光名所まで歩いていける便利な立地だった。
・イスタンブール考古学博物館の入場料


この日はAgora Guesthouseから徒歩圏内にあるイスタンブール考古学博物館を訪れた。入場料は150トルコリラだった。
・ベスは悪魔を追い払う古代エジプトの守り神

イスタンブール考古学博物館に入場するとまず初めに目の前に飛び込んできたのは、これまでに見たこともないような大迫力の巨大なベス像。こんなの初めて見たけど、ベスって一体何?他にはない非常に特徴的な外見をしており、そもそも人間なのか動物なのかもよくわからない。玄関でこんなに大々的に展示してあるということはトルコを代表する守護神か何かなのかなと思ったが、意外にも古代エジプトの神様のようだ。
「ベス」という言葉はヌビア語(南エジプトの言語)で「猫」を意味し、元々は後ろ足で立っている猫のような姿をしていたが、後に擬人化され、首にヒョウの皮を巻き、小人症の人に似た姿で描かれるようになったという。ベスは家庭の守護神であり古代エジプトの歴史を通じて、蛇を退治したり、悪霊と戦ったり、子供の世話をしたり、悪霊と戦って出産中の女性を助けるなど、様々な役割を担っており、そのためタウェレト(古代エジプトの出産の守護女神)と共に出産に立ち会っていた。
ベスは他の神々とは全く異なる神の像が家庭に飾られていた。エジプトの神々は通常横顔で描かれるがベスは正面肖像画や男根像、時には兵士のチュニックをまとい、近づいてくる悪魔に攻撃を仕掛ける準備ができているかのような姿で出現した。ベスは家から悪魔を追い払うので、その像は守護神として建てられた。また悪を追い払うことから音楽、舞踏、性的快楽など、人生の善いものの象徴にもなった。
個人的な体験で言うと2年後アフリカ縦断の旅でエジプトを訪れた際にも、デンデラ・ハトフル神殿の入り口にベス像が祀られていた。他にない特徴的な外見なので素人でもすぐにベス像だと見抜くことができた。
・1887年にレバノンのシドン近郊のアヤア墓地で発見された彫刻石棺3つ
入口のベス像にかなりのインパクトを与えられてしまったが、本来これはイスタンブール考古学博物館の見所では全くなく、もっと他に沢山の貴重な展示があるという。



イスタンブール考古学博物館の目玉であるアレクサンダーの石棺。紀元前4世紀後半にレバノンのシドン近郊にあるアヤア王家の墓地から出土したヘレニズム時代の石棺だという。アレクサンダー大王の高浮き彫りの彫刻と、歴史・神話の物語を描いた巻物で装飾されている。この石棺は構造的にも、古代世界で一般的だった鮮やかな色彩で彫像や建築物を彩色する技法である「ポリクロミー」の痕跡が残っている点でも、驚くほど良好な保存状態にある。石棺にこんな表現豊かな彫刻が施されるなんて、アレクサンダーの権威の大きさを思い知らされる。


シドンのリキア石棺も、レバノンのシドン近郊にあるアヤア王家の墓地で発見された石棺。紀元前430年から420年頃のもの。シドンの墓地にある他の石棺と同様に、紀元前5世紀半ばから紀元前4世紀末にかけてフェニキア地方を統治した歴代の王のものだと推測される。石棺はレリーフで装飾されており、側面のレリーフにはライオン狩りとイノシシ狩りが描かれ、端のレリーフにはケンタウロスとスフィンクスの戦いが描かれている。




嘆き悲しむ女たちの石棺も、シドンの王室墓地で発見された石棺のひとつ。紀元前3世紀のものと考えられており、18人の女性の像が側面に駆られている。その駆刻の女性の表情は一人ひとり様々で、屋根の上には男と馬が彫られている。






イスタンブール考古学博物館はその他の石棺も所狭しと並べられていて、同様に彫刻が極めて見事なものが多くて感動的だった。
・イスタンブール考古学博物館のその他の見所を徹底解説

このライオン像は、紀元前400年頃に栄えた古代カリア王国の首都ハリカルナッソス(現ボドルム)から出士した多数の遺跡のひとつ。当時のアナトリア半島はペルシア帝国の支配下にあり、彫刻にも東方文化の影響が見られる。

オケアヌスはギリシア神話の「海の神」。紀元前2世紀のローマ時代のものとこれ、セルテュク近郊のエフェスで発見された。


このティケ像は紀元前2世紀のもので、ティケは「幸福の神」としてローマ時代に崇められた。この像は幸運を擬人化したもので、頭部や子供が持つバスケットにはかすかに色彩が残る。



直方体の胴体に顔と男根だけが残された境界神ヘルマ。ギリシャの考古学博物館でも多数見かけたが、このイスタンブールでも出会うことができた。ギリシャで見たどのヘルマよりも大きくて立派だった。2世紀のもので、イズミルから出土した。
・その他興味深かった展示
























・イスタンブール考古学博物館に併設された装飾タイル博物館
イスタンブール考古学博物館には装飾タイル博物館(チニリ・キョシュキュ)も併設されており、同じチケットで入場可能だった。ぼくの好きなイスラム教の美しいモザイク世界が展開されており、心から魅了された。





この装飾タイル博物館は1472年にメフメット2世により建てられた。この敷地はもともとトプカプ宮殿の第1庭園で、ポロ競技(馬に乗って行う団体球技)が行われていたが、 このチニリ・キョシュキュは競技の見物のために建てられ、オスマン朝期の非宗教の建物のなかでは現存する最古のものだという。
・屋外に無造作に並べられた古代遺跡も


屋外にも不思議な遺跡が無造作に並べられていた。

ヘルマの胴体から顔が取れてしまっているもの。もはや男根像となっており、不思議な滑稽さがある。
・ギリシャ一周の旅の記事一覧はこちら!
アテネ
メテオラ(カランバカ)
テッサロニキ
女人禁制のギリシャ正教の聖地、アトス巡礼の旅
クレタ島
サントリーニ島
