人生初のスラム街の先には、大迫力の洞窟教会が聳え立っていた!!!!!
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カイロのスラム街はゴミの街!洞窟教会の聖シモン修道院でエジプト独自のキリスト教信仰に触れた
・ぼくのアフリカ大陸縦断の旅
・カイロの洞窟教会へ行くためにはスラム街を通らなければならない
・実際にカイロのスラム街マンシェット・ナセルを歩いてみた
・カイロの洞窟教会、聖シモン修道院は見事な大自然と信仰心の融合
・帰るためには再びスラム街を歩いてUberを呼ぶ必要があった
目次
・ぼくのアフリカ大陸縦断の旅
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ぼくは2024年5月8日から10月1日まで、約5ヶ月間かけてアフリカ大陸縦断の旅をした。訪れた国はエジプト、エチオピア、ケニア、ウガンダ、ルワンダ、タンザニア、マラウイ、ザンビア、ジンバブエ、ボツワナ、ナミビア、レソト、南アフリカ共和国だった。
・カイロの洞窟教会へ行くためにはスラム街を通らなければならない
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カイロ観光1日目ぼくたちは積極的に活動し、広くて見応えのあったエジプト考古学博物館へ行った後でもう一つ観光地を巡ろうということになった。カイロでは台湾人2人と一緒に合計3人で観光していたが、ぼく1人だけだったならば絶対にエジプト考古学博物館でお腹いっぱいになって疲れて宿に帰っていただろう。強制的に活動量が増えるところが、一人旅ではないメリットの一つかもしれない。
ぼくたちが向かうのはカイロの有名な洞窟教会、聖シモン修道院(St. Simon Monastery)だ。カイロの移動はUberが便利で安いので、エジプト考古学博物館へ行くために使った時と同じようにUberで気楽に行けると考えていたが、事態はそう簡単ではなかった。Uberで聖シモン修道院を目的地にすると、ドライバーはマッチするのだが必ずキャンセルされてしまう。
どうやら聖シモン修道院へ行くための道がかなりの狭路なのでドライバーたちは行きたくないようだ。試しに聖シモン修道院より少し手前の広い道で降ろしてもらうような設定にすると、ついにUberを捕まえることができた。しかしそれはそれで問題があったのだ。
実は聖シモン修道院周辺はマンシェット・ナセルと呼ばれるカイロ屈指のスラム街で、ゴミ回収を職業としている人が多く町中がゴミで溢れていて、別名ゴミの町とも呼ばれているという。
えーそんなところ絶対行きたくないよね?!スラム街って行ったことないけれど何だか治安が悪そうだし、そもそもガイドとかいないと安全に歩くことが難しいイメージ。見た目ですぐに外国人だとわかってしまうこんな東アジア人が、カメラを持ちながらウロウロしていい場所では絶対にないことは明白だ。本来ならばなるべく避けたい場所なのだが、聖シモン修道院へ行くためにはここを通り抜けなければならない。ただ車で通り抜けるだけならばいいが、ぼくたちは聖シモン修道院の手前、すなわちこの町の真ん中でUberを降りなくてはいけないことになってしまったので、人生初のスラム街を練り歩くという予定ができてしまった。果たして無事に帰って来られるのだろうか。
・実際にカイロのスラム街マンシェット・ナセルを歩いてみた
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聖シモン修道院を目指してスラム街へと入っていく。思った通り聖シモン修道院が近付くと狭路になり、渋滞も発生した。窓から見える風景はゴミ、ゴミ、ゴミの山ばかりで、窓を閉めていても漂う悪臭も気にかかる。もしかしたらゴミが山積みになっていることを除けば、普通のエジプトの風景なのかもしれないが、ここがスラム街であるという情報が脳に深く刻み込まれているので、否応なしに恐怖感が押し寄せてくる。
ついに聖シモン修道院の手前の道、スラム街の真ん中でUberを下車し、スラム街を歩き始める。もちろんカメラなど高価なものはバッグの中にしまっておいた。スマホもなるべく出さないように最新の注意を払う。人生初のスラム街にかなり緊張して歩いていたが、特に何事も起こることなく聖シモン修道院へと到着した。建物の中にも外にも堆く積まれたゴミの山とその悪臭のインパクトは大きかったが、だからと言って人々が危険だとか治安が悪いという印象もなかった。
・カイロの洞窟教会、聖シモン修道院は見事な大自然と信仰心の融合
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洞窟教会の聖シモン修道院は、巨大な岩壁がくり抜かれてできた空間の中にキリスト教会が作られており、大自然と宗教が調和した他のどこでも見たことのない光景に圧倒された。この教会の講堂は座席数1万5千であり、中東最大であるという。
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洞窟の底にある教会から後ろを見返すと、エジプトらしいよく晴れた青空と教会の十字架と巨大な洞窟の組み合わせが大迫力だった。
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聖シモン修道院のキリスト教の絵は正教会の雰囲気があり、隣国のギリシャ正教会に似たイメージ。エジプトで信仰されているキリスト教はコプト教と呼ばれ、やはりエジプトで独自の教義を発展させた正教の一種だという。
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聖書の物語は岩壁にも数多く描かれていて、エジプト人の信仰心の深さが伺える。エジプトはイスラム教国だが、首都のカイロにはコプト地区というキリスト教徒の居住区もあるという。面白そうなのでこの滞在中に行ってみよう。
聖シモン修道院は大自然の荒々しさと信仰の深さが融合した、とても静かな雰囲気の特別な洞窟教会で、とても神秘的な気持ちになることはなるものの、風向きが変わるとスラム街のゴミの匂いがそこはかとなく漂ってくるので、完全に神聖な気持ちに浸ることはできなかった。しかしそれも唯一無二の特別な思い出ではないだろうか。
・帰るためには再びスラム街を歩いてUberを呼ぶ必要があった
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帰りのUberも聖シモン修道院までは迎えに来てくれなさそうだったので、スラム街の真ん中まで少し戻り、往路にてUberを降ろしてもらったところで再度Uberを呼ぶことができた。Uberを待っている間スラム街を散策する他なかったのだが、人々も怖くないし、お店も普通に営業しているし、ゴミの山や匂い以外はスラム街と言っても普通の暮らしをしているような印象を受けた。まぁそのゴミの匂いがとても大きな問題だとは思うけれど。
スラム街なんて怖くて特に興味もないので、これまで世界一周の旅をしてきても行く機会がなかったが、今回初めてスラム街を訪れてイメージが覆されるような気がした。やっぱりスラム街というものを先入観や思い込みだけで語るのではなく、実際に行ってみて経験して、その結果自分がどう感じたのか、どういう気持ちになったのかという記憶を蓄積させていくことが人間として重要だと感じた。
現在の世界では自分が注目されたいがあまりに、もしくは注目されることによってお金を稼ぎたいあまりに、大して怖くないものを怖いと騒ぎ立て、大して危険ではないものを危険だと挑発し、大して汚くないものを汚いと蔑む低俗な種類の人間が多すぎる。そしてそのような低俗な種類の人間の思惑にまんまと釣られ、注目させられ、心を惑わされ、恐怖に怯えて動き出せないまま人生を終える人間も同様に低俗だ。積極的に危険に飛び込む必要はもちろんないが、自分が全く知らない世界なのに間違った情報に溺れて脳を恐怖で支配されているのなら、安全な範囲で敢えて新しい世界へと飛び込み、自らの経験を更新させていく努力も人生には必要なのかもしれない。
・アフリカ縦断の大冒険の記事一覧はこちら!
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